表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黙示録  作者: 山本正純
第一章 12月25日
5/69

猟奇殺人事件の始まり

諸事象により通常より少し長くなっています。

 12月25日午前5時。木原弘明きはらひろあきは日課のランニングをしていた。彼がランニングを始めたのは、来年2月に開催される東京メリクリウスマラソンに参加するためだ。どうせ外れるだろうと思いマラソン大会に応募したが、運よく彼は参加券が当たったのだ。応募者が100万人で参加者は1万人。これは100人に1人の確率。しかも100位以内に入れば、賞金100万円が貰えるという。どこにそんな資金源があるのだろう。このマラソン大会は。

 そんな訳で木原は賞金100万円を手に入れるため100位以内を目標にランニングを続けている。


 いつものようにランニングを続けていると、河川敷から爆音が聞こえた。 この爆音に木原たちと同じ時間帯にこの河川敷を歩いていた人々は足を止める。

 爆音が聞こえた方向からは黒煙が昇っている。まさかと思い木原は黒煙が昇っている場所に走る。

 その場所には多くの人々が野次馬のように集まっていた。木原は警察手帳を掲示しながら野次馬たちを押しのけ現場にやってきた。

「警察です。現場から離れてください」

 野次馬は刑事の指示に従い現場から離れた。野次馬がいなくなった河川敷で木原は遺体を見つけた。焦げた草むらの上で仰向けに倒れている焼死体。しかも両手両足は切断されている。

 木原は確信した。これは猟奇殺人事件だと。


 午前5時20分。合田ごうだ警部たち捜査一課3係は現場に臨場した。先に現場に臨場した北条は状況を合田たちに説明する。

「遺体は身元不明。司法解剖をしてみないと分かりませんが、おそらく遺体は男性であると思われます。死因も不明」

 北条の報告を聞き合田は驚いた。

「死因が不明というのはどういうことだ。爆死でしょう。通報者たちが爆音を聞いているんだから」

「そうとも限りません。首に索条痕と古川線がありますので絞殺かもしれません。それにこの焼死体は生体反応がないように思えるんですよ。両手両足が使えないからってもがくことは可能でしょう。この遺体にはそれがない。つまり犯人はこの男性の死体を河川敷に遺棄した後で爆破した。詳しく調べてみないと分かりませんが」

 

 一方、神津冬馬かみつとうまは河川敷の周りで遺留品を探していた。遺体の周りにある草むらは黒く焦げている。これほど焼け焦げているのならこの河川敷には被害者の身元を特定するような遺留品はないだろう。そう思っていた時彼は黒く焦げた草むらの中である物を見つける。

 それは黒いビニール袋の破片。神津はこのことを合田に報告する。

「合田警部。遺体の周辺の黒く焦げた草むらでビニール袋の破片を見つけた。遺体はビニール袋に入れられて、この河川敷に遺棄されたんじゃないか」

「そうかもしれないな」

 合田にはその確信はなかった。証拠がなさすぎるからだ。その時大野達郎が合田たちの元に走ってきた。

「合田警部。川から遺体の物と思われる両手両足が見つかりました。黒いビニール袋に入れられて、遺体から10メートル離れた位置に捨ててありました。科捜研に回して本当に遺体の物なのかを調べてもらいます」

 

 現場に居合わせた木原は目撃者たちに聞き込みをしている。

「この中で怪しい人物を見た人はいませんか」 するとジャージを着た一人の女が手を挙げた。

「それは私です」

「あなたの名前は何ですか」

常盤ときわハヅキです」

「常盤さん。何時頃に不審人物を目撃しましたか」

「午前4時50分くらいだったな。あの時この河川敷の近くに軽トラックが停まっていました。その軽トラックの運転手は荷台に乗せてあった黒いビニール袋を河川敷に捨てました。不法投棄だと思って抗議しようと思ったら、運転手が軽トラックに乗り込んで逃走しました。時速60キロくらい出てたから追いつけなかったけど」

「では運転手の特徴は分かりますか」

「さあ。顔や服装は薄暗かったからよく分からなかったけど、身長は150センチくらいじゃないかな。身長は俺と同じくらいですから。性別は分かりません」

「では軽トラックのナンバープレートは分かりますか」

「薄暗かったから分かりませんでしたよ」

 これで犯人は150センチくらいの人物であることは分かった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ