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黙示録  作者: 山本正純
第一章 12月25日
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再集結

 午後6時59分。間もなく午後7時になろうとしているにも関わらずイタリアンレストランディーノの中には喜田参事官ことアズラエルと、横浜中央大学の女子大生、宮本栞みやもとしおりの2人しかいない。

 宮本栞とはこの店のアルバイト定員ではない。彼女のコードネームはウリエル。退屈な天使たちのメンバーだ。10月の劇場型犯罪で容疑者として警察にマークされているため、最近はメンバーとの接触を絶っている。この2か月間、宮本栞は普通の大学生としての生活を楽しんでいた。


 そんな彼女に喜田参事官は話しかけた。

「ウリエル。最近はどうですか」

「結構退屈ですよ。やることといえば普通に勉強して単位を取ることくらい。それとこの店の掃除をすることだけですから」

「なるほど。この店の掃除はあなたがやっていましたか」

「大学生は暇ですから。それより今晩は誰が来るのですか」

「レミエルと鴉たちは海外にいる。ラグエルとサマエルの仕事は終わったが、ラグエルは海外に残り別の仕事をしているそうです。サマエルは明後日に帰国するそうです。サンダルフォンは音信不通。だから今晩来るのはハニエルとサラフィエルだけです」

 

 するとイタリアンレストランディーノのドアが開き、長髪の女と茶髪に赤い眼鏡の男が店内に入ってきた。

 その2人を見てウリエルは挨拶する。

「いらっしゃい。サラフィエルとハニエル」


 長髪の女のコードネームはハニエル。本名は江角千穂えすみちほ。赤い眼鏡に茶髪の男にコードネームはサラフィエル。本名は東條清太郎とうじょうせいたろう

 ウリエルの一言を聞きサラフィエルは鼻で笑った。

「久しぶりやな。コードネームで呼ばれるんは」


 メンバーがそろったためアズラエルは椅子から立ち上がった。

「それでは今回の集会の趣旨を説明しましょう」

 するとアズラエルは新聞の一面を他のメンバーに見せた。その新聞記事を見てウリエルは呟く。

「これはこの前の衆議院議員総選挙の開票速報の記事ですね」

「ああ。そして今回君たちを呼んだのは他でもない」


 アズラエルは赤いボールペンを取り出し、一人の衆議院議員の名前を丸で囲んだ。

「名前は田中なずな。有名ですよね。福岡県議会議員の美人秘書として有名の方で今回の衆議院議員総選挙で初当選を果たしました」


 ハニエルはアズラエルの話を聞き、手を上げる。

「今回の目的は田中なずなさんの暗殺ですか」

「そうではない。この女は我々の組織のメンバーガブリエルです。彼女が領土である西日本を離れて衆議院議員として活躍する真意を探ってほしいというあの方からの命令です」

 

 アズラエルの話を聞きサラフィエルは大笑いした。

「なんやねん。それ。てっきり今回は警察の手に落ちたラジエルを暗殺するちゅう話やと思ったわ」

「まあいいでしょう。それで役割分担はどうしますか。作戦参謀代理さん」

 アズラエルはハニエルの一言を聞き、目を点にする。

「ハニエル。10月は蚊帳の外だったから文句は言えないけど、僕の方が偉いんですよ。だから作戦参謀代理とは言わないでください。ラグエルやレミエルの方が偉いと思われますから。役割分担はハニエルとサラフィエルが調査をする。ウリエルと僕。そして期間が延びそうならサマエルを使ってあなたたちのサポートをします。調査手段は任せますが、くれぐれも警察にはマークされないようにしてください」

「了解」

 こうして再集結した退屈な天使たちの集会は終了した。


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