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黙示録  作者: 山本正純
第三章 12月27日
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久しぶりの仕事

 午後4時30分。木原たち4人を乗せた車は盗難車がある廃ビルの前で停車した。


 木原たちは拳銃を構えながら廃ビル内に突入する。廃ビル内は灯りがないため真っ暗だ。

「警察です」


 神津たちは真っ暗な廃ビル内を懐中電灯で照らす。だが人の気配はない。そこにあるのは、二台の車のみ。一台は軽トラック。もう一台は盗難車だ。

「やっぱりここで車を乗り換えたのか」

 神津は悔しそうに呟いた。だが大野は首を横に振った。

「違います。ここが殺害現場のようですよ」

 

 大野は懐中電灯で床を照らす。床は大量の血液で赤く染まっている。これが連続猟奇殺人事件の被害者たちの血液だとしたら、ここが殺害現場となる。

 木原は携帯電話で北条に電話した。

「北条さん。鑑識を廃ビルに呼んでください。廃ビルが殺害現場と思われる場所です」


 それから30分後、北条は鑑識を連れて廃ビルに臨場した。

「ここが殺害現場というのは本当ですか」

「床が血液で赤く染まっているでしょう。あれが被害者の物だとしたら、ここが殺害現場です」

 鑑識たちは床から血痕を採取している。

 木原たちも犯人につながる遺留品が残されていないかを廃ビル内を捜索する。しかしその現場には、それらしいものは残されていなかった。


 殺害場所特定まで進展したその頃、イタリアンレストランディーノでサマエルはパソコンのメールを読んでいた。

 サマエルは唇を噛み呟く。

「くそ。今日ほどレミエルが必要だと感じた

日はなかった」


 レストラン内でお茶を飲んでいるウリエルは首を傾げた。

「どうかしましたか」

「地獄の商人シノ。知っているよな。そいつの計画をサポートしろとのことだ。相棒となる暗殺者を一名募集するらしい。俺だったらレミエルを推薦するが、彼はまだ海外放浪中。今から帰国するよう指示したら間に合わない。同じ理由でラグエルと鴉もダメ。他にはハニエルとサラフィエルがいるが、あいつらはガブリエルの依頼で動いているから無理。俺は非戦闘員だから論外。残るは・・」

 サマエルはウリエルの顔を見つめた。

「ウリエル。君しかいない」


 ウリエルは驚きを隠せない。

「確かに私も戦闘員ですが、大量の人間を一度に気絶させる程度の芸当しかできませんよ。それに鴉さんのサポートなしだと、一人も殺していませんし」

「だったらいい経験になる」

「それは本気で言っていますか」


 平和ボケしていたとウリエルは思った。退屈な天使たちはテロ組織。暗殺稼業にも手を染めなければ生きていけない世界にウリエルはいる。

 サマエルは笑顔でウリエルにメモを渡した。

「とにかく打ち合わせは今晩午後8時。場所は東都フレンドホテル」

 話が勝手に進んでいきウリエルは目を点にする。

「それで、忘年会の方はどうしますか」

「シノとの仕事が終わり次第途中参加。アズラエルも仕事で忙しいから途中参加すると言っていたから一人ではない」

 

 ウリエルはため息を吐いた。今晩8時からは久しぶりの暗部の仕事だ。


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