プロローグ3
遅くなってすみません。次は一週間以内に出して見せます。
「ハァ、ハァ、ハァ、」
「さて、あなたの死因や死んださいの状況は把握しましたね。」
再び神様の前に意識を引き戻された龍牙は、荒い息を整えながら一番気になっていることを訪ねた。
「雫と凛太は大丈夫なのか?あの二人は生きてんのか?」
「残念ですが、お二人もあなたと同時に亡くなっております。」
しかし、突き付けられたのはそんな無慈悲な宣告だった。
「ですがご安心ください。お二人もあなた同様私が死んだ状況や転生の可否をお伺いしてるところです。まあ、あなたほど手早くはお話が進んではおりませんが。それで、改めてお伺…」
「その前に聞かせてくれ。なんで俺たちなんだ?ほかの二人みたいな天才はともかく、俺みたいな凡人がなんで選ばれた?」
それは、これまでの人生で幼馴染と比べられて凡人だと、特徴がない普通の人間だと、なんであんなのがあの天才といるんだと言われ続けてきた龍牙にとって、当然の疑問だった。
何せ、ある程度自我がはっきりしてきたころから二人と比べ続けてきたのだから。
「うーん、まずはその自分が凡人だという認識から改めないといけませんね。」
そう言って女神さまは話し始めた。
「確かに、あなたには俗に言う天才といわれるような特定分野の突出した才能はありません。ですが、あなたに関しては、その天才であるご友人二人と比べられ続けても芯は折れなかった心の強さと、そのお二人に追いつこうとずっといろいろな方面のことを努力し続けられる我慢強さ、そして何よりご友人二人にも共通してますがその中でも特に強い優しさ、これらのうちでも特に最後の優しさに関しては、私がサポート役を選ぶ上で特に重要視した項目です。あなたが死んでしまったあの事故の直前、確かに女の子を直接助けたのは凛太様でした。しかしあの時真っ先に駆け出して行ったのはあなた様なのです。これは誰にでもできることではありません。」
そして、龍牙がその場で恥ずかしくて顔が真っ赤になっているのを気にも留めず女神はそのまま話し続けた。
「そして何より、才能といえるのかはわかりませんが、あなたとそのご友人のお二人は成長限界が普通の人間よりも圧倒的に高いんです。まあもともと人間の成長限界は多種族と比べて高いのですが、あなたたちはその中でも特に高い。それにあなたは直接何かに特化しているわけだはありませんが、何かをまねするのや単純作業なんかが得意だったのではありませんか?」
そういわれて、龍牙は悶絶したくなるのを抑えながら人生を振り返ってみた。
「そういわれると確かに人のまねをするのとか得意だったな。」
確かに、龍牙は生徒会でも先代がやってる仕事は一回見ただけで全部覚えてたし、その後も書類整理をはじめとした地味で単純な作業を普段はやっていた。何より、これは幼馴染二人しか知らないことだが、とある世界中にプロもいるゲームで、龍牙はひたすら地道にコツコツと練習を重ね、そのゲームの日本大会では準決勝まで勝ち上がり、世界大会にも出場しているのだ。
そういう意味では龍牙も、周りの何も知らない学校やご近所からは凡人扱いされていたが、凡人ではないのかもしれない。
「つまり、あなたはほかの人間と比べて集中力や模倣力、成長スピードにたけているということです。ほかにも…」
「とりあえず俺が選ばれた理由は分かった。で、転生先についての情報なんかはくれるんだよな?」
いままで人に褒められることがあまりなく恥ずかしくなってきた龍牙は、話をさえぎってこれからのことに戻した。
「もちろんです。あなたには、これから<アペイストス>という世界に転生していただきます。この世界は、あなたのいた地球の物語りによくある剣と魔法のファンタジー世界です。あなたはこのせかいでも最大の国家である<イリオス帝国>の武官としての名門中の名門、<七星忠剣>のうちのどこか好きな家に次男として転生していただきます。この家々はその圧倒的な個人個人の実力と皇帝への忠誠心で神々の間でもまあまあ有名なんです。なのでこの家に転生して、魔王復活と勇者召喚が行われる18年後までに勇者パーティーの一員にふさわしい力を身に着けてください。もちろん人間の範囲内で最高クラスのスペックの体と能力は与えます。といっても、勇者みたいなチートなわけではないですが。あなたみたいに成長限界が圧倒的に高い魂の持ち主なら、頑張れば人類としてはいい線まで行けると思います。」
そこまで言われたところで、龍牙に一つの疑問が浮かんだ。
「人間の範囲内で最高スペックの体と能力と言ったが、その能力って何だ?ラノベとかでよくあるスキルみたいなのってことか?」
内心ワクワクしながら龍牙は尋ねた。龍牙は家に数百冊ものラノベや様々なキャラのグッズやフィギュアなどが飾ってある生粋のオタクで、ずっとこのような展開になったらこうしようといった想像をしていたほどの筋金入りなのだ。
「ええ、その通りです。といってもゲームのようにステータスがあるわけではありません。この世界でスキルはあくまでもその者の才能や向き不向きを示すだけです。」
「つまりスキルがあることについては伸びが良かったり吸収しやすいってことでいいか?」
「はい。その認識で構いません。それでは、この一覧からお好きなスキルを計10枠分まで選んでください。この空間の時間は外部とは隔離されているので何年だろうと悩んでかまいませんからね。」
そう言われた龍牙は一覧だと言って渡された並の辞書五つ分はある分厚い本を開いた。最初にはスキルそのものの説明と各ランクごとに使用する枠数、簡単な注意事項が短くまとめられ、二ページ目からは最低の一枠分しか使用しないスキルから始まり、ずらっとスキルの名前と効果が書かれていた。早速龍牙は内心ワクワクしながらその分厚いスキル一覧に目を通し始めるのだった。
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そして龍牙がスキルを選び始めて1週間がたったころ、
「終わったー!」
と、達成感満載の声が何もない世界に響き渡った。
次でプロローグ最後です。