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ガゼル・ディバインが甘~いですわ

 ぐるぐる思考が回っている。

 もちろん成瀬のことだ。


「なんで……成瀬がいる……夢だから……?」


 嫌すぎる……。


こんな夢の舞台に知り合いがいるなんて、世界観がぶち壊しで嫌すぎる……。

 ブツブツと口の中でつぶやいていると水のコップを手にしたガゼルが急いで戻ってきてくれた。


「さあ、水を。本当に顔色が悪いです」


 膝をついて水を手渡してくれたガゼルへとゆっくり顔を上げた私は、夢が覚めていないことを確認する。


――大丈夫。ここは王宮の大広間、舞踏会、シャンデリア、紳士淑女、そしてガゼル……目の前にイケメン。


 ふー、と大きく息を吐き出してから、ガゼルに向かって小さく問いかけた。


「私が、誰かわかる?」


 夢が覚めていないことを確認したくてそんな問いかけをしてしまう。

 問いの意味がわからなかったのだろう。

 ガゼルは小さく首を傾げながら少し困惑した表情を見せ、それでも生真面目な彼はなんとか答えようと思案しているようだ。

 そしてコップを握る私の手を、ガゼルは包むようにそっと手を重ねた。


 ドキリとする。


大きな男らしい手。騎士として剣を握っているからか、手のひらも指もゴツゴツして堅かった。それが余計に男らしさを感じさせて胸がドキドキしてくる。

 意を決したような眼差しで、真っ直ぐに見つめてくる茶色の瞳が私を射貫く。


「あなたは……アンジェリカ・グラデュラス。僕の大切な又従姉妹殿です」


 大切な!!!?


 鼻血が出そうなほど一気に血圧が跳ね上がる。このまま後ろに倒れてしまいそう。


 なんで? どうして? ガゼルはこんなにアンジェリカと仲良かったの!?


 確かにガゼルルートを攻略している時にも、何度もアンジェリカが「わたくしの大事なお兄様に手を出さないで! 下品な方ね!」と、又従兄弟なのに「お兄様」なんてわざわざ呼んでは邪魔に邪魔してきて、「アンジェリカ、マジでうざい!」と何度スマホ画面に向かって叫んだことか。時にはスマホを投げそうになったことも。

 そして最後はヒロイン(もちろん私)と恋仲になり、鬱陶しいアンジェリカは隣国のおっさん国王の下へ。


スッキリした! ざまあみろ、な展開。


 今のようにこれほどガゼルから大切にされていたのなら、どうしておっさん国王へ嫁がされたのか?

 それだけヒロインにのめり込んだってことなのかな? 


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