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黙示録  作者: 山本正純
第三章 12月27日
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捜査中止 

 丁度その頃六本木の歩道橋の上で霜月城助の遺体が発見された。

「霜月城助が殺されたか。第五の事件辺りから猟奇殺人要素が消滅していないか。これはただの絞殺体。本来なら両手両足を切断した状態で遺棄するはずだろう」

 

 神津は霜月の遺体を見ながら呟いた。死体遺棄現場には合田たちも臨場している。

 

 今から捜査が始まろうとしたその時現場に以外な人物が現れた。その人物は千間刑事部長。本来刑事部長はただの殺人事件では現場に赴くことはない。そのため周囲の刑事たちは驚いている。

「千間刑事部長。なぜあなたがここにいるのですか」

「警視庁上層部からの伝言だ。警視庁捜査一課三係。君たちには捜査から外れてもらう」

「なぜですか。我々はただ真実を追っているだけですよ」

「分からないか。今お前らの前には霜月城助の遺体がある。釈放されなかったら霜月は殺されなかった。真犯人は別にいるという推理を展開して、霜月を釈放したから殺されたんだ。これは警察組織の過失。つまり警視庁捜査一課三係の過失だ」

「結果往来ではないか。確かに俺たちが警視庁上層部の指示に従ったら、この命は失われなかった。だがその代り冤罪事件が生まれた。冤罪事件を阻止して真実を追うのが警察の仕事だろう。それに霜月が殺されるなんてこと誰にも予測できなかったはずだ」

 喧嘩が始まりそうな空気が遺棄現場を包み込んだ。


「過失を認めるとして、処分はどうするのだよ」

 沖矢は軽い気持ちで千間に質問した。

「処分は警視庁上層部が決定する。それまで連続猟奇殺人事件の捜査を自粛してもらう。私からは以上だ。そうと決まったらとっとと帰ってくれ」

 

 千間刑事部長の指示で警視庁捜査一課三係は強制的に現場から排除された。これで合田たちは連続猟奇殺人事件の捜査ができない。

 現場から遠く離れたビルの前で合田たちは解散した。

 自分たちの捜査は間違っていたのか。警視庁上層部の指示に従っていたら霜月は殺されなくて済んだのか。

 さらに千間刑事部長の言葉が合田たちの脳裏に何度も横切る。

「釈放されなかったら霜月は殺されなかった。

警視庁捜査一課三係の過失だ」

 

 警視庁上層部は霜月城助を強引な方法で保護していた。強引に保護されていた霜月を合田たちは解放した。その結果霜月は殺された。

 合田たちは結果的に悪となった。警視庁上層部が正義となった皮肉な結末。

 しかし警視庁上層部が本当の正義であるとは限らない。上層部は隠蔽工作のため霜月城助を犯人に仕立て上げ冤罪事件を生もうとしたのだから。

 本当の正義とは何なのだろう。合田たちは重いテーマに悩まされながら帰路に着いた。


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