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黙示録  作者: 山本正純
第四章 12月28日
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暗部

 午前11時45分。大野と沖矢は警視庁に戻るために東京都警察病院の廊下を歩いていた。そこで2人は大粒の涙を流す宇津木白豚と出会った。

「刑事さん。親父は病死しました。これでよかったのでしょうか」

 宇津木死刑囚の息子は2人の刑事に問う。

「あの事件は終わっていません。共犯者らしい男を警察は発見しました。その共犯者に病死した宇津木死刑囚の分まで罪を償ってもらえばいいでしょう」

「共犯者が見つかったって本当ですか」

「そうなのだよ。まさか宇津木死刑囚が病死した日に共犯者が見つかるとは思わなかった」


 午前1時。合田警部は刑事部長室を訪れた。彼に手には報告書がある。刑事部長室内には千間刑事部長と喜田参事官がいる。

「千間刑事部長。7年前の特急ブルースカイ号爆破事件の共犯者を特定した。名前は湯里文。爆弾に付着した共犯者と思われる指紋と湯里の指紋が一致した」

「物的証拠もあるな。今日中に湯里文の逮捕状を請求しよう」

「それと会見の準備もした方がいいですね」

「そうだな。喜田。お前に会見場の準備とマスコミ関係者の手配を頼む」


 また面倒なことを頼まれたと喜田は思った。それでも彼は快く刑事部長の指示に従う。喜田参事官は千間刑事部長に一言告げると刑事部長室を後にした。

「分かりましたが、会見の進行は千間刑事部長に任せます」


 その頃イタリアンレストランディーノに珍しい客が訪れた。現代レストラン内には。店主のサマエル。客のウリエルとハニエル。そして地獄の商人シノがいた。

 店を訪れた珍客は田中なずな。退屈な天使たちのメンバーでコードネームはガブリエル。

「珍しいな。あなたがこの店を訪れるなんて」


 サマエルに声を掛けられたガブリエルは微笑んだ。

「結構いい店ですね。ここがあなたたちの隠れ家ですか。珍しいと言えばサラフィエルがいませんが」

「サラフィエルは帰った。シノが来るとウリエルが電話してきたら先崎に帰ったよ。商売敵と飲食はしたくないと言ってな」

「あの人らしいですね。それでは注文でもしましょうか」

 

 サマエルが注文を受けているタイミングでウリエルは店を訪れた目的を伺う。

「ところでなぜこの店を訪れたのでしょうか。食事に来たとラグエルの会いに来た以外でお答えください」

「そこにいるシノさんに質問です。あなたは7年前の特急ブルースカイ号爆破事件関連の商品をあの真犯人に売ったそうですね。どうやってあれを入手したのでしょうか」


 サマエルに食事中はフードを取るよう注意され、フードを外した気弱なシノはオロオロとしながら答える。

「譲ってもらった」

「誰にですか」

「ラグエル」


 その答えを待っていたかのようにガブリエルは大笑いする。

「それは傑作です。7年前の特急ブルースカイ号爆破事件の共犯者が逮捕されるという情報が政界に入ってきたから気になったのです。どうやら警視庁はまた冤罪事件を生みました。この悪女対決は私の勝ちです」


 ハニエルはガブリエルの話を聞き、首を傾げた。

「7年前の事件に共犯者がラグエルさんというのはどういうことですか」

「そのままの意味です。7年前の特急部ブルースカイ号爆破事件。あの事件の本当の共犯者はラグエル。脅迫電話や爆弾の入手設置等を行い宇津木由紀夫のサポートをしました。今回逮捕された共犯者湯里文は当時宇津木由紀夫とラグエルの仲介人をしていた男。あの爆破事件とは全く関係ありません」


「でもラグエルさんと宇津木死刑囚はなぜあの爆破事件を起こそうとしたのでしょう」

「ハニエル。間違っていますよ。あれは爆破事件ではなくトレインジャック事件です。不手際で爆破事件となってしまいましたが。あの事件に関わっているのは暗部の遊戯。これ以上は知らない方が身のためですよ。ただ一つだけ言えるのは、暗部は仮出所した宇津木由紀夫を利用してゲームを楽しんだということです」


 午後6時。警視庁の記者会見が始まった。記者会見により病死派と死刑派は自然消滅した。だが彼らは知らない。本当の共犯者はまだ逮捕されていなく、真実は深い闇の中にあることを。

 


 原作者山本正純です。混沌とした世界の中でシリーズ第11弾。黙示録。いかがだったでしょうか。

 はっきり言おう。今作から混沌シリーズは第二期に突入したと。

 新キャラの登場。暗部世界の存在。敵の明確化。ここから混沌シリーズはより面白くなる。

 

 さて、第二期初回のテーマは死刑。もしも死刑囚が病死しかけていたら世論はどうなるのか。その波紋は。などなどシュミレーションした結果生まれたのがこの作品。

 死刑問題の裏で進行する猟奇連続殺人事件。この殺害方法には真犯人の怒りが込められていた。

 それでは4人の新キャラについて解説していきましょう。


 1人目は沖矢亨巡査部長。変人刑事というポジションでキャラ設定しました。それだけだと設定が弱いので育メン設定を追加しました。


 2人目はガブリエルこと田中なずな衆議院議員。前作で少し言及があったキャラ。福岡県議会議員の秘書から新人衆議院議員となった方です。その正体は退屈な天使たちメンバーのガブリエル。

 それと混沌シリーズは現実世界とリンクしています。たとえば現実世界で衆議院議員総選挙があったら混沌シリーズでもそれがあったことになっています。


 3人目は怪盗リアス式海岸。アンノウンとしか言えない。原作者である僕ですらその正体を知らない。いつかベールを剥がすからそれまで覚えていて。


 4人目は地獄の商人シノ。暗部世界の住人の一人。その正体は不明だが性別は女。黒いローブ姿が不気味な不審者さん。フードが外されたら内気な性格になってしまう二重人格者でもある。

 地獄の商人シノに関する裏話。彼女は別のラブコメ作品で使う予定だったヒロインでした。このキャラは混沌でも使えるんじゃないかと思ったため、今回登場させることにしました。


 混沌とした世界の中でシリーズ第12弾の内容は未定。第一期のように短編をやってみたいと考えているが、その夢は叶うのか。

 それでは内容未定の混沌シリーズ第12弾を楽しみにしていてください。


 『誰が殺した。真犯人。それは暗部と娘は言った』っとマサズミはつまらないパロディを使ってみます。

 


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