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黙示録  作者: 山本正純
第四章 12月28日
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物的証拠

 12月28日午前9時。合田たちは警視庁捜査一課でデスクワークをしていた。

 今頃第四回目の猟奇連続殺人事件の捜査会議が開始されているだろう。合田たちは昨日の一件で連続猟奇殺人事件の捜査から外された。

 もう一歩で合田たちは真相に辿り着けた。だが霜月城助が殺害されたことを受け、純粋に真相を追っていた合田たちはその責任を押し付けられた。あのまま霜月城助を犯人として送検していたら彼は殺されなくて済んだと。


 合田たちの処分は後に発表される。それまで彼らはデスクワークをする。月影は一人刑事部長室に呼び出されて以来帰っていない。


 そこに捜査会議に参加しているはずの北条が現れた。

「おもしろいことが分かったから伝えに来た」

「その義務はもうないだろう。早く捜査会議に行け」

 北条の報告を合田たちは受ける必要はない。そのため合田は北条の報告を拒んだ。それでも北条は報告を開始する。

「捜査会議は必要ない。警視庁上層部は今晩中にも霜月城助を被疑者死亡で書類送検するからな。無理があるだろう。凶器は現場から発見されていないし、聞くところによれば霜月は高所恐怖症だったらしいな。そんな奴があんな歩道橋の上で死亡すると思うか。だから俺はお前らの捜査に協力する」


 証拠を改ざんして被疑者死亡で書類送検。それは合田たちにとって許されざるものだ。

「とにかく今晩中に真犯人を逮捕しないと新たなる冤罪事件が生まれる」

 合田の言葉を聞き沖矢は手を挙げた。

「でも真犯人の正体は既に分かっているのだよ。後は物的証拠のみ」

 

 合田たちは沖矢の言葉に頷いた。合田たちは真犯人の正体までは突き止めていた。だが物的証拠がないため送検はできない。

「とりあえず早く報告してくれ」

 神津に急かされて北条は報告を始める。

「まずは東京駅で起きた第五の事件。東京駅の男子トイレに捨ててあった犯行時に使ったと思われる衣服。あれからは指紋が検出されなかったが、以外な所から指紋が検出された」

 北条の報告を聞き合田たちは確信した。真犯人はあの人であると。


 その確信を補足するかのように、北条が解析した東京駅の防犯カメラの映像には真犯人の姿が映し出されていた。

 物的証拠も見つかった。これで書類送検はできる。だが合田たちには真犯人の動機が理解できなかった。

 常盤光彦。水無元太。神谷歩美。この三人の繋がりが、そのまま今回の連続猟奇殺人事件の動機となる。だが合田たちにはその繋がりが分からない。

すると大野は真犯人が自ら発した言葉を思い出した。

「分かりました。動機はあの場所に隠されています。沖矢さん。その場所に行きませんか」

「いや。その場所には木原たちに行ってもらいましょうか」

 大野の言葉を否定するかのように月影が遅れてやってきた。

「大野には別の仕事を頼みたいから、そんな場所に行っている暇はありません」

「別の仕事とは何なのだよ」

「ラジエル絡みです。今すぐ僕と東京都警察病院に向かいましょうか。沖矢も一緒に来て構わない」

 動機の捜査は木原たちに任せ、大野と沖矢は東京都警察病院に向かった。


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