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黙示録  作者: 山本正純
第四章 12月28日
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堕天使 1

 12月28日午前11時。真犯人は東京都警察病院にいた。真犯人は湯里文の病室を探している。

「くそ。どこだ」

 それから1分後、真犯人は『湯里文』と書かれた看板を見つけた。

「あった。ここだ」


 真犯人は病室を開ける。ベッドの上では人工呼吸器を装着された湯里文が眠っている。

「人工呼吸器。こいつを壊せば湯里は完全に死亡する」

 真犯人はナイフを取り出し、人工呼吸器のキューブを切断しようとする。だがその時、閉じておいた病室のドアが開いた。

「誰だ」

「それはこっちの話です。朝霧睦月さん。あなたはここで何をしているのでしょうか」


 朝霧の正面に立っているのは、大野と沖矢だ。

「殺しそこなった湯里さんを殺害するために病室に侵入したのかと思ったのだよ。猟奇連続殺人事件の犯人はあなたなのだよ」

「バカバカしい。冗談はやめてくださいよ」

「それでは説明してくれますか。なぜあなたはこの病室にいるのか。それはあなたが犯人であることを証明する証拠です」


 朝霧は黙り込むしかできなかった。

「あなたが書いているのは宇津木死刑囚関係のルポだったはず。湯里さんはまだ意識不明の重体。そんな彼に。こんな夜中に取材に来たとは思えないのだよ」


 沖矢の話を聞き朝霧は大笑いする。

「殺人の証拠。確かに僕はあの爆破事件で死んだ神谷歩美の彼女。でもそれだけで猟奇殺人なんて起こしますか」

「それだけではなかったとしたら。第四の被害者水無信彦さんが教えてくれました。水無元太。常盤光彦。神谷歩美。この3人をつなげる人物こそがこの猟奇連続殺人事件の犯人だとね。この3人が繋がれば、第二第四の事件の真意が説明できます。第二の被害者常盤ハヅキは常盤光彦の娘。第四の被害者水無信彦は水無元太の父親」

「最初私たちは時間がなかったから右腕だけを切断したのだと思ったが、それは間違いだったのだよ。第四の事件は右足のみ切断されていた。あの3人の親族を殺すことを拒んだあなたは両手両足の切断を断念したのだよ。あの2人を同じ殺害方法で殺せば天国であの3人が悲しむから」

「さすが警察だ。だが肝心なことを忘れていないか」

「それはなんでしょうか」

「第二第三の事件のアリバイですよ。あの時間帯僕は北白川カンナさんとホテルで会話をしていました。その後相模弥生さんの自宅に向かった。つまり僕は午後5時以降でないと犯行はできない。警察が彼女の遺体を発見したのは午後5時40分でしたよね。午後6時に北白川カンナさんと別れて、相模弥生さんの自宅に向かうと、午後5時10分になる。30分もあれば殺害は十分できるけれど、これは猟奇殺人。確か猟奇殺人者は死後数時間経過してから切断するのでしょう。その方が死後硬直の関係で切断しやすいから」

「その答えならもう分かっているのだよ」


 沖矢の推理が始まろうとするとき、東京都警察病院の前にパトカーが止まった。


 東京都警察病院の病室を舞台に沖矢の推理は展開されていく。

「殺害現場は常盤カンナの自宅ではなかったとしたら30分もあれば犯行は可能なのだよ。まずあなたは午後4時40分から5分間トイレに行っていたと言ったのだよ。その時間帯にあなたは如月武蔵さんをホテルに呼び出して、絞殺したのだよ」

「つまり第二の被害者は如月武蔵さんだった。あなたは如月さんを殺害後彼の遺体を自分の車に乗せて、どこかに遺棄しようとしました。だがそこで一つのハプニングが発生しました。常盤ハヅキさんに犯行がバレたことです」

「まるで見てきたかのような言い方ですね。殺害現場が違うことを証明する証拠はあるのですか。ルポの参考にしたいから、推理を聞かせて貰おうかな」

 朝霧はあの日のことを振り返る。


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