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黙示録  作者: 山本正純
第三章 12月27日
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暗殺 前編

 午後7時。霜月城助は六本木を歩いていた。この街で彼は愛人の田中なずなと密会する。

「この街全体が待ち合わせ場所か。確かそういう番組があったよな」

 霜月は先ほどメールを再び読む。

『偶然を装って密会しようよ。六本木のどこかを徘徊するから、捕まえてね』

「一応あいつは有名人だから変装するだろう。それで彼女を見つけることができるのだろうか」


 霜月は不安になった。その様子をサラフィエルは人ごみに隠れてみていた。彼は霜月の姿を確認すると、スマホを取り出し、ハニエルに電話する。

「俺や。対象を発見したで。このまま尾行するわ」

『そうですか。それではポイントAにエキストラを投入します』

 六本木のパチンコ店駐車場でハニエルは電話を切った。その後彼女はエキストラたちに連絡をする。

「ポイントAに移動してください」

『了解。それで対象は後どのくらいでポイントAに到着する』


 ハニエルはタブレットでサラフィエルの位置を確認した。サラフィエルの体には発信機が取り付けられている。対象の後方にいるサラフィエルの位置が分かれば、対象の位置を知る目安になる。

 そのタブレットには、サラフィエルの位置が表示されている。

「大体後5分くらいで到着します。間に合いますか」

『大丈夫だ』


 それから5分が経過した。霜月が一本道を歩いていると男女の会話が聞こえた。

「絶対あれは田中なずなだったって」

「でも田中なずなって衆議院議員だよね。何でこんな街歩いてるの」

「それは知らない。この通りをすれ違っただけだから。お前。5分前コンビニのトイレ行ったよな。その後すぐに彼女とすれ違ったんだ」


 その若いカップルの会話を聞き霜月は確信した。田中はこの通りをまっすぐ行ったと。そうと決まれば、ただまっすぐこの通りを走ればいいだけ。霜月は走り出した。

 そんな彼の後ろ姿を見た若いカップルはハニエルに電話する。

「今対象が通り過ぎた所だ」

『ありがとうございます。ギャラは後で振り込みます』


 若いカップルは知らなかった。霜月に聞かせた会話を連続猟奇殺人犯が聞いていたことを。


 5分後。霜月は裏路地に迷い込んだ。まっすぐ走っただけで道に迷うとは思わなかった。彼は仕方なく引き返すことに決めた。その時霜月の背後に一人の男が現れた。

「誰だ。お前は」

「世間を騒がしている連続猟奇殺人犯。最後に被害者は霜月城助。お前だ」

 猟奇殺人の真犯人は霜月の首にロープをかける。

「そうか。この事件の黒幕はあいつだったのか」

「黒幕。そんな奴はいないよ。連続殺人を引き起こしたのは個人の意思だから」


 真犯人は霜月の首を絞めた。霜月の呼吸は絶たれていく。

「やめてくれ」

「くだらない言い訳だ。お前らがやったことは許さない。死んで償えよ」

 真犯人はロープを思い切り引っ張った。こうして霜月の呼吸は完全に絶たれた。


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