嫌なフラグを立てるな…
とある昼下がり
近所にある漁場にて、買い出しを終え、帰っていると
「あの、なぎさん、ですか?」
なぜか俺の名前を知っている、どこかの学校の制服を着た少女に出会った
「えっと…だれ?」
知り合い?
いや、でもあった記憶なんてない
「やっぱり、忘れてしまったのですね」
少し、少女は悲しい顔をした
なんかすごい罪悪感に襲われてる
と、彼女は悲しげな顔を、パシッと叩き、いきなり表情を変え、こう言った
「私、現世でのあなたの彼女です」
…
少し、いや、だいぶ間が空いて
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「ええええええええええ!?」
僕は荷物を落とし、そしてなぜか電信柱の後ろにいるヘルも気絶しかけてる
なんでヘルがいるかはさておき…
と、と、と、とりあえず落ち着け…
こういう時こそ素数を数えて落ち着くんだ…
1.2.3.5.5.5.5.5.5.5.5.5.5.5.
やばい逆に狂ってきた
壊れたCDレコーダーか俺は…
「と、とりあえず、うちの店で話さない?」
やっと落ち着いて、話を切り出せた
でもこれ、あま姐が聞いたらどうなるだろ…
と、いろいろ考えてるうちに、店に着いてしまった
「た、ただいまー」
「誰ですその女」
「反応早い!」
まさに瞬殺、紹介とかする間もなく瞬殺
「私、現世でのなぎくんの彼女です」
「…はあ」
や、やばいやばいやばい
あま姐、どこからか包丁出して、せっかくの取り立ての魚をブスブス刺してるよ…
「ところで、現世のなぎくんって、どんな人だったんですかね」
みんながとりあえず落ち着いたところで、やっとヘルが話を切り出してくれた
「そうですね…裏表がなく良い方でした」
そう、自称俺の元カノは語り出した
「学校では、ライトノベルを読んでいるところを友達に見られ、そのラノベを没収されたり…」
…ん?
「クラス内での発表で、先生が始め、という前に発表し始めて、『恥ずかしー』と裏声で言いながら飛び跳ねたりしてました」
まてまてまてまて
絶対違う
「あの、人違いかと…」
誰?誰なの?いや、なんか俺じゃないことはわかるけど記憶にあるんだよ、そんなことやってる人(作者です)
「間違いなく、人違いですね」
あま姐がそう言って、自称俺の元カノ(嘘)の頭に手を乗せた
そしてそのまま
スポン
「いい加減にしなさい、ヤマトタケル」
カツラが、取れた
そして、完全に男になった
「え、えっとつまり…」
「行ったことは全部嘘で、タケルさんが女装してたってわけですか?さすが、王様を女装でだまして暗殺しただけありますね…」
と、俺とヘルはのんきに言ってるが
「あなた、アイツににてきてないですか?将来が心配すぎますこのクズ」
「あははは、相変わらずだね、おばさん」
ピシッ
なんか、あま姐の何かが切れる音がした
「その呼び方はやめなさいと言ったでしょう、鳥頭?」
そう言い、あま姐は包丁を出し
グサッ
「いたいいたいいたいいたい」
グサッ
無言でタケルさんの頭に刺し始めた
「いたいいたいいたいいたいいたい」
どっかのほんわか家族の頭ぐりぐりの数千倍痛そう
「ふぅ…気が済んだ?おば…おねえさん」
何十回も刺され、顔面が真っ赤なタケルさんが、なにもなかったように言った
「はぁ…とにかくもう帰れ」
すごい疲れた顔をしたあま姐さんが、冷蔵庫にもたれ、言った
「そうさせてもらうよ、女装にも疲れた」
こっちが疲れたは、というツッコミを飲み込み、さよなら、と挨拶した
するとタケルさんは、何かを思い出したような顔をし
「あ、そうそう、あま姐さん、あのクソジジイ、明日釈放だってさ」
そう、言った
もう、嫌な予感しかしません