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黙示録  作者: 山本正純
第一章 12月25日
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情報交換

 午後1時。合田たち捜査一課3係は捜査一課に一度集まり情報交換を行った。

 この場にいるのは合田警部と月影管理官。大野警部補と沖矢巡査部長の4人だ。

 

 合田はホワイトボードに被害者の写真や容疑者の写真を張っていく。

「今回の猟奇殺人事件の被害者は相模長重。51歳。相模は一昨日まで青空運航会社で仕事をして、昨日は無断欠勤をしたそうだ」

 

 合田の話を聞いた沖矢は首を傾げる。

「それはおかしいのだよ。被害者の妻の相模弥生さんは二日前から失踪していると証言したよ。人に会いに行くって言って」

 

 合田は沖矢の意見に頷いた。

「それは分かっている。現青空運航会社社長の水無信彦から、一昨日の夜青空運航会社元社長で定年退職した如月武蔵に会いに行くと言っていたそうだ。如月と会っていたとされる飲み屋の名前はブラック大河」

 大野は手を挙げた。

「その如月さんと会った直後に殺害されたという可能性はありませんか」

 大野の意見を聞き月影は立ち上がる。

「それはまだ分かりません。司法解剖の結果がまだ分かっていませんから」


 すると司法解剖に立ち会っていた木原と神津が北条に連れられて、捜査一課3係に顔を出した。北条は早速合田警部に報告をする。

「合田警部。司法解剖の結果が出ました。死亡推定時刻は昨夜午前0時から午前2時の間です。日付の上では被害者は今日12月25日に殺害されたことになります」

「死因は」

「絞殺でした。事件とは関係ないかもしれませんが、被害者の血液から大量のアルコール。胃の内容物から海老や枝豆が検出されました。以上のことから被害者は殺害される直前まで誰かと飲んでいたことになります」

 

 北条からの報告を聞き木原と神津を除いた4人はホワイトボードを見た。何のことなのか分からない木原たちは合田に質問する。

「合田警部。何ですか」

「説明する必要があったな。被害者がよく飲みに行っている飲み屋はブラック大河。そこで一昨日青空運航会社元社長で定年退職した如月武蔵と飲んでいたらしい。昨日もこの飲み屋で飲んでいたとしたら、如月武蔵が重要参考人になるということだ。その飲み屋によく行く理由が看板娘の北白川カンナに会うためだとしたら、彼女も容疑者になる」


 合田の話に続くように月影も木原たちに説明した。

「容疑者はこの2人だけではありません。3年前如月元社長が定年退職した日、東京駅の構内で、元特急ブルースカイ号運転手で現輸入会社社長の霜月城助と被害者の相模長重は喧嘩をしたそうです。それの仲裁に入って全治一週間の怪我を負ったのは、桐嶋という男。所轄でその傷害事件の調書を読んで、名前は桐嶋師走きりしましわすであることが分かった。この2人も立派な容疑者だとは思いませんか」

 

 月影の説明を聞き大野はうなった。

「霜月さんとはなんらかのトラブルがあったとして、桐嶋さんには動機はないでしょう」

「それはまだ分かりません。あくまで可能性の話ですから」


 大野は手を挙げて合田たちに対して報告を行った。

「被害者の妻の相模弥生さんにも動機はあります。被害者の生命保険は3000万円。さらに相模弥生さんは2000万円の借金があり、誰かと浮気をしていたそうです」

 沖矢は大野の報告に続けるように合田たちに話す。

「つまり相模長重さんを殺害して、生命保険で借金を帳消しにする。そして浮気相手と残った1000万円を使って再婚する。相模長重さんが邪魔だったという動機なのだよ」

「沖矢さん。ちゃんと喋れていますよね。語尾に『なのだよ』をつけなくても」


 大野は感心した。沖矢はただの変人ではないと。しかし沖矢はそんな大野の発言をスルーする。

 そして合田は容疑者たちをまとめる。

「容疑者は、如月武蔵。北白川カンナ。霜月城助。相模弥生。桐嶋師走。この5人の中に犯人がいる可能性が高い。木原と神津は霜月城助と接触。大野と沖矢は如月武蔵に会いに行け。俺と月影は被害者が最後に立ち寄ってと思われる飲み屋ブラッグ大河に行き、北白川カンナに話を聞く」


 情報交換は終了し、捜査一課3係にメンバーは容疑者たちに話を聞きに行く。


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