ついに王子様の登場ですのに!?
(ぎゃあああーー! リゼル様ああああ! ぎゃあああ!)
ハート型のうちわにペンライトでも持ってブンブン振り回したい!
本物の三次元のリゼル王子は、王家特有の輝く金髪に深い透き通るほど透明度の高いアイスブルーの瞳。長い足に完璧なスタイル。
目が潰れてしまっても本望と思えるほど神々しく、天界から舞い降りた聖なる神様のようだった。
会社で見せている冷静沈着な姿はどこにもない。ミーハーの完全体だ。
うわああ、うわああ、と心で叫び散らしていたが、リゼル王子のすぐ右後ろに立っている第二王子に気がついて私は喉にひっかかった叫び声を上げた。
「んなっ!?」
「アンジェリカ様、どうかされましたか?」
私の奇妙な声にすぐさまガゼル卿が首を傾げ心配そうに眉根を寄せたが、私はそんなことに気を回している余裕がなかった。
(な、なぜに……なぜにシャリル王子が……)
第二王子、シャリル・フォン・ジェストライザー。
彼も攻略対象の一人で、やはり王家特有の輝く金髪を肩下まで伸ばして一つに緩くくくり、明るめのミントグリーンの瞳はいつも人なつこく柔らかく笑みを浮かべている。
簡単には笑みを浮かべない孤高な雰囲気を持つリゼル王子と対照的な甘く華やかな雰囲気の第二王子。
女性慣れした軽薄そうな王子だが、実は一途で初心というギャップ萌え要素がある。
のはずなのだが!
(なんであんたなのよーーーー! 成瀬ぇぇぇぇ!)
笑顔振りまくシャリル王子は、私の目には茶髪のイケメン後輩、成瀬春人にしか見えないのだった。
(タクシー一緒に乗ってたはずなのに、いつの間に先に王宮に着いて、そして王子になってしまってんの!?)
「アンジェリカ様、顔色が悪いです。こちらで少し休みましょう」
ガゼルが私の顔を覗き見て、すぐに会場の隅に置かれたソファーへと誘う。
呆然としすぎて頭が回っていない私はガゼルのなすがままにソファーにストンと腰を下ろした。
「水をもらってきます。お一人で大丈夫ですか?」
コクリと頷くとガゼルは何度も振り返りながらも給仕の元へ小走りに駆け寄って行った。




