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黙示録  作者: 山本正純
第三章 12月27日
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2人の悪女

 その頃田中なずなは衆議院議員会館でメールを打っていた。

『暗殺を依頼します。対象は裏切り者』

 彼女がメールを送信した瞬間、彼女の前に遠藤えんどうアリスが現れた。

 

 遠藤アリスは浅野公安調査庁長官の秘書を務めている。そんな彼女が衆議院議員会館にいるのは、田中なずなを送迎するためだ。

「田中なずなさんですね。浅野公安調査庁長官がお待ちです」

「大物さんが私に何か用でしょうか」

「猟奇連続殺人についてです」


 田中なずなは遠藤アリスの言葉を聞き納得した。そして2人は一緒にタクシーが停まっている駐車場へと向かう。


 それから20分後田中なずなは浅野房栄公安調査庁長官と公安調査庁長官室で対面する。


 浅野は椅子に座ると早速質問を開始する。

「榊原刑事局長に聞いたのよ。あなたが私の完璧な隠蔽工作にケチをつけたって」

「別にケチをつけた覚えはありません。法務省と警視庁上層部だけの圧力で隠蔽できるとは思いませんから。政界からも圧力を懸けたら完璧に事件を隠蔽できるでしょう」

「だから、あなたの隠蔽工作と私たちの隠蔽工作は相反する物なのよ。私たちの隠蔽工作は霜月城助を被疑者として仕立て上げて、事件の捜査を強制的に終わらせる。全ては神谷サツキを守るために。一方あなたの隠蔽工作は、私たちが被疑者に仕立て上げようとしている霜月城助を救済するための隠蔽工作。まず質問するけど、霜月城助を釈放した後どうするつもり」

「圧力をかけて事件を握りつぶす。これ以外答えがありますか。こちらから指摘しますが、あなたたちの隠蔽工作は冤罪を作るのがオチですよ。隠蔽工作の結果、冤罪が生まれた。これは法務省や警視庁の不祥事になりかねると思いますが」

「あなた優しいのね。榊原刑事局長からは私以上の悪女と聞いていたから」

「きれいなバラには棘がある。私はそういう悪女なんですよ」


 自分を悪女と認めた田中を浅野は凄いと思った。

「二重隠蔽工作。見事だと思うの。お互い頑張りましょう」

 浅野は田中に握手を求める。

「政界からの隠蔽工作に納得していただきうれしいです」

 二重隠蔽工作はすぐにでも始まる。

 

 その頃ガブリエルからメールを受信したハニエルとサラフィエルは車で東京に向かっていた。

「東京までドライブしよ思っとったのに、仕事かいな。久しぶりに殺せるんやから文句は言えんけど」

「まだ早いですよ。暗殺は対象が釈放されてからです。それまで、ラジエルの様子でも見に行きますか。彼女の心を撃ちぬいた大野達郎という刑事も気になりますし」

「それもええけど、大丈夫か。変装せえへんと見舞いもできへんで。変装して面会しようにも、警察病院内は多くの警察官が固まっとる。見舞いに来たラジエルの関係者は事情聴取すると思うねん。せやから、面会は不可能や」

「誰が面会に行くと言いましたか。大野達郎と接触するだけですよ」

「居場所を知ってるんかい」

「大体の見当はついています。何回人探しをやったと思いますか。私は探偵です」

 ハニエルが運転する車は東京へと向かう。


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