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黙示録  作者: 山本正純
第二章 12月26日
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偽りの警察官

 大野からの電話を受けた合田は月影と一緒に青空運航会社にいた。そこで2人は再び水無信彦を運航会社の会議室に呼び出す。

「何の用ですか。先代の社長如月武蔵さんが殺害されたことなら、警察から報告を受けていますが」

「水無元太。あなたの息子だよな。7年前の特急ブルースカイ号爆破事件の被害者リストに載っていた。霜月から聞くまで気が付かなかった。なぜこのことを黙っていたのか教えてくれないか」

「言ったら容疑者として疑われるでしょう。これ以上この会社の評判を落としたくなかったんです。確かに私には相模さんや如月社長を殺害する十分な動機がある。でも私には常盤ハヅキさんを殺害する動機がない。彼女とは元太の葬式の日にしか会っていない。彼女の父親の常盤光彦さんは駅員から特急ブルースカイ号の乗組員に出世した努力家。そんな方の娘さんを殺したら呪い殺されますよ」

「常盤ハヅキさんも殺害されたことも警察からの報告で知ったのですか」

「ああ。今朝の午前8時に警視庁捜査一課の水口巧みずぐちたくみさんが報告した。その電話は携帯電話で受けたから着信履歴もある」

 水無は合田に携帯電話を渡した。

『着信履歴。12月26日午前8時・・・』


 確かにそれらしき着信履歴はあった。合田は一応着信履歴に記されている電話番号に電話してみた。

『おかけになった番号は電源が入っていないか電波の届きにくい場所にあります』

 何回かけても電話からはこのメッセージが流れる。合田たちは電話の主を調べることにした。

「それでは昨日午後4時20分から午後5時40分までの間どこで何をしていましたか」

「その時間なら会議に参加していました。各運行会社の連絡調整会議です。証人は10名以上います」

「その会議の参加者名簿というのはないのか。それがあればアリバイを確認することができるが」


 合田の一言を聞き水無は昨日開催された関東地方運行会社連絡調整会議の参加者名簿を快く渡した。

「それではこの名簿をお預かりします」


 合田と月影は青空運航会社を後にして木原に電話する。

「木原か。今どこにいる」

『警視庁に戻ってデスクワークをしていますが』

「丁度良かった。少し調べてほしいことがある。水口巧という警察官が警視庁にいるのかどうか。所轄まで捜査の幅を広げても構わない」

『分かりました。少し待ってください』

 

 警視庁捜査一課三係でパソコンを操作している木原は、警視庁のデータベースにアクセスする。データベースには警察官や前歴者の名簿が記入されている。

 木原は『水口巧』で検索をしてみる。だが一件もヒットしなかった。

『水口巧なんて刑事は警視庁にはいません。所轄を対象に検索をしてみましたが一件もヒットしません』

「そうか。分かった」

 合田は電話を切り、隣にいる月影に報告した。

「どうやら水無信彦に常盤ハヅキと如月武蔵が殺害されたことを報告した水口巧という刑事は存在しないらしい」

「確か今も常盤ハヅキさんと如月武蔵さんが殺害されたことはマスコミには伏せていますよね。ということは水口巧というのは犯人の偽名の可能性が高いですね」

「だとしたらなぜ犯人は水無に常盤と如月が殺害されたことを伝えなければならなかったのだ」

「それは分かりませんが、しかし水口巧は犯人からのメッセージであることは間違いないでしょう。この偽名について調べてみませんか」

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