13話 Lv2
新年あけましておめでとうございます。
年末4話の次は年始の4話更新であります。
お楽しみ下さいませ……( ºωº )
「友樹!絶対に間違った選択はするんじゃないぞ!」
彼──自称、未来の俺はそういった途端、虹色の粒子となって消えた。
「な、何だったんだ?......さっきの、イニヨルさんが裏切り者みたいな話......」
(ん?)
岡部が俺に聞いてくるが、そんなの俺が聞きたいくらいだ。つまり、知るわけがない。
何故、未来の俺が悪魔を一撃で倒せるほど強いのか。そして、イニヨルさんをあそこまで警戒していたのか......。俺の知らないところで、何か物騒な計画が進行している。これだけは分かった。
「ま、まあ、さっきのは気にせず探索を再開しましょっ!」
水緒がそういうことで、ようやく岡部も正気に戻り、探索を再開した。
先ずは、この神殿から出ることを優先する。いち早く、悪魔崇拝の地から遠ざかりたかったのだろう。イニヨルさんの歩みはやけに速かった。
□□□
「こんな傷で休んでられないんだよっ!」
俺は声を荒らげていった。前日の悪魔にやられた傷が華凛達に見つかって、今日1日は安静にしていなさいと念を押されたが、納得出来ない。
こんな傷など戦闘に支障が出るようなものではないし、イニヨルさんが言うには毒性すらないのだ。それなのに今日1日はじっとしていろなんてなんの拷問だ。
「それじゃあ行ってくるねー」
華凛が手を振って遠ざかっていく。俺はそれをテントの中から見ていた。
完全にみんなが見えなくなったのを確認すると、友樹は自分のステータスを確認した。
ナカイ ユウキ Lv2
sex:男
job:勇者だと思う
race:人間
HP:11
MP:150
STR:2
INT:22
DEX:20
MND:2
AGI:30
LUK : 70
Skill
『能力透視眼』
『磨けば輝く Lv5』
Extra Skill
『鑑定』
『自動言語翻訳』
『自動文字翻訳』
『神眼 Lv1』
「レベルが上がってる......」
あれほどまで心配していた(かはよく分からないが、)レベルが上がっていた。ステータスは大して変わっていなかったが、クソスキル『磨けば輝く』のレベルが1から5に上がっていたのだ。正直なぜ上がったのかはよくわからないのだが、単純に自分が強くなった気がして嬉しい。
欲を言えば、ほかのスキルが欲しかった。
今現時点では、途中でスキルを取得する事は一部のスキルを除いては不可能と言われている。
つまり、その仮説が正しければ、俺はこれ以上強くなる事はできない。
だが、魔法が使えたことを考えると、後天的に魔法スキルを取得する事が可能である可能性が出てきたのだ。今までスキルなしで魔法を撃てたものはいないと聞いた。まだ希望はなくもない。
「さて、あいつらの姿も見えなくなったし......」
俺は立ち上がってテントから出ると、再度辺りを見回す。
誰も近くにいないことを確認して、昨日の戦場であった神殿へと向かった。
□□□
昨日と変わらず神殿は普通......かは分からないが異変がないようだった。
相変わらずボロボロの神殿内部には、イニヨルさんが言っていた【サタン】の石像が存在したままだ。
これを彼女は破壊しようとした瞬間に、あの悪魔は現れた。
では、なぜあの悪魔は石像を破壊させなかったのか。
それは、彼等にとってこの【サタン】こそが神であり、その神像のこれが破壊されるわけにはいかない。
というのが人間的な考えだろう。デウサルボルの宗教の影響力は凄まじいものだということを俺は知っている。
第3次宗派戦争。
地球でいうなら、イスラムとキリストの関係に近いだろう。
どちらが正しいとか、そういう事で戦争になり、一つの国が滅ぶまで戦いが続いた“最悪の戦争”と言われている戦争だ。
死者はかつての総人口の15パーセントもの人数が亡くなる、または失踪したらしい。
つまり、そんな大規模な戦争に発展するほどこの世界の人々は宗教に熱心なのだ。
そんな彼等だから、自分達が宗教にこれまで熱心だから、相手もそうに違いないという前提が何故か出来上がってしまい、こんなよく分からないが辻褄があっているようにも聞こえる結論が出るのだ。
俺には、ここには俺達には見られるわけにはいかないものがあるのではないのか、そう予測していた。
石像の後ろを見てみると、
「なにもないんかーい」
何も無かった。どこにあるのか...。
その後も探し続けたが、やはり見つからない。
やはり自分自身の考えを疑うべきかと思い始めた時、それは見つかった。
それは【サタン】の石像に体重を預けた途端に石像が動き、下から梯子が現れたのだ。
今にも崩れそうな梯子でなくて俺は肩をなでおろした。脆い梯子だった場合は今回は断念せざる負えないからだ。梯子を修理するのは俺には不可能だ。どの木がまだ使えるとかも分からないド素人にはまず無理なのだ。
だとすれば一から作り直すしかないのだが、それこそ時間がかかるのだから、そんなことをしなくていい現状に感謝せねば。
「さて、降りるとするか......」
そして穴の中を覗く。薄暗い穴の中からは、ヒュゴォォォォ......と風が通っているような音が聞こえた。音の大きさからして、かなり深いものの感じがした。
1歩1歩を慎重に進める。梯子を1段降りる度になる、竹がしなる様な音は、吊り橋のような恐怖感を与えた。
やがて、下から小さな明かりが見えてきた。下を見ていてもあまり恐怖という感情を覚えないのは、下がはっきりと見えないからだと思う。
それから更に数分程降り続けた結果、ようやく地面に足をつけることができた。
「何なんだ......ここは......」
そこには、沢山の本棚──もとい、本があった。
十数列はあろう本棚に圧倒される俺だったが、すぐに、表紙を1冊1冊見ていく。
『スキル図鑑』
『エクストラスキル図鑑』
『波の真実』
『悪魔の地・デウサルボル』
『使徒』
とにかく、気になる本は沢山あったが、それよりも目を引いたのは、机に置かれていた、1冊の本だ。
俺は表紙を捲ってみる。
前言撤回。これはノートだった。
俺は1ページ目に書かれていることを読んでみた。
─〇月5日─
今日は人間にとって、最大の恐怖が訪れる日だ。
早く計画を進めなければ......。
─〇月7日─
今日は妹の誕生日だ。
■■■の好きな林檎を買ってきた。
あの子は喜んでくれたが、俺はもっといいものを買ってやりたかった。■■■の笑った顔を見ていると、ズキズキと心が痛んだ。
─〇月10日─
やっと実験に成功した!
これで我々の悲願も達成される。
早速明日、俺も処置を受けようと思う。
─〇月15日─
例の処置に失敗し、俺の妹が死んだ。
何とかして、生き返らせねば......。
─〇月30日─
死んだものを生き返らせる魔術は発見した。
人間界では『死霊魔法』と呼ばれ、禁忌の魔法らしいが、■■■を生き返らせるためならやってやる。
魔王である俺ならできるはずだ。
ここで日記は途切れていた。一人称が俺という事は、恐らく男だろう。この男の妹の名前はきちんと書いてあるのだ。しかし、それを読む事はできなかった。
普通、『自動文字翻訳』なら全言語を翻訳することができるはずなのだ。
これも、最後に書かれている魔王という者の力なのだろうか......。
俺は更に調べ続けた。
ということで、今年もよろしくお願い致しますm(_ _)m




