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黙示録  作者: 山本正純
第一章 12月25日
7/69

身元特定

 午前10時。警視庁の会議室で『河川敷猟奇死体遺棄事件』の捜査会議が始まった。捜査本部の指揮を務める千間刑事部長は号令をする。

「これより第一回河川敷猟奇殺人事件の捜査会議を始める。まずは北条。被害者の身元が分かったそうだな」


 北条は立ち上がり報告を始める。

「被害者は相模長重。51歳。死亡推定時刻は司法解剖の結果待ちです」

 北条からの報告を聞き捜査会議の参加者たちは騒然とする。あっさりと被害者が断定されたからだ。千間刑事部長はマイクを持ち騒がしくなった空気を鎮める。

「静かにしろ。早期に被害者を断定できたのには理由がある。北条。報告を続けろ」

「はい。遺体が遺棄された最下川河川敷の皮の中に黒いビニール袋に入れられた被害者の物と思われる両手両足が発見されました。その両手両足の指紋は潰されていません。最下川に遺棄された両手両足の指紋は全て同じ人物で、7年前の特急ブルースカイ号爆破事件の容疑者で事件当時車掌をしていた相模重盛の指紋と一致しました。黒いビニール袋からは指紋が検出されませんでしたが」


 捜査会議に参加していた木原は手を挙げる。

「すみません。最下川から発見された相模さんの両手両足を切断した凶器は分かりますか」

「傷の形状からチェーンソーであると思われます。焼死体にもチェーンソーで切断したような跡が発見されました。切断された両手両足ですが、生体反応がなかったことから、殺害後切断された物と思われます」


 疑問を感じた大野は手を挙げた。

「おかしいと思いませんか。犯人はなんらかの方法で相模さんを殺害。その後で両手両足を切断して河川敷に遺棄した。切断した両手両足は遺体を遺棄した場所の近くに遺棄。息した遺体は爆弾で爆破する。無駄が多いと思いませんか。なぜ犯人は遺体を遺棄した後、爆弾で遺体を葬り去ろうとしたのか。爆弾があったなら殺害に爆弾を使用すればいいでしょう。態々別の方法で殺害後に遺体を切断する必要はありません。この犯行手口に犯人の思惑が隠されていると思います」

 

 大野の推理を聞いた千間はマイクを持った。

「大野。この場はお前の推理を披露する場ではない。お前らはおとなしく北条の報告を聞いていればいいんだ」


 北条は報告を続ける。

「次に遺体が遺棄された河川敷から、7年前の特急ブルースカイ号爆破事件の時に使われた爆薬の成分が検出されました。おそらく7年前の爆破事件と同じ爆弾が犯行に使用されたものと思われます。さらに現場からは衣服の残骸が検出されなかったこと。死体遺棄現場黒いビニール袋の破片が発見されたことから、遺体は黒いビニール袋に入れられて、全裸の状態で遺棄されたと考えられます」

 

 千間は北条の報告を打ち切り、捜査方針を発表する。

「この猟奇殺人事件の犯人は7年前の特急ブルースカイ号爆破事件の被害者遺族である可能性が高い。容疑者を被害者遺族に絞り込み短期解決を狙う」

 捜査方針を聞いた合田は立ち上がった。

「容疑者を被害者遺族に限定した理由を教えろ」

「俺に反論するな。捜査一課3係は相模の足取り捜査を行え」

 こうして第一回の捜査会議は終了した。


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