真面目なタイトル『黒い勇者』こんなの如何?
勘違いをされていて気付いているのに止められない主人公を書きたくてスタートしたら早くも迷走しそうです。
長かった旅も終盤になるとなんだか寂しくなってくる。俺は各地を回って誰が何に向いているかを告げていただけ!だけどね。其れでもしないよりはましだと信じて各地で続けたんだ。
そうして勘違いが更に進んで俺の所に王都の文官のお偉いさんからお手紙で、
『優秀な人材を探して欲しい。出来れば計算に強い者がいい。其れから帰ったら王都で仕官しなさい。』
破り捨ててやったよ。全く、人を何だと思っているんだ!俺はそんな場所には就職しないからな!絶対にだ!
其れはそうと、この前の話しなんだがデカイ蛇が調査団に襲い掛かって来た時に初めて戦ったんだけど、其の蛇がやたらと強くて大変だったんだ。
そいつの口の中に有る目から出て来る光を浴びた場所が石に変わって大変だったよ。集中して光を避けながら時には布で光を防いで近付いて顎の下から槍で突き刺して口を封じてから全員で滅多斬り・・・
その後は全員で生き残った事に歓声を挙げて其の蛇が有名な『バジリスク』だった様で商人が発狂したね!
後から手紙でマーセルさんからお礼を長々と読む事に・・・そんなに長い手紙を書かれても困るんだ!
ハースレイさんも手紙をくれたけど・・・悩み相談しか書いていない。アイツは俺以外に頼れる奴が居ないのかと本気で心配になってきている。
そんな感じで旅をしていたら既に2年が経っていたし、俺は14歳の二度目の思春期真っ盛り!だがどうした事かあの熱い情熱が沸いてこないから普通に生活している。
・・・精神年齢高いからね。
アルゴはもうすぐ10歳になる様でルーゲルさんから剣や槍に馬術を教わりながら旅をしている。何げに一番楽しんで旅をしているよなアルゴは、
そうして最後の町に着いたのだが様子がおかしい。最早旅慣れた俺達はその村や町の雰囲気を肌で感じ取れるのだ!・・・まあ、無駄と言えば無駄だろうな。
リアル〇戸黄門をして来た俺達が領主や町長に挨拶を済ませて情報を集めれば出るは出るは聞きたくない情報の数々!
・・・勇者が両親を殺した。
この情報を聞いた時の調査団の反応は聞かなきゃ良かったと皆が後悔した顔をしていた。神殿は親殺しを激しく非難している。産んでくれた者を創造神と重ねているのかもしれない。
其れを勇者がしたらどうなるか?俺にわかる訳無いが凄く不味いというのは理解できる。
聞かなかった事にする。これが俺達調査団の全会一致の結論だったのだが其処にまたしても難題を持ち込んで来たのがこの村の神官・・・俺は神官に呪われていると本気で思っているから高等魔法の『解呪』を覚えていた。呪い系の魔法を無効化する優れた魔法の一つだ。他にも毒を消す『解毒』、麻痺や幻覚等を打ち消す『解脱』・・・全ての解系の魔法をコツコツと習得しているのだ!
他の攻撃系と属性魔法は才能が無いから其の分他に力を注いでいる。・・・話が脱線したから戻ろう。
そして迷惑な神官の相談は勿論!親殺しの勇者の事でした。悩んでいた神官さんが20代後半の眼鏡美人だった為に騎士や調査団の男達が無駄に格好を付けて相談に乗ったからその話は此方で解決する事に・・・馬鹿だろ!
「其れでレオン様はどうするのですか?」
「普通にルーゲルさんは俺に責任を押し付けるの上手いよね。其れよりも奥さんに告げ口するからな!あの神官を顔を赤くして見ていた事はこの場に居るお前の部下に証明させてやる!」
「「「副団長は美人の奥さんが居るのにズルイっす!!!」」」
「・・・お前達は散々遊んでいるだろう!俺なんか碌に遊べないんだから見逃せや!」
「其れより本当にどうします?親殺しって俺の住んでた所でもやっちゃいけないって・・・神殿に追放処分を受ける程の罪ですよね?」
現実逃避をしていた俺達をアルゴの真剣な質問で現実に引き戻された。皆気付いているんだよね。こんな事引き受けるべきじゃ無かったんだ。
「通常なら追放が妥当だよね。・・・でも其れが勇者なのが問題なんだよ。この際親御さんは事故死として処理しよう。」
「駄目でしょうね。住人が全てを知っていましたから此処から工作や揉み消しに動いても遅過ぎます。」
「・・・仕方ないからもっと詳しく調べよう。仕事をしながら住人に神官に相談されたとか言えば口も軽くなるんじゃないかな?今の情報だけだと完全に追放処分になるからね。」
俺の意見が通りその場は解散となり次の日から仕事をしながら情報集めをする事になった。だが勇者も気になるから何人かに監視させたら面白い事がわかってしまい更に混乱する事に!
「・・・此処の勇者は『闇』の属性しか使えない勇者です。」
この報告は正直もう勘弁してくれよ!と言いたかった。神殿は回復魔法の『聖』の属性を尊重している。其れに続くのが『火、水、風、土』そして最後の『闇』は使えても使わないのが一般的だ。何故なら・・・『闇』の魔法の特徴は『状態異常』だからだ。呪い、毒、麻痺、幻覚、そして最大の闇魔法・・・石化だ。これを使うバジリスクが有名なのだから其の脅威がわかるだろう。
厄介以外の何者でも無いのだ。こんな魔法を使える者は神殿に秘密裏に殺されても誰も文句は言わないが!・・・今回は其の相手が勇者なのだ。殺せないし追放も出来ない。下手な事をして呪われたら目も当てられないこの状況で現れた俺達調査隊はまさに住人には救世主だろう。
・・・初のボス戦が四歳の勇者とか笑えないにも程があるが、これは俺にとって初めての勇者との遭遇だから有効利用しよう。
「そして調べたら最近特に両親が辛く当たっていたと証言がありました。其れから勇者が不気味に笑う様になり恐くなった住人が関わらない様にしていたら・・・」
「そうなると誰も勇者が殺したとかわからないよね?」
調べてくれた騎士達や着いて来ていた商人の人達も言い難そうにしていたがルーゲルさんが急かした為にその内容を聞いた。・・・もうどす黒い物を見たり聞いたりと最後の旅はイベントに困らないな。
「神官達が見付けたのです。バラバラの両親を・・・ですが住人は知らない事なので気付いていませんが闇の属性は物理的な攻撃を得意としません。いえ、最大の石化を行ったとしたら死体と気付くかどうか・・・見た目はただの石ですからね。」
これは怪しさ爆発だよね。勇者とは言え四歳の子供に人を殺す事なんか相当難しい。もう確定だな・・・神殿の連中が動いている。ハーレイスの呪いが解けない俺に誰か解呪を掛けてくれ!
「案内してくれるかな其の勇者の所に。」
「・・・神殿の管理している建物に監禁されています。」
「此処は王都の神官長の名前を使おう。沢山貸しが有るから一度くらい返して貰っても文句は無いだろうしね。」
ハーレイス経由で色々と相談に乗ったのだからたまには良いだろう。ばれたら今度こそ追放を受け入れてセイレーンとラミアと共に隠居生活だ!・・・あれ、其れがベストに思えてくるな?
そうして大人数で移動したら住人達も何事かと後を付けて来たが勇者の監禁場所に向かっているとわかると慌てて距離を取り、遠くから見る様な形で此方を見ていた。
監禁場所は神殿の管理している立派な建物だったであろう廃屋だ。まだ壊されて時間は経っていないらしい。石になった建物がバランスを保てなくなったのか音を立てて崩れている。
「いやー、これは遅かったのか、其れとも来るのが早過ぎたのか判断に困るね。」
「此処まで出来る勇者は流石ですが・・・危険には違い有りませんな。」
ルーゲルさんが得物を構えると部下も其れに続く形を取りそれぞれの得物を構えて様子を窺う。そうしてゆっくりと近付いた俺達に声が聞こえる。女性の叫び声と・・・子供の争う声が・・・
『この異端者が!!!よくも私の足を・・・殺してやる!勇者だろうが関係ないお前の両親の様に殺してやるからな!!!』
『消えろ消えろ消えろ消えろ!!!!!!』
・・・この瞬間に調査団の男達は全てを悟ったね!叫び声と殺すと言った女性の声があの眼鏡美人さんの声だったから最初から利用する積りだったんだと・・・女って恐いね。
そうして布を用意して慎重に進むと石になった屋敷の廊下で複数の石像と片足を石化された眼鏡美人さんが服を乱しながら凄い形相で片手にナイフを・・・太ももに括り付け隠してあったえらい大きめのナイフを持って匍匐前進で進む先にはまだ小さな子供が必死に何かを唱えていた。・・・魔法かな?
魔法は精神力で大気中の魔力を制御して呪文で形作りをして放たれる。其れを扱う技術も居るがこの場合は精神力が持たないから発動していないのに必死に呪文だけを唱えている感じかな?其れがわかっている眼鏡美人さんもだから逃げずに殺そうと近付くのだろう・・・あの人は絶対に普通の神官じゃない!
しょうがないから石像・・・神官達の成れの果てを壊さない様に進み眼鏡美人さんを数人で押さえ付けた。
「な!何をしているのですか!早くあの異端者を殺さなければあなた方も殺されますよ!離して・・・離せって言っているんだろうがこのゴミ共が!!!」
素が出たみたいだね・・・男の純情を踏みにじる様な貴方に紳士たる騎士達は容赦はしません!そうして俺は呪文を唱え続ける勇者の所へ行こうとしたが・・・
「来るな!!!『我の敵たる者に其の毒を・・・』」
なっ!此処で呪文を切り替えるとか卑怯だろうが!!!集中して此方も相手の呪文に合わせて解毒の呪文を唱えながらゆっくりと前進する。魔法が俺に襲い掛かると同時に解毒を発動させて其の効果を打ち消す俺に勇者は恐怖に顔を歪める。
「はっ、見たかクソガキが!!!これがお前等以上の化け物・・・アルトリアの神童様の力だよ!」
「こ、来ないで・・・来ないでよ!!!『我の敵たる者に其の命を・・・』」
え!今度は石化かよ・・・でもお前の精神力は限界だから発動しないぞ。そうして近付いた俺は勇者を優しく抱きしめた。この子には勇者として頑張って貰わないといけない。そして立派な勇者となり魔王を倒して出来たら俺を護って欲しい。
「早く殺せよ!何してんだこいつは・・・「黙れ!」な!」
騎士達に脅されて黙る神官の女性は暴れ過ぎていて眼鏡が床に落ちていた。
「もう大丈夫だよ。・・・どうしてこんな事をしたのか話せるかい?」
腕の中で震える勇者は泣きながら答える。
「お母さんもお父さんもこの人達が着てから私の事を要らない子だって・・・其れで沢山勉強して帰ったら二人とも動かなくて、この人達が私を此処に押し込めて・・・お前は神殿に仕えるか死ぬかを選べって言うから・・・」
成程・・・予想は殆ど的中と言う嫌な結果に終わったな。この事は王都の疫病神ハーレイスに押し付けて俺はこの子を引き取り立派な勇者にしてみせる!・・・・・・このままなのは可哀想だしな。
「仕事を終えたら石像ごと王都に帰ろう・・・其れから手紙を書くから王都に届けてくれる?もしかしたら神殿が引き取りに着てくれるかもしれないしさ。」
そうして抱えた勇者は俺の髪を握り締めて眠っていた。
「ちょっ!痛いって、聞いてる?寝てるのか・・・てか、なんて握力してんのこの子!もう・・・髪痛いんだから離してよ!聞こえてないか・・・はあ、」
痛いのを我慢して美人の神官さんの横を通ったらもの凄く驚いた顔をして俺の方を向いていた。・・・この時も俺の能力はその効果を最大限に発揮したようだ。後から届いたハーレイスからの手紙には変な一文が・・・
『神は居られる・・・聞こえないのか神の声が、とレオン様に言われた女性神官は心を入れ替えて神に仕えていますのでどうかお許し頂きたい。今回の件は我々の・・・・』
神違いだよ!勘違いも此処まで来ると呪いだな。何処かに勘違いを解く解系の魔法が無いだろうか?それにしても追放はしないが危険な場所に派遣するから今回の事は穏便にとか何処まで身内を庇う積りだ?・・・これでも神殿の最大限である誠意の見せ方か、これが初めての事か・・・俺はこの件の事は貸しにして置くと返事を書いて神殿を非難する事を止めた。
どの道俺の手に余る事だし、借りを作るのも悪くないと言う身勝手な思惑でこの件を終わらせよう。争いは何も生まない・・・これは有る意味正しい。適度に争うから良いのだ。過剰に遣り合えばどちらかが滅ぶか両者が滅ぶ!俺の目的は神殿の勢力を叩き潰す事では無いのだ。
まあ、最近の神殿側の失敗続きは世界中で話題だからこの件も多分漏れて伝わるから俺が動かなくても神官達は其の付けを払う事になる。少し・・・そしてもう少し・・・力を削げれば俺は其れで構わない。
最後の村の調査も終わり王都に帰還する調査団は帰りのコースを外れて俺の故郷に寄る事になった。ルーゲルさんや調査団の皆の好意に涙が出そうだ。其の時の馬車の中でこの旅で連れて来た孤児や優秀な為に王都行きを決意した子供達に囲まれて話をする事になったんだが・・・此処で俺の能力は不気味に沈黙していると感じて誤解を解く事にした!
「この調査団の責任者はルーゲルさんです。そして俺は其れに従う雑用係と言う下っ端なんだ。・・・此処まではわかるな?其れがどうしてこのような事になっているかと言うと、全ては『勘違い』の所為なんだ!周りも訂正することに疲れて・・・」
この話を力説していたが如何せん相手が悪かった。まだ幼い子供達には理解は出来ないがただ皆が尊敬する俺が話をしているだけで嬉しかった様で・・・
「レオン様は凄いです!」
「話を聞いてないのか?言ったろう『勘違い』だって!」
全て無駄に終わった。・・・この出来事を考えると王都で引き取ったセイレーンとラミアは異常なのかも知れない。あれが天才か?
しかし今回の最大の目玉たる勇者・・・『エイミ』は平民の子でありながら闇属性の魔法を使いこなしていた。この子も凄い規格外には違いない。幼さの残る顔に金色の髪が癖毛の為か髪を短くしていたが、白い肌は外で遊んでいたと言うより室内を好む性格なのかもしれない。そこら辺は俺と気が合いそうで何よりだ。
俺の能力が発動していないのに目を輝かせているのを見るとなんとも言いがたい気持ちになる。俺は平凡だと誰も信じないのは能力の所為だとばかり思っていたがどうやら周りが騒いでいるのも原因の一つだと気付いた。
このままでは初めて会う人も俺の事を勘違いしているかもしれないと恐怖を感じながら故郷を目指した。
それから故郷に着くと実に5年以上も帰っていない事から大分とまではいかないが、故郷は少し変わっていた。新しい店が並び村の特産品が置かれた店も出ていた。馬車から降りて色々と見て回れば懐かしい顔にも当然会う訳で・・・
「ま、まさか・・・レオン坊ちゃん!おい、母ちゃん領主様のとこのレオン坊ちゃんが帰って来たぞ!!!」
デカイ声で騒ぐから俺の周りに人が集まり中には泣く人まで・・・調査団の皆が微笑んで見ているが、助けてくれないか?其れに誰も俺達が立ち寄ると伝えてない事に驚いたのは俺だけかな。
「おお!レオンか、大きくなったな。・・・帰って来るなりこんなに引き連れて来るとはなんて大きい奴なんだお前は!」
父が出て来たがこの人も俺を理解していない人の一人だ。
「レオン、本当に・・・心配ばかりかけて・・・」
泣いている母は少し老けた様に見える。これは勿論声になど出さないが俺が気になるのは其の母のスカートにしがみ付く子供達の事だ。一人は・・・女の子で、もう一人は男の子かな?
「気になるか?まあ、此処ではなんだから屋敷に案内しよう。お連れの方達も案内をして置くから安心して自分の屋敷に帰りなさい。」
なんだか照れ臭いが此処は父に任せて俺は屋敷に帰るとしよう。久し振りの我が家だから羽を伸ばせるといいな!
・・・結論から言うと無理だった。俺の部屋はなくなり子供達の部屋になっていた。なんだろう・・・この獲られた感じが無性に悲しい。そして部屋の前で考えていたら使用人達に連れられた俺の妹と弟が俺を睨んでいた。
「レオン様はお気づきでしょうが・・・この方達がレオン様の御兄弟になります。」
「名前は?」
「メアリス」
「リート・・・お前なんか消えちゃえ!」
弟の方がそんな事を言って走り去っていた。使用人達も困り顔で謝りながらリートの後を追って行く。そんな中で一人の使用人の手を握ったメアリスは俺を睨んでこう告げたのだ。
「お前が居るから誰も私達を見てくれない。・・・お前の所為で私達は何時もお前の代用品なのよ!」
泣きそうな瞳でそんな事を言われても俺には余り関係ない。どうせ父や母の理想が高過ぎて其れをこの子達に求めたのだろう。俺を勘違いして高く評価するからこんな事になるんだ。
「・・・そうか、済まなかったな。だがお前達は俺の代用品にはなれない。そして俺はお前達の代用品にもなれない。」
「お前なんか居なければ良いんだ!」
「お嬢様!レオン様はこの国に必要な方ですと何度もお教えしたではないですか!」
慌てていた使用人を手で制してメアリスを正面から覗き込む。父譲りの金髪と母譲りの翠色の瞳で睨んでくる妹の頭を撫でる。俺の能力は無慈悲にもこの子には特別な才能が無い事を告げている。そして其れは俺が望んだ平凡と言う才能だ。
「メアリス、お前には特別な才能は無いが俺の妹だ。其れは俺にとっての特別だから憶えて置くと良い。」
そうして次にリートを探して庭に出ると使用人に囲まれて泣いていた。何で泣くのだろう?そんなに俺が憎いのだろうか?・・・リートの才能も高くは無い。だが領主として働くならこれだけで十分だ。平均して其れより少し高い才能だろうか?表現が難しいが平均の人よりは才能が有るのがリートだ。
「なんだよ!」
此方に気付いたから近寄り頭を撫でる。抵抗するが其処は子供だからされるがままだ。
「お前には人よりも多少才能が有る。真面目にしていれば領主にはなれるぞ。」
其れを聞いて握り拳を作り俺を睨んでから足に殴りかかって来た。避ける事無く其れを受ける。
「偉そうに・・・僕達はお前なんか要らないからな!この領地から出て行け!」
「坊ちゃま、その様な事を言ってはなりません!兄君はアルトリア王国の宝ですよ。」
いや、この子達の言う通り俺は必要無いと思うよ。元々転生者なんか要らないだろう?其れに使用人がそんな事を言っても反感を買うだけだから此処は無難に黙って置いた方がいいと思うんだ。
その後に夕食を一緒に食べたが気まずくてしょうがない。然も母は妹や弟がテーブルマナーを間違える度に溜息を吐く・・・更に気まずいよね?
「リート、兄の前で恥かしい事をするんじゃない。メアリスも音を立て過ぎだ。」
父もですか!もう、食事くらい・・・この子等には必要な事だから仕方ないかな。これくらい良いと言えないのが貴族だしね。こんな時代じゃ必要技能は身に付けて置かないと後々苦労するし、
「リートは椅子が合っていないのでは?メアリスもナイフやフォークはまだ大きいですね。」
「かもしれんな・・・明日にでも用意させよう。お前は何でも出来たから教育が此処まで大変だと思わなかったよ。」
「「・・・」」
其れでも睨む二人はどうも俺の能力が効かない様だが・・・素直に喜べないな。もし帰って来た時に弟が領主にでもなっていたら追い出されかねない。
食事の後に両親と話す為にお茶を飲んでいた。其の時に俺の計画をぶち壊そうとする危険人物の情報を得られたんだ。
「は?・・・俺に領地は継がせないと言うのですか?」
「そうだ。私達は長い間勘違いをしていた・・・お前には済まない事をしたと思っている。」
「許してねレオン。」
此処しばらくは大人しい俺の能力が遂に効果切れを起こしたのか!これは一大事だ!このまま俺は一人で生きて行く計画を立てて静かに暮らして行けると一瞬頭で考え喜んだ。だが其の分地獄に落とされた時の気持ちは言い表せない物となる。
「王都の王妃様や王様から手紙が届いた。」
封を切った手紙を出した父が王妃様の名前を先に出したのを聞いてやはり権力を握っているのは王妃様だと再確認し、うろ覚えな王様を哀れんでいたら衝撃の事実を突き付けられた!
「5年も前からお前の事を評価していた様でな・・・お前を王都、いや、国の為にくれと書いてあった。」
「え!嘘でしょう。」
「私達はレオンの事を過小評価していた様ね。この手紙には如何に貴方が必要か書かれているわ。」
「え!違いますよ過大評価し過ぎなんですよ。」
「まさか此処まで立派になると思っていなかったからな・・・其れで急だ結果があの子達なんだがお前を見た後だとどうにも物足りなくてな。あの子・・・リートにこの領地が護れるか?」
「護れますけど・・・話を聞いて下さいよ!おれ、」
「そうか良かった!お前の判断なら誰よりも信用できる。そうだなあの子達とも話してやらんといかんとは思っていた所だ。」
「だから俺の話を、」
「わかってはいるのよ?でもどうしても期待してしまって・・・」
だ、駄目だもうこの人達には俺は能力無しでも勘違いを引き起こせて仕舞うみたいだ!此処は俺を憎む弟を利用してでも勘違いを止めなくては王都に売られてしまう!!!
「今日はお前と話せて良かった!」
「本当よね!」
「話を聞けよ!お前等俺の言う事聞いてないだろう!!!」
二人して仲良く手を繋ぎ妹と弟の所に歩いて行く両親に俺の心の叫びは届かなかった。
前に書いた他の転生者達の行動とか書いた方が良いですかね?後は気になる人物が主人公をどう思っているとか興味があれば感想にでも書いて貰えれば嬉しいです。