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黙示録  作者: 山本正純
第三章 12月27日
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ミッシングリンク 1

 午後2時。合田と月影は飲み屋ブラッグ大河の玄関のドアを開けた。店内には桐嶋師走と北白川カンナがいる。

 

 これから捜査のために店を訪れることを北白川には知らせていたが、桐嶋が店内にいることは想定外の出来事だ。

「北白川さん。なぜ桐嶋さんが店内にいるのでしょうか。開店は午後5時からのはずですよね」

「桐嶋君には聞きたいことがあったから開店前の店に呼んだだけです。7年前の特急ブルースカイ号爆破事件に関係した猟奇連続殺人が発生しているでしょう。あの事件当時水無元太君は特急に乗っていたのだけど、どうやってチケットを手に入れたのだろうと思ったから。元太君の親友の桐嶋君なら何か知っていると思いました」

「チケットの入手くらいなら簡単だろう。親の権力を利用したら」


 合田の意見を聞いた桐嶋は首を横に振った。

「違いますよ。特急ブルースカイ号の乗車券と初運行記念パーティー参加券を同時購入したら10万円です。ただの高校生には用意できる額ではない。僕はバイトして貯めたかねでチケットを購入しましたが、初運行記念パーティー参加券までは手が出せませんでした。確かに元太君の父親は当時青空運航会社に勤務していました。でも父親の力は使っていないと思います。だってチケットの色が特別招待客用の金色ではなく、一般客用の白色でしたから。父親経由でチケットを入手したらチケットの色は金色になるでしょう。特急ブルースカイ号内で訳を聞こうと思ったら、知らない女性と仲良く会話をしていたから聞けませんでした」


「それでは本題に入ります。今朝水無信彦さんの遺体が発見されました」

 桐嶋と北白川は驚きを隠せない。彼らの顔は青ざめている。

「本当ですか」

「常盤ハヅキさんの次は元太君の父親か」

「北白川さんに聞くが、昨晩水無信彦さんはこの店で飲んでいなかったか」

「いいえ。昨晩はいませんでしたよ。水無さんは一か月に一度の頻度でしか通いませんから。医者にアルコールを控えるよう勧められたって言っていました」


「常盤光彦と神谷歩美という人物に心当たりはあるか」

「常盤光彦さんは常盤ハヅキさんの父親ですよね。でも神谷歩美さんには心当たりはないな。誰なんですか。その神谷歩美さんというのは」

「水無信彦が殺害される前に霜月城助に渡した手紙に書いてあった名前だ。その手紙には、水無元太、常盤光彦、神谷歩美と記されていた。この3人の共通点は7年前の特急ブルースカイ号爆破事件で死亡した被害者だ」

 

 合田の話を聞き桐嶋は大きな声を挙げた。

「思い出しました。あの事件当時元太君が仲良く話していた女性の名前です。その女性を元太君は『神谷さん』と呼んでいました」

「それは本当ですか」

「はい。間違いありません」

 桐嶋の証言により水無元太と神谷歩美が繋がろうとしている。また桐嶋が何かを思い出したら真相に辿り着けるかもしれない。そのように考えた合田は桐嶋に名刺を渡す。

「また何か思い出したら連絡してくれ」

 合田と月影はブラッグ大河を後にした。


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