閑話、祝賀会の断片的な記憶
前話のラストに書いたものですが、シマリが悪いので閑話にしました。
とても短いのでオマケ程度にご覧ください。
新人戦の夜、イライザの店で祝賀会を開いてくれた。
財布はもちろん俺たち持ちだけどな!
まあ、お酒をバカみたいに飲んだのであまり記憶がないのだけど、覚えてることをチョロリと話しておこうかと思う。
イライザとクルリは【ベッツ】でちゃっかり儲けてて、クルリのやつなんて俺達の賞金より稼いでやがった。
二人ともアオイを軸に主要選手を買っていたらしい。
ナラハシは何故か俺から流したらしいので大損。とりあえず酒をたくさん奢ってやった。
そういやあのディレクターはまんまとスカンピンになったそうで、ナラハシの元同僚経由で鼻水を垂らして絶望に満ちたディレクターの顔画像が送られてきた。
イチカは賭けてないとか言ったけど、ポケットから落ちた投票券をアオイが掴み取って見てみると、俺とアオイの連勝に100円だけ賭けたものだった。どうやら記念に買ったらしい。
嬉しくなったアオイに抱きつかれて顔を真っ赤にして「離れろよ!」とイチャついていました。
後はオッサンが顔を出してくれてタマジロウはどうしたのか聞くと、「頑張ってヨーコを誘ってみると言ってたぞ」とのこと。
しかしヨーコは俺達と一緒に飲んでるわけで、しかも、その会話を後ろで聞いていたらしく、俺の肩からひょこっと顔を出したのを見てオッサンは「おっと失礼」とウインクをした。
で、ヨーコがいるぞとタマジロウに電話をしたらぶっ飛んできて、そのくせヨーコとロクに話すこともできない童貞気質を発揮していた。
俺の読みでは、ヨーコも悪い気はしてないと思う。うまくいくことを願いつつ、俺が逃した柔らかきものを少し惜しくも思ったり。
そして、イライザと話しているときに思い出して、俺達に無くてタナカやピグマリにあるものって何?って聞いてみたら、『頑張ったから教えてあげる。正解は冒険者としての野心。この点はまだまだ物足りないわね』だと。
……知らねーし。必要性がわかんねーもん。
あ、もちろん未成年はお酒を飲んでないし、夕方から飲んでいて俺が割と早いうちに潰れたので、近い距離だというのにタクシーを呼んでもらってアオイに介抱されながら帰った。
お酒の勢いとは怖いもので、目の前で心配そうにしているアオイとの距離がとても近く感じてしまって何度も間違いを冒しそうになったことを覚えている。
だけど、決死の自制心で結局間違いを冒さなかったことも覚えている。
そして、俺はこの気持ちが決してお酒のせいではないことにかなり前から気がついているし、やはりそれが間違いだということにもちゃんと気がついている。




