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黙示録  作者: 山本正純
第一章 12月25日
12/69

常連客

 その頃合田と月影は飲み屋ブラッグ大河に到着した。だが店はまだ開いていない。看板に書かれた営業時間が午後5時から午前0時だから仕方ない。現在の時刻は午後3時。店が開くまで2時間はある。

「どうする。ここは聞き込みでもするか」

「そうするしか方法がないでしょう」


 合田たちが相談をしていた時だった。一人の若い女が店の裏口から現れたのは。その女の髪は短い黒髪。身長は150㎝くらい。右の頬に小さな黒子がある。

 その女に月影は話しかけた。

「すみません。北白川カンナさんですか」

「そうですよ。あなたたちは誰ですか」

 合田たちは北白川に警察手帳を見せる。

「警視庁の月影です」

「同じく警視庁の合田だ。相模長重さんについてお聞きしたいことがあってな。少々時間を貰ってもいいか」

「構いません。店の中でお話ししましょうか」

 

 北白川カンナは店の鍵を開け、合田たちを店の中に案内した。

 店の中は狭い。テーブル席はなく、すべてがカウンター席になっている。椅子の数は10個。この店で一度に飲むことができる人数は最高で10人。

 合田たちは適当にカウンター席に座ると、北白川カンナに話を聞いた。

「今朝相模長重さんが遺体で発見された。そこで確認だが、一昨日は相模と如月武蔵がここで飲んでいたというのは本当なのか」


「はい。そうです。一昨日の午後8時から午後10時まで飲んでいましたよ。一緒に飲んでいたのは如月さんで間違いないです」

「その時に店内にいたのは」

 

 合田からの質問を聞き北白川は頭に手を置いた。

「一昨日の午後8時から午後10時までの間に店内にいたのは、その2人と湯里ゆのさとさんと桐嶋君だったかな。他の常連客は忘年会や旅行で来なかったから」

「その湯里さんと桐嶋君というのは」

「湯里さんはカウンセラーとして活躍している湯里文ゆのさとふみ先生。桐嶋君は桐嶋師走君ですよ」

 

 すると合田が手を挙げた。

「因みに桐嶋師走だけ君付にした理由は」

「桐嶋君と私は同じ高校の同級生だから」

「因みにどこの高校に通っていたのですか」

「東都商業高校です」

「なぜ相模さんはこの店の常連になったのだ」

「それは如月武蔵さんの影響です。もともと如月さんと私のお父さんは友人でよく飲みに行っていました。相模さんに出会ったのは3年前如月さんに連れられてこの店にやってきた時です。それ以来名物ブラッグタイガーの海老フライと枝豆のセットにハマられて、来られた時は毎回のように頼んでいましたよ」


 北白川の話を聞いた合田たちは顔を見合わせる。

「それでは相模さんは昨晩もこの店に来られましたか」

「はい。昨日も来られました。昨晩は午後7時に来られて一人で飲んでおられました。午後8時に相模さんの携帯電話に電話がかかってきたので、会計を済ませて店を出て行きましたよ」

「その時に店内にいたのは誰ですか」

「珍しく常盤カンナさんがいました。その時間帯なら常盤カンナさんと相模さんの2人しかいませんでした」


「最後に形式的な質問をさせてもらう。12月25日午前0時から午前2時までの間。午前4時50分はどこで何をしていた」

「午前0時から午前2時なら店の片づけをして寝ている頃です。午前4時50分も寝ています。一人暮らしなので証人はいません」

 聞き込みが終わった合田と月影はブラッグ大河を後にする。


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