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黙示録  作者: 山本正純
第二章 12月26日
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第二回捜査会議 後編

 桐嶋師走という名前が浮上して合田たちの顔は青ざめている。それ以上に驚いているのは大野だ。宇津木白豚も朝霧睦月も大野と面識がある人物だから。面識があると言っても東京都警察病院で一度ほど会っただけだが。


 その後合田は報告を開始する。

「我々捜査一課は相模さんの人間関係について捜査していた。捜査の過程で浮上した容疑者は相模弥生と霜月城助の2人。相模弥生には浮気相手と借金があり、保険金を使って生活をリセットしたかったという動機がある。しかし、常盤ハヅキや如月武蔵を殺害する動機がない。常盤ハヅキと彼女の自宅は隣だから、遺体を切断するという処理は容易であると思われる。霜月城助は、相模に会社の経営でトラブルがあったからという動機があり、如月武蔵に関しても何か動機がありそうだ。また第二の事件の被害者常盤ハヅキは霜月の会社に勤務している。会社内で何かトラブルがあれば、常盤殺しでも動機はあるだろう。ただし彼には相模さんが殺害された第一の事件の時に完璧なアリバイがある。そのアリバイを崩さない限り犯行は不可能だ。捜査で接触した北白川カンナと水無信彦に動機がないのかを捜査中だ」


 合田の報告を聞き、喜田は拍手した。

「残念ながらその4人の中に犯人はいません。警視庁上層部が導き出した真実は・・」

 

 喜田が何かを話そうとした時、千間は机を強く叩き立ち上がった。

「止めろ。あの真実をこの場にいる人間に知られてはいけない。あれは警視庁上層部だけが知っている秘密だからな」

 千間の怒鳴り声で捜査会議室は静まり返った。

 千間刑事部長は再びマイクを持つ。

「7年前の特急ブルースカイ号爆破事件の関係者の中に犯人がいる可能性が高い。第二第三の事件のアリバイやあの2人が殺害されなかればならなかった動機を調査し、これから起こるかもしれない第四の猟奇殺人事件を阻止するんだ」


 千間刑事部長のこの一言で第二回捜査会議は終了した。


 捜査会議終了後合田警部たちは千間刑事部長の周りに集まった。

「一体何なんだ。警視庁上層部が導き出した真実って。何を隠している」

「言えないな。この真実をお前らが知れば、確実に公にするだろう。あれは警視庁上層部にとって都合が悪い真実。それが明らかになったら、警視庁上層部はお前らを強制的に辞職させるだろう。知らなくてもいい真実もある」

「分かった。それなら自力で辿り着くだけだ。警視庁上層部にとって都合が悪い真実に」

 

 千間刑事部長にそう言い残すと合田は捜査会議室を後にした。

 その直後千間の携帯電話に電話がかかってきた。

「もしもし。千間だが」

『法務大臣の井伊尚政です。今警察庁にいるのですが、そろそろ対策について話し合いませんか。早くしないと捜査一課三係が真相を暴きますよ』

「それもそうか。こっちは喜田が合田にあの真実を匂わせるというミスを犯した。あいつらが真相に辿り着くのも時間の問題だ。だからすぐそっちに向かう」


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