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プロローグ

世界に大きな穴が空いた。

突如としてふってきた衝撃により、町が火の海になった。

たった一撃で、僕の町が、僕の世界が滅びかけているのだ。

僕の妹は倒れている。

僕の親は死んでいる。

助けて。

誰か助けて。

必死に叫んだって誰もきちゃくれない。

友達も、大人も、憧れていたヒーローも。

誰一人として、現れやしなかった。

この時、初めて思ったんだ。

自分を助けてくれるのは誰かじゃない。

自分自身だけなんだって。



ジリリリリリリリリ。

部屋の中で鳴り響くアラーム。

あの頃からなにも変わらない、スターヒーローの時計。

正義の朝がきた! 正義の朝がきた!

毎朝のお決まりの台詞を繰り返し続ける時計のボタンを押す。

起きれてえらいぞ!さあ今日も頑張ろう!

これがなければ、俺は頑張れてなんていないかもしれない。

なんせ、朝だっていうのに、親はお構い無しに進路がどうとか聞き続ける。

学校に行っても、からかわれ続ける。

そんなに酷いか俺の夢は。

俺からすれば、夢なんて誰も変わらない。

無謀な夢も、理想的な夢も、どれも胸に抱いたものに変わりはない。

そこに恥ずかしいもなにもないってのに、どうしてそうやって酷いことができるのか。

折れにはてんでわからない。

しかし、そんな酷い毎日をおくる俺にだって友達くらいいるのだ。

みよ!この完璧超人を!

名前は全知(ぜんち) 出来(できる)

成績優秀スポーツ万能、それでイケメンでモテる!

漫画のキャラクターみたいな人物だ。

なんぜこんなやつと友達なのかっていうと、別に誰とでも仲良くしてるわけではない。

じゃあなぜかって、きっかけは、他人がバカにした俺の夢をかっこいいといってくれた事だった。

そこからひょいひょいっと仲良くなって今にいたるってわけよ。


「そういえば正義の夢ってまだヒーローなのか?そろそろ辞めといた方がいいって絶対」


しかし、そんな友人ですらも最近では他のことをさせようとしてくる。誠に遺憾であるが、正直、出来のことは嫌いではない。むしろ、ずっ友でいてほしいぐらい思っている。

だからこそ、今回のことは意外だったし、それと同時に、自分は本当はヤバイんじゃないかって自覚し始めている。


「俺だってそーしてぇ。けどさ、けどさあ、それ意外やりたいことないんだもんしゃーないじゃん!?」


「そういうことじゃないと思うんだけどなあ」


生まれてこのかたヒーロー以外の夢を持ったことがないので、気づいたところで今の状態から進展するわけでもなく、それはそれは大変な日々を過ごしていたのであった。


「そういえば、最近噂になってるあれ、どう思う?」


「噂?」


「知らない?正義のヒーロー目指してる君なら、もう耳にしてるものだと思ってたんだけど」


「し……知ってるし!知ってるけど……知らないフリして聞いてやる!」


「どんな見栄だよ。教えるけど」


あんなこと言われたら、見栄くらいはりたくなる。

にしても、俺が知ってそうな噂……か。いったいどんな内容なんだろう。


「怪人がでた」


「なにそれもっと詳しく教えてよ!」


ダンッ!と両手を机につき、キラキラした目で出来をみた。


「隣のクラスの山田っているだろ?彼が、そんなことを言っていたらしいんだ」


山田って言ったら、ちゃらちゃらした感じのパリピみたいな人だったはずだ。

そんなことわざわざ言うなんて考えられるのは……。


「罰ゲームだなそれ」


「最初は俺もそう思った。けど昨日学校きてなかったらしくてさ、彼、昨日の今日も病院のベッドの上なんだと」


「入院?頭の病院に?」


「大怪我で病院に。それでその傷が、明らかに人間がつけられる傷じゃないってので、怪人がでたなんて噂になってるのさ」


「ふーん」


それって、たまたまそんな傷がついただけかもじゃんか。

出来の口から怪人なんて言葉がでたからどんなことかと思ったら、確証もなにもない所詮噂話じゃないか。

ちょっと気分下がった。


「なにちょっと盛り下がってるんだい君」


「べーつに?」


「お前ら席に着けー」


扉を開け、先生が教室に入ってきた。

俺はいそいで自分の席へと戻った。



そんなことがあった夕方。

俺は出来に言われたことを思い出していた。


そろそろ辞めといた方がいいって絶対。


って言われてもなあ。俺別に何かになりたいわけじゃないし。

あくまでなりたいのは正義のヒーロー。憧れ続けたものを今さら変えろだなんて言われても、俺にはそんなこと出来っこないし。

でも、友達に言われると確かに心に響く。

正義のヒーローったって、具体的に何をするのか決めてる訳じゃない。

仮になったところで、噂通りに怪人なんているわけないんだし。

必要とされない存在……そんなの認めたくない……けど、確かにそうなのだ。

人助けなら他でもできる。それなら、そうなったって……いやいやいや!なにを考えてるんだ俺!

俺のなりたいものは正義のヒーロー。憧れを捨てたりするな俺!

スターヒーローは言っていた。

諦めなければ必ず願いは届くって。

それなら届くまで何度だって……。


「いてッ!」


頭に硬い何かがぶつかった。

ぶつけた部分を片手で抑え、口に出すほどの痛みを我慢しながら空を見上げる。

しかし、見上げたところで、そこは空。

落とすような場所もなければ、落とせるようなものもないはずの場所。

いったいなにがぶつかったんだ?

地面を必死に探してみる。


「いったいなにがぶつかったって……もしかしてあれ?」


見つけたのは、スマホのような形をした機械だった。


「なんなのこれ」


恐る恐るゆっくり近づいていく。

何もないところから突然降ってきた機械なんて無警戒でいられるかって話だ。

その辺に落ちていた木の枝でつついてみたり、ひっくり返してみたりして様子をみているうちに、ついに勇気を出して拾い上げる。


「スマホ?にしては分厚すぎる気がするけど……」



なんやかんやで結局、家に持って帰ってしまった。

パネルをタップしても、電源マークのボタンを押したりしても、うんともすんともいわなかった。

形だけみればスマホにも見えるが、玩具みたいな位置と大きさの電源ボタンに、この握りやすいくらいの大きさ。

電池がないのかもと思ったけど、充電できそうな穴もないし、つまりこれがなんなのかわからない。

もし、これが変身アイテムなら……。

正義のヒーローの変身アイテムなんて多種多様。

ベルトに時計に筆にその他etc……携帯電話なんてものもあったし、ありえない話ではない。

現実でなければの話だが。

……誰もみてないよな?

俺は自室の扉を開け、その外を右左と確認すると、そっと扉を閉めた。

誰もいないことを確認した俺は、くるっと半回転し、正面に向かってこう叫んだ。


「変身ッ!」


妄想が膨らんじゃったらやりたくなってしまう。俺にとって当然の心理です。


「変身ッ!変身ッ!変身ッ!」


毎度ポーズを変えながら、恥ずかしげもなく、次々と叫んでいく。

こんなことをしたのは久しぶりかもしれない。

久しぶりなだけに、気持ちが大爆発し、親がきそうだとかそんなこと一切考えずに続けていく。


「変身ッ!」


そして、33回目の変身ポーズ、スターヒーローの変身ポーズをとったその時だった。


「ピピピッ。マスター承認に成功。おはようございますマスター」


「……え?」


突然に、それは起動した。




本日正午頃、大政病院にて、死体が発見されました。高校二年生でした。

これから連載し始めます。対戦よろしくお願いします。

作者です。

今日は予定どおりなら四回投稿する予定ですが、たぶん三回になると思われますので、中途半端なところで明日になったらすみません。

最近、週六で駆り出されるかもしれないという恐怖に刈られており、そんなことになった日の翌月には、仕事を辞めているかも知れませんので、そうなったら、もうちょい投稿するようになったりするかもしれませんが、たぶんないと思われますので、ゆっくり待っていただければありがたいです。

長くなりましたが、言いたいことはたった一言。

次も……読んでほしいです!

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