表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黙示録  作者: 山本正純
第一章 12月25日
6/69

帰ってきた馬鹿口調育メン刑事

帰ってきたというタイトルだが、彼は再登場ではない。今回が初登場だ。

 今の所に手がかりは不審者の目撃証言のみ。これは難事件になりそうだと思ったその時、一人の男が木原に声を掛けた。

「まだまだ甘いのだよ。木原弘明巡査部長」

 その声を聞き木原は驚く。

「なんであなたがここにいるんですか。沖矢亨巡査部長」

 

 沖矢亨。28歳。合田たちと同じ捜査一課3係に所属していた刑事で階級は巡査部長。

 彼は半年間育児休暇を取り警察官を休職していた。そのため大野達郎警部補とは面識がない。


 そんな沖矢は合田警部を見かけると走り出した。

「合田警部。お久しぶりです」

「沖矢か。まだ育児休暇中ではないのか」

「はい。本当は来年1月から仕事に復帰しようと思ったが、千間刑事部長に呼び戻されたのだよ。警視庁上層部は通報を受けて猟奇殺人事件を視野に入れて捜査するそうだよ。それで人手不足だと判断して、育児休暇中の僕を呼び戻したのだよ。それと月影管理官が応援として捜査一課3係の捜査に参加するそうなのだよ」


 上層部の判断も捨てたものではないと合田は思った。今の所不審者の目撃証言くらいしか証拠がない。これは上層部が人手不足だと判断するほどの事件だ。大規模な捜査会議が始まってもおかしくないだろう。

 すると沖矢はキョロキョロと回りを見渡した。

「ところで、大野達郎警部補はどこだよ。彼と組めと千間刑事部長に言われたのだよ」

「大野なら現場周辺で聞き込みをしているが。ところでいい加減止めないか。語尾に『なのだよ』と付ける喋り方を。聞いていて馬鹿らしく思う」

「仕方ないのだよ。口癖だからさ」

 

 合田は面倒臭い刑事が戻って来たと思った。一々語尾に『なのだよ』を付ける馬鹿らしい口調。沖矢はそれなりに頭がキレる刑事だと合田は評価しているが、大野と沖矢は相性がいいのだろうか。これまで合田は沖矢と組んで捜査をしたことがある。沖矢が休職してからは大野と組んで捜査をしていた。つまり合田は大野と沖矢の2人を理解している。

 そんな2人が今回タッグを組まされる。上層部は何を考えているんだと合田は思った。


 合田は聞き込み中の大野を見つけると彼に声を掛けた。

「大野。こっちに来い」

 大野は合田の元に駆け寄った。

「合田警部なんですか」

「紹介しよう。今日から一緒に捜査してもらう沖矢亨巡査部長だ」

 沖矢は大野に対して一礼する。

「沖矢亨なのだよ。よろしく」

 大野は目を点にした。

「合田警部。何なんですか。この馬鹿口調な刑事は」

「口癖だそうだ。昔からこんな馬鹿口調だった。今日から沖矢が君の相棒だ」

 

 大野は合田に言っていることが理解できなかった。今後はこんな馬鹿口調な刑事と捜査しなければならないらしい。こんな馬鹿らしい刑事と組まされて捜査が円滑に進むのだろうか。戦力半減ではないだろうか。こう見えて沖矢は頭がキレるのではないだろうか。大野の頭に様々な疑惑が横切る。

 とりあえず大野は沖矢と握手をすることにする。

「よろしくおねがいします」

 こうして馬鹿口調な刑事と所轄から警視庁に異動した刑事の相棒は結成された。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ