どうもゴブリンを狩に行くことになりました
早朝、アリアはどうやら寝坊してしまったみたいで、一人で行くことにした。女将に事情を説明して証明書を借り受け、アルクはポーションを受け取りにギルドへと向かった。
「流石に手伝っただけで金を貰うのは申し訳ないからな。全部運んどいてやろう」
ギルドに着くとまず受付へと向かった。受付にはいつも見慣れた眼鏡のお姉さんがおり、いつものように書類整理をしている、早速アルクは声をかけた。
「すいません、『マスト』からやってきました、ポーションが届いてると思うんですけど」
「あ、パーティ追放されたアルクさんじゃないですか」
「耳が早いですね」
「まああなたがあのパーティーの足を引っ張っていたのは事実ですしね、まっ、やめさせられて良かったですね。心機一転して違うパーティーに行くことをお勧めしますよ、枠が余ってるところに紹介してあげましょうか?」
「大丈夫です、お金が溜まったら帰るつもりなんで。薬草採取でもして稼ぎますよ」
「それは残念。そうそう、ポーションならまだ届いていませんよ、どうやら商人のキャラバンがモンスターに襲われたようでね。現在『世界の頂点』が対処に向かっています」
「……そうですか」
「何でそんな心配そうな顔してるんですか」
「いや……別に」
「まあいいですよ。というかどうせしばらく届かないんで何か依頼受けて行ってくれません? ゴブリン退治とかしてくれるとありがたいんですけど」
「あ~じゃあそれを受けておきます」
「じゃあそういうことで」
そうして手続きをしている途中で一人の女が二階からアルクの頭へ向けて頭から降って来た。
「ぎゃあああああああ!!!!!!!!」
「え?」
ガッチーン!!!!!!!! という音を響かせ頭と頭が大衝突。
「うおおおおおおおおおいてええええええええ!!!!!!!!」
「きゃーーーーーーー! すいませんすいませんすいません!!!!!!!!」
どうやらダメージを受けたのはアルクだけの様で少女の方はけろりとしている。謝り続けている少女はショートカットで腰に剣を携え、胸にプレートを当て、そのほかは機動性重視の装備をしている。
「あ、自己紹介が遅れました! 私、メリッシュと言います、大丈夫ですか?」
「あ、ああ。大丈夫だ」
「全くぅ、メリッシュはぁ、そそっかしいからそうなってしまうのよぉ」
「でも落としたのマシットだよね? 私悪くなくない?」
二階の踊り場の手すりに肘を置きメリッシュと喋る少女は何やら気品のある様子で、茶色のツインテールにひらひらとした服、背中には巨大なハンマーを掲げている。
「……最初に喧嘩を売ったのはメリッシュ……」
「え? コープルまでひどい」
もう一人少女が踊り場へと現れた。少女はどうやら神官なのか手には大きな杖を持っており、髪色と同じ体格に合わない紫色のローブを着ている。
「あ! ていうかその依頼受けようと思ってたやつじゃない!」
メリッシュはアルクの持っている依頼書を指さし大声でそういう。
「ああ、それは悪かったなだったらこの依頼は受けないでおk―――」
「仕方ないから一緒に受けましょうその依頼!」
「へ?」
「だからその依頼を一緒に受けようって言っているのよ」
「いや全然譲るっt―――」
「お姉さーん! 私もこの依頼受けます」
「了承しました」
「了承しないでください、四人ですね」
「ありがとうございます! さ、皆行くよーーー!!!!!!!!」
「分かったわぁ」
「……了解……」
「俺了解してないんだけど」
「良いから良いから!」
「そこの二人はそれでいいのかよ」
アルクはマシットとコープルへと指を指し聞く。
「そうねぇ、メリッシュは一回言い出したら聞かないからぁ、諦めた方がいいわねぇ」
「……マシットの言う通り、諦めるのが吉……」
「行ってらっしゃーい」
面白がるような表情で笑う眼鏡の受付のお姉さん。
「そんな勝手あるかああああ!?」
そんなことを言い残しアルクは三人に(主にメリッシュに)連れられてギルドの外へと出て行った。その姿を見送った眼鏡の受付のお姉さんのもとへムキムキの髭面ギルド長がやって来た。
「まずいことになった」
ギルド長は神妙な面持ちで眼鏡の受付のお姉さんへと報告をする。
「キリオン達の事ですか?」
「そうだ」
「あのパーティーはアルクが居なくてもAランク相当の力があるので大丈夫だと思いますが?」
「昨日の時点で私が止めておくべきだったよ、アルクの追放を」
「一体何があったんですか」
ギルド長は重苦しい口を開けてこう言い放った。
「どうやら商人を襲っているのはSSS級モンスター……龍種の頂点らしい」
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