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黙示録  作者: 山本正純
第三章 12月27日
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手紙~退屈な天使たちの場合~

 午後1時20分。イタリアンレストランディーノでは、テロ組織退屈な天使たちのメンバーが集まっていた。

 この場にいるのはウリエル、ハニエル、サマエル、サラフィエルの4人。アズラエルは本職の仕事中のためこの場にはいない。


 忘年会の開始時間は本日の午後8時から。まだ6時間40分もあるにも関わらずこの4人が忘年会の会場にいる理由はただ一つ。

 暇だからだ。アズラエルのように時間まで本職の仕事があればよかったとウリエルたちは思った。

 

 宮本栞は大学生。江角千穂は探偵。東條清太郎の仕事は分からないが、板利明はこの店のシェフをしている。まだこの店は営業休止中のため客は来ない。

 

 4人のテロ組織『退屈な天使たち』のメンバーは文字通り退屈な時間を過ごしている。

 するとハニエルはあることを思いだした。

「そういえば、サマエルさんはラグエルさんからの手紙を預かっていますよね。手紙を渡すメンバーはこの場に揃っています。サマエルさん。今その5日早いお年玉を私たちに渡しませんか。その方が退屈から解放されるのではありませんか」

「ちゃうな。ハニエルはん。あれは4日遅れのクリスマスプレゼントやで。勝手に決めるなや」


 ウリエルは話が見えておらず目を点にしている。

「何のことですか」

「ラグエルからのくだらない質問のことだ。ここにあなた宛ての手紙があります。その名称は5日早いお年玉でしょうか。それとも4日遅れのクリスマスプレゼントでしょうか」

「それなら4日遅れのクリスマスプレゼントでしょう。だってお年玉をもらう年頃ではありませんから」

 

 多数決の結果。ラグエルからの手紙の名称は、『4日遅れのクリスマスプレゼント』に決まった。

 

 サマエルはウリエルたち一人一人に手紙を手渡す。

「ウリエル。4日遅れのメリークリスマス」

 サマエルから手紙を受け取ったウリエルは失笑した。

「そのギャグもラグエルの指示ですか」

「はい。ラグエルの指示だ。因みに名称が『5日早いお年玉』になったら、『5日早いから、あけていません。おめでとうございます』と言えと指示された」

 

 ウリエルとハニエルは目を点にするしかなかった。一方サラフィエルは一人大笑いしている。

「なんやねん。それ。ユーモアがあるやん。さすがはラグエルはん」


 ラグエルからの手紙を受け取ったウリエルたちは封を切り手紙に目を通す。

 それから3分後、ウリエルたちは同時に大笑いする。その様子を見てサマエルは目を丸くする。

「どうした」

「おもしろいことが書いてあったからに決まっているでしょう」


 ウリエルとハニエルはサマエルに手紙を見せびらかす。

『ディア・ウリエル。この2か月で活動資金はたまりましたか。機が熟したらサラフィエルに渡してください。まだあなたの手足となっている鴉さんは帰って来ませんよね。ラグエル』


『ディア・ハニエル。そろそろラジエルが目覚めた頃でしょうか。ラジエルの件ではこちらの指示があるまで動かないでくださいね。ラグエル』

 

 サラフィエルは2人の手紙を読み怒った。

「不公平やん」

 

 サラフィエルもウリエルたちに手紙を見せた。

『後は任せた』

 

 ラグエルからの手紙を使った暇つぶしはたったの6分で終わった。まだ忘年会までは時間がある。


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