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黙示録  作者: 山本正純
第一章 12月25日
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上司の証言

 その頃合田と月影は相模重盛が勤務していた青空運航会社にいた。二人は会議室で相模の上司を待っている。その合田の携帯電話に沖矢から電話がかかってきた。

「合田だが」

『合田警部。調べたいことがあるのだよ。被害者の妻は全く取り乱していなかったよ。それどころか相模の遺体がいつ帰ってくるかを聞いていたよ。だから保険金や妻の借金について調べる必要があるよ』

「分かった。調べてこい」


 合田は電話を切り呟いた。

「あいつの喋り方はいらいらするな」

 その時会議室のドアが開き、白髭の男が現れた。

「青空運航会社社長の水無信彦みずなじのぶひこです」

 水無は刑事に名刺を渡した。合田たちは警察手帳を水無に見せる。

「警視庁の合田だ」

「同じく警視庁の月影です。今回は相模重盛さんについてお聞きしたいことがあります」


 水無は椅子に座った。

「まさか相模が何かをしましたか」

「今朝遺体となって発見されました」

 刑事の言葉を聞き水無は驚きを隠せない。

「本当ですか。それで聞きたいことというのは何ですか」

「まずは昨日相模さんがどこで何をやっていたのかが分かるか」

「昨日のことは分からないが、一昨日なら普通に仕事していましたよ。いつも以上にノリノリに仕事していたから覚えている。何でノリノリなのかを聞きましたら、3年前に定年退職した如月武蔵社長と久しぶりに飲みに行くと言っていましたよ」


 水無の言葉を聞き月影は手を挙げる。

「一昨日相模さんが仕事をしていたという証拠はありますか」

「防犯カメラの映像。タイムカード。同僚の目撃証言。これだけあれば一昨日彼が働いていたと証明できるでしょう。もちろん一昨日の防犯カメラの映像とタイムカードは警察に証拠として提出するつもりです。目撃証言は適当に社員を捕まえて聞き込みでもすればいい」

「ありがとうございます。相模さんは仕事上で何かトラブルを抱えていませんでしたか」

「ないと思います。彼は7年前の爆破事件以来車掌を引退して広報部で仕事をしていましたが、特にトラブルは・・」

 

 水無は何かを思い出したかのように大きな声を出す。

「思い出しました。3年前の如月元社長が定年退職した日、東京駅の構内で霜月と相模は喧嘩をしていました。それを通りすがりの桐嶋きりしまさんという一般人男性が仲裁に入り、桐嶋さんは全治一週間の怪我を負いました」

「その霜月しもつきさんというのは誰ですか」

霜月城助しもつきしろすけ。4年前にこの運航会社を退職して、今は輸入会社の社長をしています。爆破事件当時霜月は特急ブルースカイ号の運転手をしていましたよ」


 月影に代わるように合田も水無に質問する。

「ところで相模がよく行っていた飲み屋の名前は分かるか」

「ちょっと待ってください」

 

 水無は赤色の名刺入れをスーツのポケットから取り出した。名刺入れを開けて彼は名刺を探す。

「あった。この店ですよ。飲み屋の名前はブラック大河。この店の看板娘と家のバカ息子が同級生だから覚えています。そのバカ息子は7年前の特急ブルースカイ号爆破事件で命を落としていますが」

 

 水無は左手を使いブラック大河の看板娘、北白川きたしらかわカンナの名刺を合田に渡す。

「良ければこの名刺を差し上げましょうか」

「いいや。写真を撮らせてくれ」

 

 合田は携帯電話を取り出し北白川カンナの名刺を撮影した。

「ありがとう。それでは失礼したな」

そして合田たちは帰り際に水無に対して質問する。

「今日の午前4時50分。どこで何をしていた」

「その時間なら寝ていましたよ。生憎妻は先週から同窓会の海外旅行に出かけているから証人はいませんが」


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