面倒なのはごめんですわ
おっさん国王、って言葉が抜けたことに気がついたけれど、考えてみれば王子とも結婚したくないわ。
元の世界に戻りたいし、万が一戻れなくなった場合、王子と結婚してしまったら王妃になるんでしょ?
うわー、面倒くさそう。絶対にいやだ。
私は出世とか望まないタイプなので管理職は結構です。
元々結婚なんてしたいと思ってなかった。結婚したいと考えたこともあったけれど、長くつきあっていた人に手ひどく裏切られてしまい、もう恋愛だのなんだのは二次元ではしないと誓ったのだ。
だからリゼル王子が好きなのは三次元だからであって、実際に恋愛をしたいわけではない。
だいたいヒロインでもないのにハッピーエンドが待っているわけないじゃないの。
それなのに結婚したいからと暗殺疑惑とか馬鹿馬鹿しい。
ギッと強く成瀬をにらみつけてからリゼル王子を真っ直ぐに見つめる。
うっ、やっぱりイケメン過ぎる。
鮮やかな金髪と透き通るようなアイスブルーの瞳に思わずよだれが出そうになるのをグッと押しとどめた。
「じゅる……んんっ」
息を吸ったつもりが、変な音がしてしまったので咳払いでごまかしてからリゼル王子に言った。
「リゼル王子殿下、私は王室に入るつもりも結婚するつもりもありません。ですから暗殺の動機もありません。あの時は……ただちょっと、不穏な気配をこう、なんか、その、気配、うん、気配をですね感じてしまい、無我夢中で王子へと駆け寄っただけです」
どうも怪しさ溢れる言い訳になっているのは自覚するが、なお続ける。
「身の潔白の証明として今この場で私を婚約者候補から外していただいて結構です」
どうせあなたはヒロインと結ばれるのですよ。さっさと婚約者候補から外れてリゼル王子とは関わらない方がいい。
それに成瀬が元の世界に帰る方法を知っているかもしれないので、ここで下手に容疑者となり監獄にぶち込まれたり隣国に嫁がされたりしては情報収集ができなくなる。
しばし絶句している二人だったが、先に口を開いたのは成瀬だった。




