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#01

朝、おれは現在の日本の家賃3万の部屋にはありえない感覚で目を覚ました。

小鳥の鳴く声、腕に当たる草は濡れている。


「・・・」


「・・・」


「草?!」


驚きのあまり飛び起きてみると、目の前にあったのはいつもの物が散らかった小汚い部屋ではなく、一面草木が生えていて、近くには泉もあり、木漏れ日の差し込む空気の綺麗な空間だった。


「あっ…」


状況が理解できずにおれの口から漏れた声は今までのおれの声とは思えない、高い声だった。服装は動きやすい寝間着兼部屋着ではなく麻布で出来た着やすいとは言えない半袖の服に丈夫そうなミニスカート、それに皮のブーツといったものだ。

そして気のせいか身長も10センチほど小さくなった気もする。

近くにある泉に駆け寄り自分がどうなっているのかを確かめる。

髪は紺色、先端が青くなっている。そして以前のおれに比べて丸顔。


「この顔、どこかで見たことが…」


ふと昨日奇妙な夢を見たのを思い出す。

おれは今、夢で作ったキャラ「未火月 マナ」になってしまったみたいだ。


状況が整理でき始めたのとほぼ同時に空が暗くなる。いや、黒くなっていく。

おれが空を見上げるとはるか上空にとてつもなく大きなビビが入っている。

そこから真っ赤な球体が半分ほど姿を現し、静止する。


『ようこそ、私の世界へ。』


球体から男の声と女の声を重ねてノイズがかかったような声が聞こえてきた。


『只今より、チュートリアルを開始します』


謎の声は続ける。


『右の人差し指と中指を揃え、左にフリックするとイベントリ画面を開くことができます。アイテム整理やステータスなどはそこからみることができます』


言われた通りにやってみる。

まず指を揃えると無音で指から1センチほど先に白い2重の円が出てくる


「うわっ」


驚きつつもそのままフリックすると、視界右から角の取れた四角形の形の物、イベントリ画面が現れた。

画面左側に自分がいるちょうど正面から自分を写した感じだ。自分が右腕をあげると画面に映る自分も右腕をあげた。


「ヘぇ〜面白いじゃん」


その下に体力バーと思われる青い棒、さらに下には色の違う黄色の棒が日本、それぞれ水滴マークと肉マークが付いている。

自分の上には|未火月 マナ《mikazuki mana》の文字。

画面の右半分は正方形が横3×縦6で並んでいる。アイテムスロットらしい。

1番下の列だけは少し他と離れている。


少し眺めていると面白いものを発見した。アイテムスロットの1番端に剣がある。


『アイテムは上の枠から下の枠にドラッグアンドドロップで装備することができます』


素晴らしいタイミングで教えてくれたので実践してみると目の前に光の粒が集まり、剣の形になった。それに手を添えると剣として実体化する。


「へぇ〜作り込んでるんだな」


イベントリを閉じる時は左端を右にスライドすればいいらしい。

イベントリを閉じると視界の左上に青いバーが1本と黄色いバーが2本、左下にスロットが3つある。


『最後のチュートリアル、戦闘です』


「えっ?」


どうやらこの薄い服と剣1本で戦闘をやらされるらしい。しかも慣れない体で。

すると、茂みの奥からうなり声が聞こえてくる。


「グルルルルル」


茂みの中きら顔を出したのは1匹の狼。おれの腰くらいの大きさで、全身毛は薄灰色で目は赤く輝いている。

おれの頬を冷たい汗が伝う。

おれは剣を持ったこともないし、戦ったこともない

狼はおれの周りをゆっくりと周りながら近づいてくる。

狼が草を踏む足音や自分の心臓の音まで妙にリアルでおれをあせらせる。そんなのはお構い無しといった感じて狼は威嚇を続ける。

おれが一瞬来ないのかと気を抜いた瞬間、狼はおれめがけて飛びかかってきた。


「グルァァア!」


おれは間一髪朝露で濡れた草で足を滑らせ攻撃をかわしたが見事に尻餅をついてしまった。


「グルアアアア!」


狼はもう一度吠えると再度飛びかかってくる


「痛いっ!」


なんとか転がって避けることが出来たものの、太ももを狼の爪がかすり、赤い血が出ている。体力バーも1割ほど減っている。なんとか立ち上がって逃走を試みるもすぐに回り込まれてしまう。


「これ本当にチュートリアルかよ…」


弱音を吐くおれにに興味も示さず狼は次のチャンスを狙っている。


助けを呼んでみるか、だめだ。こんな所で大声をだしてさらに強い敵が集まってきたら状況は悪くなる。

また逃げるか、だめだ。また回り込まれるだけ。


「こうなったらやけくそだ!」


勢いよくさっきから握りしめていた剣を鞘から抜く。

シャランという音と共に剣を抜く。パッと見た感じそこまで切れ味は良さそうではないが、ないより全然心強い。


次の瞬間狼は3度目の飛び掛かり攻撃をしかけてきた。


「グルァア!」


この瞬間戦い方がなぜか頭の中に思い浮かんだ。


「これだっ!」


おれは軽く腰を落とし右手に持った剣を頭の左側に持ってくる。そして1瞬だけ硬直すると全身にビリビリと振動が伝わってくる。そして前方が暗く、いや後ろが明るくなる。剣が発光している。そのまま体が謎のエネルギーに押され、驚くほど高く跳躍した。2メートルほど飛んだと思う。

そしてちょうど狼はおれの下にいた。


「やあぁぁぁぁあ!」


おれは謎のエネルギーに流されるまま剣を振り下ろした。

狼の腹に剣はあたり、ザクッと剣が狼の体に刺さり、赤い血を撒き散らす。それと同時にとてつもない抵抗感を感じたがむりやり剣を押し込んだ。


「グギャァァア」


狼はこの世のものとは思えない断末魔を上げながら3メートルほど吹き飛び動きを止めると限りなく黒い紫色をした小爆発と同時に消滅し、死体があった場所にはなかなかデカイ肉の塊が落ちていた。


こうしておれの異世界で初めての戦闘は終わった。


くだらない話ですが狼の鳴き声結構悩みました(笑)

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