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このシスコンめえ!

「あ、大将」


ふと、いつものようにジュースを飲んでぐうたらしていたヘルが思い出したように言った


「私の体には、ら余ってる部分があるんですよね」


「ぶはっ!?」


いきなりぶっ放した発言には、正直びびった、そして刺身に唾がかかった…


「あ!その刺身私が食べます!食べます!食べます!食べます!!」


そしてなんかすげえズイズイくる


後ろでは、あま姐が冷たい目でこちらを見ていた


「で、なんなのそのセクハラは」


刺身の処理をやり終わり、あま姐が落ち着いたところで、やっと聞くことができた


「いやぁ、今日来るって、イザナギさんが言っていたのでんぐんぐ」


ヘルは、話しながら手元のスルメを口に詰め込んだ


「喉つまるぞ、それ」


「んはぁ、だから、このプロポーズをっんぐんぐ」


どんな喉の構造をしているか知らないが、とりあえずよくわからん返答が来た


「で?僕が『僕は余ってる部分がある』というとでも思った?」


「はい」


と、率直にヘルが答える


そんなに曇りない笑顔で返答しないでも…


「でもたしかそれ、他の神様が男が先に言わなきゃダメって言われてやり直しになってたわよね?」


また目に冷たさが出てきたあま姐さんが、お皿を拭きながら会話に割り込んだ


「そうなんだよねえめんどくさい、現代なら女性からのプロポーズも多いのに」


「いや、それは現代のことでしょう…ってイザナギさん!?」


いつのまにか、ヘルの隣に、黒いスーツを着て、金色の長い髪を伸ばしたイザナギさんが座っていた


「ああ…きてしまいましたね…」


あま姐さんがすごいがっかりしている


「あのさ、一応あま姐はイザナギさんが身体を洗っているときに生まれた神様だよね?」


「はい?」


聞いてはいけない質問だったようで、あま姐の目が絶対零度に達した


そして、その目から目をそらした僕の目の前では…


「ああ、もう、妹に嫌われるわ娘に嫌われるわ、妻に嫌われるわ、俺一応日本作った神だよね?一番上の神だよねぇ!?」


いきなりイザナギさんが泣き出した、and愚痴りだした


そしてその涙を避けるようにヘルが隣の席へ移る


「あのプロポーズをした神様にだから、もっとロマンチストだと思ったのですが…」


「いや、そんなプロポーズする人現実にいたら逮捕されますよ!」


ヘルがドン引きしている、まあ僕もだけど


「そしてツッコミ忘れてましたけど、あなたの妻と妹って、一緒でしょうが…」


イザナミ、といってたしかイザナギさんの妻であり妹だ


「ああ愛しき妹ぉぉおお!」


で、また泣き出した


そして僕が置いておいたビールを飲み出した


まあお代はいただきます


「あの時は『私の身体には欠けている部分があります』って言ってくれたのにぃ!」


「そうでしたね、そんであなたが『じゃあ私の余っている部分であなたの欠けている部分を埋め…』」


と、また席を二つほど離れたヘルが最後まで言いかけた時


「これ以上は母さんがかわいそうなので、やめていただけます?」


あま姐の包丁がヘルに向いた


「ふっふぃっ!?」


「ひぃっっっ!?」


ヘルと、そしてイザナギさんがビビった


「ところで大将、大将の身体はどれくらい余ってます?」


「切り替え早いな…って地味に何聞いてんだヘル!?」


意味を受け取るのにタイムラグが発生したが、普通に気づいてよかった


「こんなナチュラルに異性の性器の大きさを聞くとは、やるな小娘」


すこし、イザナギさんは酔っ払ったようです


「とりあえずやめましょうこの話、これ以上は法に触れます」


そしてまた包丁が向く


もうやめて…


「でまた聞いてよ!また黄泉の国にイザナミに会いに行ったんだけどさあ!」


こっちも切り替え早くて正直なウザい…


「またストーカーね…」


「ストーカーじゃない!愛だ!愛だ!」


イザナギさん、そんな生ぬるい言葉じゃあま姐の氷は溶けませんよ


「そんでさぁ、またまた追い返されたんだよぉ、そんなわざわざ鬼とか大量に呼んでだよ!?そこまでやるかなぁ?」


「さすがにしつこすぎかと…」


「何千年追っかけてんのよ…」


この場にいる全員が呆れた


「もうなんか、新しい妻でも見つけたらいいので…」


「んなわけにはいくカァァ!」


「うわっ!?」


さっきまで泣いていた顔が、いきなり険しくなり、ビビった


「俺には妹しかいないんだよおおお!」


「うるさい…」


「っていうか古事記での俺の出番ほとんど序盤だけじゃん!もっと出してヨォ!」


あま姐の声を無視し、愚痴り続けるイザナギさん、このままではまずい


「そもそも体洗うだけで神様出てくるってなんな…」


こっちが聞きたいよって感じの質問を仕掛けた時…


「あ、そうだ大将」


ヘルがナチュラルに割り込んで、こう言った


「私の身体は、結構余ってますよ」


「帰れ、二人とも」


あま姐の恐ろしさに、二人は従うしかなかった…








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