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Persona breaker -仮面を壊す者-  作者: アリシア
1章 ケテル王国
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7話 チートな装備

「これは俺が作った最高傑作だ」


ソートは箱を開けてそのなかにある腕輪を取り出して見せた。俺はすかさずその装飾品のステータスを見る。


……。



-ーー(無名の腕輪)


ATK+50

DFC+15

+スキル

『全能力上昇Lv1』

『神言』

『神の手』



……。


(なにこのチート装備は)


明らかに勇者が使うのに適している装飾品を見て俺は思うことしかできなかった。前言撤回。装飾品ではない。一種の兵器だ。


スキルだけでいえば、勇者と同等である。もしこれを熟練の冒険者が装備したのなら、今の俺たちでは手も足もでないことだろう。

しかし、それでもケテル王国は俺達を召喚した。つまり、彼等はこの存在を知らないことになる。ここからは俺の推測になるが、これを知っているのは、俺とおっさんの二人だけなのかもしれない。

スキンヘッドのおっさんに『二人だけの秘密だよ♡』とか言われてるみたいで嫌なのだが……


「お前……そんなにこれが欲しいのか?」


おっさんが信じられない顔でこう言ってきた。作った本人でさえこの能力を確認できないのか!?

しかし『隠蔽』スキル系統はついていなかった。あの神とついていたスキルに関係があるのか?


「いや、だって……」

「よーぅーく、考えてみろ。こんな無骨なアクセサリー誰も欲しいなんて思わないだろ?……あの外にいる二人の女はお前のだろ?」

「はあ!?」


ソート。冗談はよしてくれ。それ誰も得しないから。一人なら分かるが何故二人なんだ!?

ちなみに二人とは華凛と水緒の事だ。


「どうして二人になるんだよっ!普通一人だろ!」

「ああ?……お前あれか?一夫多妻を認めてないのか?お前だって欲しいだろ?ハーレム」

「……ぐっ」


おっさんは……一夫多妻なのか!?

いや、そんなのはどうでもいいんだ。何故こんなに脱線している!


(くそっ!……否定できねぇ!)


……脱線していることに、友樹も気づいていない。


「っと。また脱線しちまった。で、どうしてお前はこのアクセサリーに興味を持ったんだ?女の子にプレゼントするんだろ!?そうだよな?そうに違いねぇ!」

「そりゃないから。こんなチートアイテム見たら興味を持つのが普通だろ?」

「……お前、……やっぱりそうか」


おっさんの言った「やっぱり」。この意味が分からない。おっさんは俺がこの装備のステータスが見えることが分かっていた?その上でとぼけていたのか?


「お前にこれを渡しておく。使い方はお前の好きにしていい。自分で使うのもいいし、他人に渡してもいい」

「……」


彼の言ったことを聞いて、俺は絶句した。

これを俺に……?正気か!?とすら思ったのは言うまでもない。

こんなチートアイテムを渡すを、それも無償で期間なし。つまり、この男は俺にこれをあげたのだ。


そんな俺に、彼は説明を続ける。


「ただし、絶対にこれだけは守ってくれ。“お前の好きな……絶対に守りたいと思っている奴”にこれを渡すんだ。いいな!」


そりゃ、こんなアイテムつけりゃ俺だって自分の身を守れるわな。でも、おっさんの言い分を聞く限り、俺自身がこれを使うのは間違っていると思う。


「了解。せいぜい気を付けるよ」


俺はそう言って彼から箱ごとその腕輪を受け取った。仕舞うのは勿論『アイテムボックス』だ。

アイテムボックスは名前の通り、テンプレ装備である。重量で決まるのではなく、無制限で入るのは素晴らしい。こっちのタイプでよかったと、これを渡されて確認したときは思ったものだ。


アイテムボックスの使い方がよく分かっていないので、そのうち確認しなければならない。


(いっそのこと、今確認しようか)


そう思った俺はアイテムボックスに箱を入れて、それを取り出そうとする。


「うわっ!?」

「っ!?…ケホッ………いきなり声をあげるな!ビックリするじゃねぇか!」


俺は突然出てきた画面に驚いて、つい声を出してしまった。それに驚いたおっさんがコーヒーらしき黒い飲み物を気管につまらせそうになったのか、怒り出した。


「ああ、すまん」


俺は横目で彼に謝り(かなり失礼)また作業に集中する。


アイテムボックスの欄にはアイテムの種類によって別れており、五十音順に収納されているようだ。その欄の中を適当にいじっていると、一つのアイテムの名前が目に止まった。


(無名……?)


こんなアイテムはアイテムボックスに入れた記憶がない。俺は取り敢えずそれを取り出してみることにした。


「なっ……」

「どうした?……ん?なんだこの変な物は」


それは俺が見慣れているものだった。そして、もう持つことがないと諦めていた物だ。角が丸い長方形の黒い物体。俺の手にあるものはそんな形をしている。即ち、


「スマホ……」


そう。スマホだったのだ。ここで更に、どこまでの機能が使えるのか調べたいところだが、おっさんの前では出来ない。

仕方なく、俺はおっさんに見えないようにしまった。


「なんだ……?あ、あれ?気のせいか?さっきあんたの手に変なのが見えた気がするんだが……」

「気のせいだよおっさん」


疲れてんのかなぁ。とか言いながら首を傾げたり、頬をはたいたりしている。嘘をついた俺は申し訳ない気持ちになった。


「今日はありがとう……ございました」

「やめろよ。お前が敬語を使うのは見ていて気持ち悪い」

「悪かったな。おっさん」

「うんうん。それでいいんだよ!お前はもう少し自信を持てよ!」


ソートはそう言い、親指をたてて、決めポーズをする。即ち『サムズアップ』である。


「また来いよっ!特別に割り引きしてやるからよ!」

「ああ。多分また来ると思う。おっさんはいい奴だよ。本当に」

「そんなこと言ったってこれ以上の値下がりはないからな!」


──こんなに楽しいと思った会話なんていつぶりだろうか?

俺はおっさんは信頼できる。何故だかわからないが、信頼できる。それはふざけていて馬鹿そうだからとか、巫山戯た理由ではない。

根はいいやつだ。俺はその直感を信じたまでだった。

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