翌日
「山田が……亡くなった?」
「ああ、昨日のニュースの高校生。それが山田のことらしい。誰も彼も、噂は本当だったって話題ばっかりだ」
「怪人……本当にそんなのいると思う?」
「いるかどうかはわからないが、人が死んでいる以上、そればっかりなのは不謹慎極まりない」
「それは本当に言えてる」
だが、生前の彼が言い出しっぺの話題。
言い出しっぺの死によって、前よりも大きく広まり続けているこれを止めることなど不可能だ。
「そうだ。お前にみてもらいたいものがあるんだけど……」
「俺に?」
はいっ。と昨日の機械を渡す。
「見た目はスマホだが……まるで玩具のような……」
「玩具ではありませン。私は博士の最高傑作でス」
「うわしゃべった!?」
あの出来でも、機械がしゃべれば驚くのか。なんか意外だな。
「まあそんな感じで、どんな機械なのか全然わからないんだ」
「俺にだってわからないよ。初めてみる機械なんだから。このボタンは電源ボタンかな?」
「そこに触るナ。私に電源ボタンなど搭載されていなイ」
しかし、出来にもわからないとなると、これは本格的に謎の機械だ。
二人ともたまたま知らなかった……なんてことじゃなきゃいいけど。
「えっ、そこ電源じゃないの?」
じゃあ、あのいかにも電源ボタンな感じだしてるボタンはなんのボタンなんだよ。
放課後
「にしても久しぶりだ。君と一緒に帰るなんて」
「小学校以来だっけ?にしてもなんで」
「あんな噂が流れているのだ。誰かと帰った方が安心できる」
「意外だな。あんな噂本気にしてるのか?」
「非日常系要素を含んだ噂なんて、きっと誰も本気にはしてないだろうさ。しかし、怪談と同じく恐怖するなという方が無理がある」
なるほど。こういう系統が苦手だったのか。てことは、中学で京都行ったときにやった怖い話大会もそうとう効いてたんだな。
終わった直後に直ぐ様布団被ってたのもそれが原因か。
いつも堂々としてるから全く気づかなかった。
「もし……もしもの話だ。怪人が俺を襲ったら、君は助けてくれるのかい?」
「あったりまえよ!友達のピンチを救えない人間が、正義のヒーローになんてなれるかってんだ」
「頼もしいよ。本当にね」
なんて言って正面に向き直した後に、俺は立ち止まった。
この道の奥に、たたずむ何かが見えた、
「どうしたんだよ。急に立ち止まったりして」
「あれ……なんなんだ……」
俺は恐る恐る、たたずむなにかに向けて、ゆっくりと指を指す。
「ちょっ……脅かすなよ。何もいないじゃないか」
その先をみた出来は、困った顔でそう言った。
間違いなく、出来にあれは見えていない。
見えているのなら、こんな突然にからかわれたような雰囲気のはずがない。
俺は新たな未知であるその何かをじっと観察してみる。
しかし、その姿も顔も布で隠されており、みることはできなかった。
しかし、それはすぐに突然に正体を見せつけてきた。
その姿はまるで……。
「スター……ヒーロー……?」
だが、黒がメインの配色や、胸にある傷だらけのエンブレムなど、要所要所に違いが見える。
「それがどうしたんだい? まさか、見えるだなんて言わないでよね」
スターヒーローと目があったその瞬間、俺の夢だったヒーローは、ヴィランのような恐怖の笑顔で喜び、そして……
「スタァヒィロォオオオオ!! 見・参ッ!」
ニヒッと笑ったその笑顔。そして、テレビで何度も聞いたその声。
しかし、その大きくなった体も、荒々しい言い方からも、彼らしさを一切感じることはできなかった。
「本当に……スターヒーローがいる!? でも何か違うような気が……」
出来も気づいた!? いったいなんで
「に……逃げよう……このままじゃ……スターヒーローに殺される」
確証なんてない。しかし、そんなものは必要ないとばかりに、スターヒーローをみた時の直感と、俺を目にした瞬間のあの狂おしいほど嬉しそうな表情がそう思わせてくる。
俺は、スターヒーローを眺めるのに夢中になってる出来の腕を引っ張り、出来と一緒にその場から逃げ出した。
本日。朝になりました。
今日はグリッドマンユニバース四週目ということで、我楽しみなんやぞ。
毎回同じところで、泣いて、やっぱりなんども興奮して、なんども見れるくらいに素晴らしい作品であり、グリッドマンとダイナゼノン視聴済みな方には、圧倒的オススメ度を誇る映画となっておりますので、ぜひ~。
それでは、次回もよろしくお願いします。