表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
独身貴族は異世界を謳歌する~結婚しない男の優雅なおひとりさまライフ~  作者: 錬金王
四章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

118/157

独身貴族はハーブにハマる

四章スタートです


 王都の北区にある緑地を走る。


 とはいっても全力疾走ではなく、日課であるランニングだ。


 太陽が完全に昇り切っていない朝の時間帯は、歩いていてもじっとりと汗をかかず涼しい。


 そんな過ごしやすい時間を無駄にしないために、この季節はランニングを朝にすると決めている。


 暑いというのは言い訳であって、こうやって工夫をすれば他の季節と何ら変わりなく行うことができる。


 涼しいのは夜も同じだが暗くなってしまって視界が悪い。その上、酔っ払いがうろついていたりと肩を組んで歌っていたりする。単純に走ることに集中しづらいのだ。


 そういったわけでこの季節のランニングは朝だ。


 夏だからといって中断するのは単に止める理由を探しているだけだろう。


 緑地には人がほとんどいない。


 結構な距離を進んでいるが、すれ違った者は同じようなランナーと朝番の衛兵くらいのものだ。この人気の無さがとてもいい。やはり朝は静謐であるべきだ。


 静かな始まりがあってこそ良い一日が始まるというものだ。


 なんて考えながら走っていると、前の方で立ち止まっている人物が見えた。


 片方は立っているが、もう片方はすっかりへばっているらしい。


 帽子を被り動きやすそうな衣服をしていることから俺と同じランナーか。


 道が塞がれていて邪魔だ。


 ランナーであれば、しっかりと周りを見て、他のランナーのペースを乱すようなことは控えてもらいたいのだが。


「ぜえ、はぁ……もう無理ィッ!」


「ええ? もうへばったんですかカタリナ? まだ少ししか走っていませんよ?」


「はぁ、はぁ……おかしいわね。前はもう少し走れたんだけど……」


「ずっと部屋にこもりっぱなしなのが良くなかったんですよ」


「だって、クーラーがあると涼しくて家に出たくないじゃない……?」


「気持ちはわかりますけど健康や体型の維持のためにも運動は必要です。ほら、カタリナも最近は油断して、お腹の辺りが……」


「やめて! ローラ、触らないで!」


 よくよく見てみると迷惑なランナー二人はカタリナとローラだった。


 以前はそれなりに運動ができると豪語していた彼女だが、夏の暑さとクーラーの誘惑に負けてすっかり運動不足のようだな。情けない。


 それにしても、ランニングコースが被るとは……。


 この緑地は人通りが少なく、道も平坦で走りやすい。その上、芝や木に囲まれていて景色もいいのでお気に入りだったのだが、あの二人が使うようであればランニングコースを変える必要があるな。


 リズムを崩すことになるが仕方がない。あの二人に絡まれるよりかはマシだ。


 俺はくるりと踵を返して来た道を戻ることにする。


「新しいランニングコースでも開拓するか」


 朝の心地いいランニングくらい独りでやりたいからな。




 ●




 ランニングを終えるとアパートへと戻る。


 その頃には太陽は昇り切り、気温は徐々に蒸し暑いものになっていた。


 これくらいの時間になるともう暑いので、やはりランニングは早朝が正解だな。


 自宅に入るとクーラーをかけ、衣服を脱いで風呂で軽く汗を流す。


 朝から汗をかいて洗い流すのは心地がいい。


 お湯で身体も温まったお陰か頭もスッキリとする。


 ドライヤーでしっかりと髪を乾かし、リビングに入ると空気はすっかりと冷えている。


 クーラー様々だな。


 冷蔵庫からガラスのピッチャーを取り出す。


 中に入っているのはハーブウォーター。


 コップに注ぎ、スライスしたレモンやハーブを添えてやる。


 グラスを煽ると、口内でハーブの爽やかな風味とレモンのほのかな酸味が広がる。


 喉越しが良くスルリと喉を奥へ通っていく。非常に爽快な味だ。


 汗を流した身体に水分がしっとりと染み渡るようだ。


 ハーブウォーターを作るのは俺の中でのちょっとした流行りだ。


 ハーブ、氷、レモン、水を入れて冷蔵庫で冷やすだけ。手間とも言えないような簡単な作業をするだけで、このように美味しい飲み物が作れる。


 夏は暑さのせいで食欲が落ちてしまいがちだが、ハーブウォーターならスルリと喉を通ってくれるので大変嬉しい。


「……少しミントが足りないか?」


 こくこくと飲んでいると少しだけミントの風味が弱いように感じる。


 前回、ミントを多く入れすぎたので少なめにしたのだが、今度は少なすぎたらしい。


 ミントの風味が足りないと思った俺は、ベランダに出る。


 そこにはたくさんの植木鉢が並んでおり、たくさんのミニ野菜やハーブたちが栽培されている。ベランダ菜園というやつだ。


 最初はベランダとはいえ、植物を存在させることに抵抗があったが、やってみると意外と悪くない。


 そもそもハーブとして使用された植物は、もともと荒れた野や山岳などの厳しい環境で育つ植物なので丈夫で育てるのは簡単だ。


 滅多に枯れるようなことはないし、あまり虫も寄ってこないからな。


 植木鉢で育てているミントを摘み取るとグラスに入れた。


 摘みたてのミントが清涼な香りを放ち、味わいもちょうど良い感じだ。


 ピッチャーにも入れたので一時間もすれば味が染み込んで馴染むだろう。


 こういった時のようにちょっと物足りない時に、すぐに採取して料理に追加できるのがベランダ菜園のいいところだ。ベランダであればわざわざ外に買いに行く必要もないしな。


 今はまだあまり種類がないが、栽培にも慣れてきたので種類を増やしてもいいかもしれない。


 水分補給をしてホッと一息つくと、じっとりと肌に浮かんでいた汗はすっかりと引いた。


「朝飯を作るか」


 少し身体を休めると、そのまま動き出すことにする。


 ベランダにはせっかくハーブがあることだ。朝食はハーブを使うことにしよう。


 ハーブ入りのオムレツなんていいかもしれない。


 ハサミを手にした俺は再びベランダに出て、ミント、万能ネギ、パセリを適量採取。


 台所に移動すると、ミントの葉を手で千切り、ネギとパセリをハサミでそのままカット。


 ボウルに卵を二つ入れると、軽く塩胡椒をかける。


 さらにカッテージチーズを加えると、適度に混ぜる。


 フライパンにバターを落とすと溶けだし、クリーミーな香りが漂う。


 バターが全部溶けたところで、先ほど梳いた玉子を入れる。


 中火でそのまま火を通し、周りが白くなってきたら軽く混ぜる。


 そこにネギ、パセリ、ミントといったハーブ類を真ん中に投入。


 フライパンをトンとひっくり返すと、綺麗に玉子で覆われた。


 きっちりと形を整えると、そのままお皿に載せた。


 付け合わせにはパンを用意し、ヨーグルトにはミントを添える。


 ハーブを使った洋食風の朝食の完成だ。


 リビングのテーブルに移動して、早速食べることにする。


 まずは出来立てのハーブオムレツ。


 スプーンで割るととろりとした黄身が出てきて、中に入っているハーブが露出する。


 口に運ぶととろりとした黄身の味と、カッテージチーズの味が広がる。


 そして、追いかけるようにネギの食感やパセリやミントといった爽やかなハーブの風味がやってきた。


 そのまま食べてもいいがパンに載せて食べても美味しい。ケチャップなどのソースは別に必要ないな。


 ハチミツをかけたヨーグルトも、ミントがあるお陰がいつもよりもさっぱりとしている。


 ランニングをしてお腹が空いていたこともあってか、あっという間に朝食を平らげた。


 ベランダから採取したハーブを使った朝食。爽やかで夏らしい味わいだ。


 食が進んで暑さにも負けない身体が作られること間違いなしだな。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちら新作になります。よろしければ下記タイトルからどうぞ↓

『異世界ではじめるキャンピングカー生活~固有スキル【車両召喚】は有用でした~』

― 新着の感想 ―
[一言] カタリナに見つからないの?!
[一言] 家庭菜園、、、ミント、、、バイオテロ うっあ、頭が、、、
[良い点] フラグしっかり折っていくの草
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ