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黙示録  作者: 山本正純
第一章 12月25日
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鉄壁のアリバイ

 午後2時木原と神津は霜月城助が社長を務める輸入会社カシオペアにやってきた。

「警視庁の木原です。霜月社長はいらっしゃいますか」

 受付で質問をした木原は事務員の顔を見る。その顔に木原は見覚えがあった。

「確か君は今朝河川敷で遺体を発見した常盤ハヅキさんですよね」


 常盤ハヅキは頷く。

「はい。まさかあの時の刑事さんと再会するとは思いませんでしたよ。それで今日はどのようなご用件ですか」

「ああ。実は霜月社長と今朝変死体として』発見された相模長重さんが口論をしていたという情報があって、事実関係を調べに来た」

「へー。今朝の変死体は相模さんでしたか」


 常盤ハヅキのリアクションに木原たちは驚いた。

「相模さんをご存じですか」

「はい。電車内で痴漢の被害に遭っている時に相模さんが助けてくれました。車掌をやっていた頃だから8年くらい前の話ですが」

「それ以上の交流はあったのか」

「2年前だったかな。お茶会で相模さんの妻の相模弥生さんと会って、彼女経由で相模さんと再会したのは。それ以来よく相模弥生さんとはお茶を飲みに行きますよ」


 しゃべりすぎたと思った常盤は立ち上がり2人を社長室に案内する。社長室はなぜか一階にあった。

 

 社長室へと案内された2人は会社社長の霜月城助と会った。

「社長。警察の方です」

「常盤ハヅキ。丁度良かった。後で話がある」

「分かりました。それでは警察の方が帰られてから会いましょう」


 常盤は会釈をすると社長室を退室した。木原はドアが閉まるのを確認すると、単刀直入に霜月に質問する。

「霜月さん。今朝相模さんが殺害されました。捜査をしている内にあなたが被害者の相模長重さんと口論をしていたという証言が浮上しました」

「なるほど。それで俺が相模を殺害したとでも言いたいのか」

「まだそこまでは言っていません。まずあなたと相模さんが口論をしていたという証言が事実なのかを教えていただけませんか」


 木原の問いかけに対して霜月は淡々と答えた。

「それは本当だ。3年前だってそうさ。内の会社の経営について口を出してきたから殴ってやった。あいつには借金を払っていたという負い目があったから経営の意見を聞いていたが、あの時あいつは赤字になるような意見を言ってきた。だから許せなかった」

「つまりあんたには相模を殺害する動機がある」

 神津の質問に対して霜月は頷いた。

「ああ。そうだ」

「それでは昨晩午前0時から午前2時までどこで何をしていましたか。因みに午前4時50分は」

「その時間なら海の上だったぜ。一昨日から輸入雑貨の取引をするために海外にいたからね。今朝午前6時横浜港に帰国した船は長旅だったから船酔いしかけたが」


「なぜ飛行機で帰国しなかったのでしょう」

「俺が高所恐怖症だからな。高い所にいると必ずめまいが起こる。だから社長室を一階に作るように建設会社に指示したんだ」

 

 一通り聞き終わった木原たちは社長室を後にする。玄関にある自動ドアを出てから木原と神津はひそひそ話を始める。

「鉄壁のアリバイか」

「調べる必要がありそうですね」


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