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黙示録  作者: 山本正純
第三章 12月27日
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手紙~捜査一課の場合~

 午後1時木原と神津は警視庁捜査一課3係に戻って来た。木原は水無信彦が霜月城助に渡していた手紙を持っている。

 タイミングが良かった。合田警部と月影管理官はデスクワークをしている。そんな彼らの近くには報告書を持った北条が立っている。

 彼らに木原たちは近づいた。

「合田警部。霜月城助から貴重な証拠を入手しました。水無信彦が殺される前に霜月に渡した手紙だそうです」


 木原はその手紙を合田警部に渡した。

「いいのか。まだ霜月の事情聴取をしなくても」

「千間刑事部長の息がかかっている刑事に事情聴取を妨害されました。重要な証言を一つ聞くだけで精一杯でした」

「その重要な証言というのは何ですか」

「赤いネクタイだ。水無信彦は昨日の午後8時霜月城助の自宅を訪問したそうだが、その時は赤いネクタイをしていた。だが遺体が発見された時には、ネクタイの色が赤から緑に変わっていた。気になる証言だろう」

「その証言の裏を取る必要があるな。今から水無信彦の足取り捜査をしている大野と沖矢にこのことを連絡する」


 合田は携帯電話を取り出し、大野に電話した。

「大野か。合田だ。少し調べてほしいことがある。霜月城助の自宅周辺の防犯カメラの映像だ。ネクタイの色に注目してくれ」

『ネクタイですか』

「先ほど霜月の事情聴取が始まった。そこで彼が昨晩の午後8時に水無信彦が自宅を訪問したと証言した。その時のネクタイの色は赤だった。つまり彼の証言が正しければ、防犯カメラに映った彼は赤いネクタイをしているはずだ」

『分かりました。それでは防犯カメラの映像の提出も求めてみます』

 合田は電話を切ると、机の上に置いてある水無信彦からの手紙を見つめる。

「次は水無からの手紙か」


 合田はハサミを使い手紙の封を切る。封筒から手紙を取り出した彼は、机の上に手紙を広げた。その手紙は直筆で、万年筆で書かれているようだった。

『水無元太。神谷歩美。常盤光彦。この3人を結ぶ三角形。そこに真相が隠されている』

「水無元太。神谷歩美。常盤光彦。この3人。確か特急ブルースカイ号爆破事件の被害者の名前だったよな」


 月影たちは合田の問いかけに対して頷く。

「その3人がどうかしたのですか」

「水無が書いたと思われる手紙に書いてあるんだ。あの3人の名前が」

 木原と神津も水無が書いたと思われる手紙に目を通す。

「つまりあの3人には何か繋がりがあったということか」

「ああ。水無は犯人に心当たりがあったんだろう。いつか自分も殺されるかもしれないから信用できる霜月に手紙を預けた。自分が殺されたら手紙を警察に提出するように指示して」

「あの3人の繋がりに真相が隠されている可能性が高いと思います。今後はこの手紙に記された3人の被害者に標点を合わせて捜査しましょう」

 月影の指示の元、貴重な手がかりを糧にして捜査一課3係の捜査は始まった。


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