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黙示録  作者: 山本正純
第二章 12月26日
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政界の大物たち

 警察庁の刑事局長室に3人の大物が集まった。一人目は井伊尚政。現法務大臣だ。二人目は榊原栄治。警察庁刑事局長。そして三人目は浅野房栄。公安調査庁長官でこの三人の中では一番偉い。


 午前10時。四人目にしてこの三人の大物に呼び出された警視庁刑事部長千間は三人が集まっている部屋に現れた。

 メンバーがそろったことを確認した井伊尚政は早速本題に入る。

「皆様を呼び出したのは他ではありません。現在世間を騒がしている猟奇殺人事件の処理について。現在警視庁では事件の捜査をしているが、彼女がこの事件に関わっている可能性が高い。彼女に捜査の手が伸びる前に圧力をかけたいと思いますが、いかがでしょうか。それと、宇津木死刑囚はこのまま病死させる予定ですがいかがでしょう」

 

 浅野は手を挙げた。

「私を呼んだということは隠蔽に関われということかしら」

「はい。浅野さんは捜査一課三係が関わった事件の真相を隠蔽しましたよね。その時の隠蔽工作は見事でした。そこで浅野さんには警視庁捜査一課が手を出せない隠蔽のやり方をご教授していただきたくて、お呼びしました」

 

 井伊の一言を聞き浅野は鼻で笑った。

「おもしろいこと言うよね。事件を捜査一課の管轄外にしたら簡単なのよ。あなたが示したその事例も島根県警捜査一課という警視庁が管轄していないエリアで真相を隠蔽させたから」

 浅野の話を聞いた榊原刑事局長が腕を組みながら呟いた。

「なるほど。だが俺たちが求めているのはそんな方法ではない。警視庁内の管轄内で捜査一課が手を出せない隠蔽工作の方法を聞いているんだ」

「だったらこういうのはどうですか」

 浅野房栄の作戦を聞き榊原と井伊は頬を緩ませた。

「それはおもしろい。やってみる価値があるかもな」

「相変わらず腹黒いね。浅野さんは」

「そこまで腹黒くないのよ。もっと腹黒いのは酒井衆議院議員でしょ」

 浅野の言葉に榊原と井伊は縦に頷いた。

 三人の大物が盛り上がっている中千間刑事部長は目を点にしていた。

「盛り上がっている所申し訳ないが、私はなぜ呼ばれたんだ」

「隠蔽工作について知っていただくことと、事件の鍵を握っている彼女の処分は警視庁に任せるという話です。もう帰っても構いませんよ」

「それなら電話でもよかったのではないか」

「電話だと盗聴されるかもしれないだろう」


 この警察庁刑事局長室に盗聴器が仕掛けられていても同じだと千間は思った。だが彼は口答えできる立場ではない。その言葉を飲みこんだ彼は警視庁に戻った。


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