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職業①

バリスの謝罪の言葉の後、牢獄内を静寂が包むなかトマスは考える。


 ‐これから先、どうしたものか。もしかしたら今よりも酷い目に遭うかもしれない。どうにかしてこの牢獄から脱出したいが、まずはどうなるかだな。


 「バリス、聞こえてるか?質問がある。」


 「何だ?」


 「これから先、この牢獄にいる人間はどうなるんだ?単純にこのままなのか?それとも、他の囚人と同じで労働に従事させられるのか?ここまで連れてきて意味はないと思うが殺されたりしないよな?」


 バリスは少し間を置いてから答えた。


 「全て恐らくという前提がつくが、労働者として配属されるだろうな。というか、奴隷島の事は外のイチ人間としての知識しか知らないぞ。」


 「その奴隷島の事を教えてくれ。」


 「そうだな。。。ここは重犯罪者収容施設であり、同時に鉱石採掘所でもある。この奴隷島は不思議な土地らしくてな。鉄が温床が出たと思えば銀が出たり、稀にだけどミスリルも出たりする島らしいんだよ。モンスターも居なければ、学者が調べても過去に文明があったわけでもねぇ。だから皆は口をそろえて不思議な島だと言っている。だが、ここは大陸から離れた島だ。採掘するには膨大な費用が発生する。その為の犯罪奴隷という事だ。」


 「ここから出たヤツはいるのか?」


 「出所の事か?それはないな。さっきも話したがここには重犯罪者しかいない。野に離したって碌な事にはならないさ。だが、ここから脱出したというのが過去に数人いたが、どれもその後に捕縛若しくはその場で死刑になっている。」


 「そいつらはどうやって出たんだ?」


 「細かな情報は聞いたことが無いな。国としても逃げた方法なんて流すだけ損だろうしな。正直分からん。特殊なスキルや能力があったんだろうなというのが個人的な見解だな。」


 ‐ゲームや漫画みたいに道具とかでスキルが封印されているわけではないのか。。 というか、この辺りの知識が俺には無さすぎる。自分の力をつけるにもここの知識は絶対必要だな」


 バリスが2人目と3人目の話をしている中、トマスは自分の足りない知識を補うべきだと考え、質問を続けた。


 「なぁ、バリス。その特殊スキルはどうやって身につけるんだ?俺にはそのスキルとかレベルなんかの知識が足りなさすぎるんだよ。」


 「ん?あぁ、特殊スキルか。これは15過ぎて教会で覚醒の儀をうけて覚えることもあれば、生まれながらにってヤツもいる。後は職業の影響を受けて覚えたり、レベルが上がったタイミングって事もあるし、日々の鍛錬によって覚えることもあるらしいな。要は、どんな時でもあり得るってことだ。」


 「スキルは覚えることが出来るんだな。覚醒の儀って教会じゃないとダメなのか?」


 「正確には教会が管理している解放神の像に祈りを捧げるとスキル覚えたりするらしい。他の国はどう管理しているのか知らないが、この国では主に教会が管理している。」


 「レベルに関しての質問だが、例えばレベルが99の男が居たとする。そこにレベルが10の男が槍で突き刺した場合、怪我を負わせられるのか?」


 「??負わせられるに決まっているだろう。急に何を言っている。」


 「レベルが上がるとステータスが上がるだろ?あまりにも差が開くと傷すら負わせられないんじゃないかと考えてな。」


 「いや、そういうものではないぞ。トマス、ステータスの項目は覚えているか?「力」「体力」「魔力」「知性」「運」だ。ステータスの数字があがるからと言って、皮膚が強くなって傷がつかないということではない。刺せば刺さるし、殴れば痛いさ。99超えとか聞いたこともないが、そのレベルに達すると身体能力には格段の差が生まれるとは聞いている。攻撃が当たることもないのかもしれないな。」


-漫画みたいにレベルが上がったらダメージがないってわけではないのか。


 「ステータスを上げるのはレベル上げるとかしかないのか?」


 「職業、スキル、装備、魔法、称号、方法は色々あるな。それこそ上がる事もあれば下がることもある。特に注意しないといけないのは職業とスキル構成だな。」


 「確かにステータスに職業の欄があったな。」


 「トマス、もしかして職業の欄は空白か?」


 「空白だな。」


 「職業をタップしてみろ、職業を選べるぞ。だが、職についたことがなくて子供なら、大した職業はないかもしれんが。。。」


 「ん?もしかして他の項目もタップできるのか?」


 「できるぞ。スキルや称号の説明なんかが表示されるな。」


 「そうだったのか。。。少しさわってみるよ。」


 バリスにそう伝えるとトマスは小さな声で「ステータス。。」と呟いた。すると目の前には先ほど確認したステータスが表示される。


 ー---------------------------





 名前:トマス・フローディア


 年齢:13歳


 LV :7


 職業:





 力 :13


 体力:11


 魔力:8


 知性:51


 運 :21





 スキル:チャンバラLv9 剣術Lv1 体術Lv2 多感Lv1


称号 :「親殺し」「記憶の残滓」 


 ー---------------------------

 トマスは、職業をタップしてみた。すると目の前の画面には先ほどとは異なる文字が表示される。

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 名前:トマス=フローディア


 職業は下記より選択されます。


 ・選択可能職業

 学生、M&Aアドバイザリー、雀士、ガキ大将、剣士、格闘家、


―――――――――――――――――――――――――――――


 「・・・・・。」


 トマスは職業の欄を一度見たあと、目を閉じた。


 ‐これは・・・学生とM&Aアドバイザリー、雀士は前世の記憶のせいだな。学生はともかく他はこっちの世界にないしな。あとはガキ大将と剣士と格闘家か。。説明とかもあるのかな。


 トマスは、おもむろに剣士をタップしてみた。


 ―――――――――――――――――――――――――――――

 名前:トマス=フローディア


 職業は下記より選択されます。


 ・選択可能職業

 学生、M&Aアドバイザリー、雀士、ガキ大将、剣士、格闘家、


 剣士=剣とは何か。その答えを求めるものが選ぶ職業。

―――――――――――――――――――――――――――――


 -・・・・・・・・相当意味深というか、興味引いてほしいアピール全開の文だな。この文を作っているヤツがいるとしたら売り込もうとしているのを感じる。


 トマスは格闘家をタップしてみた。


―――――――――――――――――――――――――――――

 名前:トマス=フローディア


 職業は下記より選択されます。


 ・選択可能職業

 学生、M&Aアドバイザリー、雀士、ガキ大将、剣士、格闘家、


 格闘家=この拳、この脚で天へと昇華するのか。

―――――――――――――――――――――――――――――


 -・・・・・・・・・・・・・・・・・。


 トマスは何も思うことが出来なかった。ただしかし、黙々とタップし続けた。


―――――――――――――――――――――――――――――

 名前:トマス=フローディア


 職業は下記より選択されます。


 ・選択可能職業

 学生、M&Aアドバイザリー、雀士、ガキ大将、剣士、格闘家、


 学生=学び舎にて将来への足掛かりを掴む者。若者よ研鑽たれ。

―――――――――――――――――――――――――――――


―――――――――――――――――――――――――――――

 名前:トマス=フローディア


 職業は下記より選択されます。


 ・選択可能職業

 学生、M&Aアドバイザリー、雀士、ガキ大将、剣士、格闘家、


 M&Aアドバイザー=この世界ではまだ未確立の職業。企業買収の仲介業務を担う、もしくはアドバイスを行う職業。単なる仲介とは異なり企業を売買する間に立つ為、高度な折衝能力、会計監査、金融や会社法等の多岐に渡る法的根拠に基づいた知識を活かした職業。異世界歴2014年最もHOTな職業に選ばれている。

―――――――――――――――――――――――――――――


―――――――――――――――――――――――――――――

 名前:トマス=フローディア


 職業は下記より選択されます。


 ・選択可能職業

 学生、M&Aアドバイザリー、雀士、ガキ大将、剣士、格闘家、


 雀士=博打とは人生そのものなり。その背中は孤独で孤高。

―――――――――――――――――――――――――――――


 -正直、前世の職業が表示されているのには驚いたけど説明文見るとそれ以上に驚くな。この説明の元はどこから来ているんだ?俺の知識がここに表示されているのか?それとも、ステータスを管理する何者か、それこそ神みてぇなもんがこの説明文を表示しているのか?発達しすぎた化学は魔法に見えるというが、不思議過ぎて理解は到底及ばないな。。ん!?


 「なぁバリス。職業に魔法関係がないが、魔法使い的な職業はなれないのか?」


 「ん?ああ、お前ステータスで魔力に数値はあるか?」


 トマスはステータスを確認しながらバリスに伝えた。


 「ある・・・な。あるぞ。」 


 「それなら、魔法の使い方を覚えれば職業に現れる可能性があるな。」


 「そうか。それで、そもそも魔法はどうやって使うんだ?」


 「・・・・・・お前、母親がお前に魔法の使い方を教えてないのか?」


 「ん?いや教えてもらってないが?お前は俺の母親が魔法使いというのを知っているのか?」


 「あのなぁ、王都でお前の両親を知らないヤツはモグリと疑われるレベルだぞ。クロックス砦の殺戮者ブロディアス、髑髏抜きのエリスと言えば誰もが知っている名だ。聞いたことないんか?」


 「クロックス砦?殺戮者・・・・・・いや。俺の両親って物騒な通り名があるんだな。」


 「マジで聞いたことないのか?国では半英雄みたいな話だぞ。隣の連合国が境界に立てたクロックス砦、その砦に赴任してきた国の上級役が近隣の村を蹂躙したりする無茶苦茶なやつでよ。当時近くで鍛錬していた第7騎士団の副隊長ディロ=ハインズ、特攻隊長ブロディアス=フローディアが激ギレして、そのまま砦に乗り込んで80人近い兵士を惨殺した上に後からきた敵国の将軍に説教垂れまくって謝罪させて連合国首都に帰したっていう話だ。正直逸話だぞ。それと、お前の母親は水魔法と回復魔法を併用した特殊な魔法で戦闘中の相手の顔からそのまま髑髏を抜き出して殺すっていう、正直関わりたくもない危険人物だったんだぞ。狩猟者ランクもBだったしな。」


 -こわっ!何それ!もうホントに冤罪なのか疑わしくなってしまう感覚があるんだが。


 「・・・アンタ、よくウチの両親に嘘の量刑言い渡したな。」


 「家族の命かかってんだ、怖いけど何より必死よ必死。」


 「そうか。そりゃそうだな。あとなさっき話した魔法を習得するには?」


 「ああそれなんだけどなぁ。細かくは知らないが、ステータスに魔力が入っているなら、体のどこかに魔力が溜まっているはずだ。それを感じ取って、魔法の出力を上げるというのが魔法使いの初めの1歩だったはずだ。」


 「魔力の場所ねぇ・・・。」


 「トマス=フローディア、兵士に見つかったら魔法は見えるなよ。魔法禁止の腕輪なんか付けられしまうからな」


 「そういうの、やっぱりあるんだな。ありがとな。」



 トマスは今後のことも含め、思考の海に潜る。


3日に1度のペースで投稿します。

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