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黙示録  作者: 山本正純
第一章 12月25日
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妻の反応

 午前11時。木原と神津は解剖室の前にいた。今解剖室では相模の司法解剖が行われている。

「今頃合田警部たちは相模の足取り捜査中か」

 神津はつまらないと感じていた。司法解剖は結果を聞くまで退屈だ。結果を聞くまで本格的な捜査はできない。

 そんな神津を木原はなだめた。

「神津さん。変死体の司法解剖に立ち会うことは大切な仕事ですよ」

「でもな。あの沖矢に聞き込みに行かせるなんてどうかしてると思わないか。あんな変人に捜査させるんだぜ。絶対あいつはデスクワークをさせるべきだ」

「神津さん。合田警部にも考えがあるんでしょう。それにあの大野が相棒ですから彼の迷走を制御できるかもしれないでしょう」


 その頃大野と沖矢は相模の自宅を訪問した。大野がインターホンを押すと中から相模の妻の相模弥生さがみやよいが現れた。大野たちは警察手帳を見せながら自己紹介する。

「警視庁捜査一課の大野と申します」

「同じく沖矢なのだよ」


 相模弥生は警察と聞き驚いた。

「警察が何か用ですか」

「実はあなたの夫相模長盛さんが死亡しました。それで相模さんが昨日どこで何をやっていたのかを教えていただけませんか」

「昨日ですか。それは分かりません。長盛は二日前から行方不明でしたから」


 この事実を聞き大野たちは驚いた。

「それはどういうことなのだよ」

「二日前、長盛は人に会いに行くと言って出て行きました。誰に会いに行くのかは分かりません」

「因みになぜ警察に失踪を通報しなかったのでしょう」

「長盛はぶらっとどこかに出かけることが多いので。通報する必要はないと考えました」

 

 玄関前で沖矢はさらに質問を続ける。

「今日の午前4時50分。どこにいたのだよ」

「アリバイですか。その時間なら寝ていました。証人はいません」

 次は大野が相模に質問した。

「では相模さんを恨んでいる人物に心当たりはありますか」

「さあ。重盛のプライベートに関することは関与しないことにしているので、分かりません。それで夫の遺体はどこに収容されているのですか」

「現在司法解剖中ですので、遺体は最低でも2日後に返されます」

「そうですか」


 相模弥生は残念そうに呟いた。

 相模の妻への聞き込みを終わった二人は大野が運転する車に乗り込む。大野が運転席に座ると沖矢は助手席に座りながら呟いた。

「相模の妻は何か隠しているのだよ」


 大野は運転しながら沖矢の発言を感心した。

「沖矢さんもそう考えていましたか。実は僕も同じです。奥さんの最後の一言。あれは保険金を目当てにしているかもしれません。相模さんの保険金。奥さんの借金について調べてみましょうか。もちろんこのことを電話で合田警部に報告してから」


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