どうも『呪術師』です、人に『呪い』を説明する覚悟を持ちました
アルク達は上空に居る巨大な竜を見上げていた。
「―――――――――!!!!!!!」
先ほどの極音、極光の後もう一度龍種の頂点が火球を放とうとした瞬間、アルクが言葉にならない言葉を唱えた。その直後のことだった、龍種の頂点の口に溜まっていた魔力が霧散した。
「!?!?!?!? あなたぁ、いったい何をしたのかしらぁ!?」
マシットが疑問の表情を向けてくる。
「………………………………」
「……なんにせよ、逃げた方がよさそう……」
その通りだ、アルクはかけなくていいちょっかいを龍種の頂点にかけてしまった。
「すまない、だが、言えない」
「まあ人には言えない秘密というのは大なり小なりあるものですからねぇ。事前に相談をするべきだと思いますけどもぉ」
だから、標的がキリオン達からアルク達へと変わってしまった。だがしかし、火球は放たれない、アルクのした何かが、『呪い』が、それをさせない。
「やばいって! なんかこっちへ突進してきてるって! 私死ぬから!」
「……死なないから、大丈夫……」
「ねえ! あの巨体が突進してきたら死ぬよね!? 楽観視できないよ!」
龍種の頂点は火球が使えないとみるやいなや、その圧倒的な巨体を使いアルク達をすりつぶしに行く。
「……でも、明らかに弱体化してる、動きも鈍いし……」
「多分ですけどぉ、アルクさんが何かをしているのでしょぉ」
「(まだだ、まだ駄目だ。まだ殺せない)」
少しづつ、少しづつ『何か』を削り取り、留める。
「(………………………………いける……けど)」
アルクは三人を見る。
「(知られたくない、俺の『呪い』の能力を)」
だがしかし、そうアルクが思った瞬間だった、龍種の頂点も魔力を溜めていた、削られる中で貯金していた。龍種の頂点はその魔力を開放し、火球をアルク達へと放つ。しかし、やはり万全の状態でないからか最初に放った火球よりも小さいものである、だがそれで十分だった。
「ッウ!?」
狙ったのはアルク達ではなかった、狙ったのは……………………。
「逃げ道が!」
狙ったのはアルク達が走っていたその先、つまり目の前の木々であった。
アルクは選択を迫られた、このまま何もせず死ぬか、もしくは自分の過去の過ちを清算するための一歩踏み出すか。
「(そんなの……決まっている)」
アルクは後ろを振り返り龍種の頂点を見据える。
「そんなの決まってるよなあああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!」
そして、『呪い』を放った、禍々しいどす黒い球体の『呪い』を。
『呪い』は燃える森の中を突き進み、触れる物全てを飲み込み、消し去っていく。
龍種の頂点はその『呪い』に当たるとまずいと感じたのか余った魔力を使いレーザー丈の炎を放ち『呪い』を消し去らんとぶつけるが、『呪い』はそれすらも飲み込んでいく。
「!?!?!?!?!?!?!?!?!?」
この『呪い』を止めることは出来ないと悟ったのか、自らの進行方向を変えその『呪い』を躱すが追尾する。そして、『呪い』は龍種の頂点を飲み込み、そして『呪い』はその瞬間龍種の頂点と共に消え去った。
そしてそのことを確認したアルクは三人の方へと向き、頭を下げた。
「……すまない、俺が要らんことをしてしまったせいで、君達を危険な目に遭わせてしまった。申し訳ないと思っている」
三人はアルクの謝罪を黙って聞いていた。いや、正確にはあまりの威力に呆けていたといってもいい。そして、そんな静寂を破ったのは……。
「す」
メリッシュだった。
「す?」
「すっごーーーーーーい!!!!!!!! 何あれ何あれ何あれ!!!!!!!!」
「え? 何で俺の覚悟こんな簡単にフワフワな雰囲気にされてんの?」
「まあそれがメリッシュさんですしぃ、それにあの時点であなたが余計なことをしていなければ街が吹き飛んでいたわけですしぃ。そんなに責めることでもないでしょぉ、説明はしてもらいますがぁ」
マシットはアルクの顔に向けて小さい方のハンマーを向けてそう言った。
「……なるほど……」
コープルはとんでもないものを見る様な目でアルクを見ていた。
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