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桜は嫌いだ  作者: 藍内
2/2

散ってしまう桜

 桜の満開が過ぎてしまうと 彼女の病状は悪化して 花びらが全て散ったころ 彼女はもう起きあがることはなかった


 桜は嫌いだ

 どうして桜はもっと咲いていない どうしてすぐに散ってしまう

 僕は何度も嘆いた

 泣き言を言えば 彼女が帰ってくる訳でもないのに

 桜が散らなければ 彼女が生きていられた訳でもないのに


 花びらが風に舞い 落ちてくる

 彼女と初めて会った時 花びらが僕の鼻に乗っかって それを見た彼女は笑いながら その花びらを取ってくれた

 次の年 忙しくてなかなか二人の時間が作れなかった僕たちは 桜並木の下で手をつないで歩きながら 来年の今頃は 一緒に花見をしようねと 約束を交わした


 病室の窓から見る桜が 二人の最後の花見になるとは知りもせず


 彼女が好きだと言った桜


 花びらが風に舞い 落ちてくる


 二人の幸せだった時間に 共にあった桜


 満開を過ぎた花びらは 抗う力もなく



 桜は嫌いだ

 桜は どうしてすぐに 散ってしまう

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