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黙示録  作者: 山本正純
第三章 12月27日
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暗殺 後編

 すると真犯人の後方から2人の男女が現れた。この男女は拍手をしながら真犯人に近づいてくる。

「素晴らしい殺しを見せてもらいました。殺害方法はアマだけど、強い復讐心が伝わってきましたよ」

「アマに先越されるとは思わんかったわ。本当は俺らがここで霜月を暗殺する予定やったのに」


 真犯人はこの2人とは初対面だったが、正体に心当たりがあった。地獄の商人シノの関係者。この2人からはシノと同じような闇を感じる。

「もしかして、地獄の商人シノの関係者か」

「その名前知っとるちゅうことは、自分只者やないちゅうことやな。あいつと俺は商売敵やねん。関係者ちゃうわ」


 女は笑顔になる。

「まあ、シノとは仕事をすることもありますけどね。それはいいとして、この方をどうしますか。サラフィエル」

「そうやな。撤退しよか。一応仕事は終わったんやから」


 ハニエルとサラフィエルは真犯人の前から姿を消した。だが真犯人はその2人を呼び止める。

「お前らは何者だ。何で霜月を暗殺しようとした」

「質問には答えられません。あなたは暗部の人間ではないでしょう。あなたからは暗部の人間が発する暗い空気を感じない。サラフィエルというコードネームを聞いても我々が所属している組織名が分からない。以上のことからあなたは暗部の人間ではないと推理しましたが、間違っていませんか」


 真犯人は女が言っていることが理解できなかった。ただ分かることと言えば、危ない連中が暗部の人間であるということだけだ。

「ハニエル。別に答えてもええやん。自分。最低でも5人は殺してきたんやろ。やったら暗部の人間になる資格は十分にあるで。どうやって知ったんか知らんけど、地獄の商人シノまで知っとるし。いずれこいつは暗部の人間になるって」

「サラフィエル。そろそろ逃走しませんか。この場は殺人鬼さんに任せて」

「そうやな。ほんなら後は任せたで」


 2人の後ろ姿は暗闇に消えた。真犯人は路地裏で霜月の遺体の前で佇んでいる。

「地獄の商人シノか。あいつに出会わなければ暗部なんて世界を知らなくて済んだのに」

 真犯人は霜月の遺体を担ぎ、殺害現場を後にする。

 地獄の商人シノと真犯人が初めて会ったのも六本木だった。


 2012年11月20日午前1時。その日真犯人は六本木の街を歩いていた。なぜこの日時間帯にこの街を歩いていたのかを真犯人は覚えていない。ただ復讐をしたいという思いだけを抱えて歩いていたことだけは覚えていた。

「復讐したいんだよね。分かるよ。君の抱えている復讐という闇が」

 一人の女性の声で真犯人は立ち止まった。その女の服装は黒いローブ。フードで顔は隠されている。

「あなたは誰ですか」

「私は地獄の商人シノ。復讐を望んでいる顧客に凶器を売るのが仕事。私から買った凶器を使えば、完全犯罪も夢ではない。あなたが復讐を望んでいるなら凶器を売るよ。おすすめは完全犯罪コース。犯罪初心者でも完全犯罪ができるように、必要なアイテムをその日にお届け。どんなにアイテムが増えても基本料金100万円を払えば追加料金無料」

「おもしろい。復讐したいと思っていた所だ」

 真犯人は地獄の商人が持つ契約書にサインした。

「それでは一週間後。また会いに行きます」

 こうして真犯人は復讐殺人の準備を開始しった。


 サラフィエルとハニエルの2人に会うまで真犯人は気が付かなかった。これまでの猟奇殺人は自分の力で起こしたのではない。暗部の援護射撃を受けて起こしてきたのだと。

 真犯人は歩道橋の上に霜月の遺体を遺棄してそのまま自宅へと戻った。


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