表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黙示録  作者: 山本正純
第四章 12月28日
64/69

堕天使 9

 2005年4月13日。当時朝霧睦月は高校三年生だった。

 午後4時20分。終礼が終わると朝霧は一目散に教室から出て行った。その理由をクラスメイトたちは知らない。

 しかし水無元太だけが理由を知っていた。水無元太は朝霧と同じ東都商業高校に通う校生。朝霧と水無は共通点が多い。

同じ帰宅部。同じ趣味。2人に共通する趣味とは電車を見ること。


 水無元太と朝霧睦月は放課後に突入するとすぐさま駅へと向かう。

朝霧が駅に向かう理由は彼女に会うため。朝霧の彼女神谷歩美も朝霧たちと同様電車を見ることが好きだった。

 違う高校に通っている彼女に会うのは電車が見える駅のホームと朝霧たちは決めていた。


 午後4時30分。朝霧たちは駅に到着した。水無元太は駅に到着すると待合室に貼られたポスターを指差す。

「朝霧先輩。出ましょうよ。第一回電車王決定戦。優勝者は6月25日から運航開始される特急ブルースカイ号内で行われる初運行記念パーティーに参加できるんですよ。つまりタダで豪華寝台列車に乗れるんです。メンバー3人ならすぐに揃いますよ」


 水無元太は目を輝かせて朝霧睦月に訴える。水無元太は電車通学がしたかったからという理由だけで東都商業高校を受験した生粋の電車オタク。そんな彼が目を輝かせてウキウキとしている姿を朝霧は初めて見た。

「でも元太の父さんは青空運航会社の幹部ですよね。確か特急ブルースカイ号を管理する会社は青空運航会社です。それだったらチケットくらいすぐに準備できるのではありませんか」


 朝霧の問いに対して水無は首を横に振る。

「それだけはダメです。やっぱり親の力であの特急に乗っても楽しくないでしょう」

「えっと。メンバー3人のあてがあると聞いたけど、残り1人は誰を誘うつもりですか」

「神谷歩美さんですよ。彼女も電車が好きなんでしょう。神谷歩美。朝霧睦月。水無元太。完璧な布陣ですよ」

 

 勝手にメンバーに加えられた朝霧はため息を吐いた。神谷歩美も水無元太と互角な電車オタク。歩美もこの話を聞いたら目を輝かせるのだろうと朝霧は思った。

「もしかしてあなたは水無信彦さんの御子息か」

 2人の近くにいた駅員が彼らに話しかけた。水無元太は頷く。駅員は彼らの顔を見て微笑んだ。

「やっぱりそうだ。水無信彦さんとは上司と部下の関係で、仲良くやっているよ。その制服の校章は東都照合高校だろう。娘も同じ高校に通っているから愛着がある。私の名前は常盤光彦。先ほど君たちの話題に出た特急ブルースカイ号の乗務員になる男だ」


 それが朝霧睦月と常盤光彦の交流の始まりだった。

 朝霧睦月は常盤光彦という名前を聞いてそれぞれ思いだした。

「常盤さん。もしかして常盤ハヅキさんのお父さんですか」

「そうだが、よく知っているな。もしかして娘の彼氏か」

「違いますよ。僕には既に彼女がいます」

 朝霧が否定をしているとタイミングよく神谷歩美が現れた。

「睦月。お待たせ。今日は水無君と一緒だったんだ。ところでその駅員さんは誰なの」


 詰め込みすぎだと朝霧は思った。

「俺の父さんの部下の常盤光彦さんです」

 水無元太からの紹介を受けて常盤光彦は礼をした。

「そう。それより面白い企画を見つけたの。第一回電車王決定戦って知ってる」

「分かった。参加しよう」


 朝霧は即答で了承した。こうして朝霧睦月と水無元太と神谷歩美の3人は第一回電車王決定戦に参加することに決めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ