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旅立ちには早い気がする。

完結を目標に書いて行こうと思います。駄文ですが楽しんで頂けたら幸いです。


5/1 訂正


 俺は、毎日を平凡にコツコツと努力していける、そんな生活が大好きだった。友人に借りた漫画や小説の様に、劇的に強くなったり、毎日をドタバタと過ごす、のには憧れた事すらない。寧ろ、哀れに思える。……何で、こんな話をすると思う? そんな俺に、その非日常のお誘いが来ているからだよ。


『では、最後の君は何を望むのかな? 無限の魔力? 其れとも、誰にも負けない力か、知識か……さあ、何を望むのかな?』


 真っ白な部屋で、俺の希望を聞いてくる存在……この存在は、声だけの見えない存在だ。楽しそうなその声で、四方から声が聞こえてくる! ……少し恐い。


 こうなったのも、赤信号で止めた俺の車の後ろから、追突してきた車の所為だ! そして、その追突して来た免許を取り立ての学生達は、この存在と交渉して能力を貰い転生をしてしまった。少しは悪びれる態度をしてもいい物なのに……


 声だけの存在の話では、俺達が集められた理由が、俺達の世界で言う『魔法の有る中世の西洋風』な世界を救う為に、と言う事らしい。……平凡を望んでいる俺や、事故を起こす様な学生を選んでいる時点で可笑しい。


 その世界は、魔物により滅びかけているらしいが、その世界の事は、その世界の住人で何とかするのが筋だろうし、声だけの存在がその世界の住人に、俺達に与える様な能力を与えれば済む話だろ。


『早くしてよ。このままだと……君は、消えちゃうよ?』


 死んでしまったからには、選択など無い。消えるのは嫌だから俺は、転生を選びたいんだが……能力をどうしたらいいのか、悩んでいたんだ。


 死ぬ前に欲しかった能力は……周りすら、スローに見える程の『集中力』かな? あれは便利そうだった。子供の頃に、訓練すれば使えるとテレビで放送していて、もう社会人の自分を悔やんだのを、今でも覚えている。


 それ以外だと……『才能を見抜く』事が出来れば、嬉しいかな? 其れなら、特技を伸ばす事に時間を割く事が出来る。無駄な事をしないで、有効に時間を使えるのだ。これ程凄い能力も無いと思う。


『決まったみたいだけど……何か、地味だよ君の能力は! そうだね……私から、少ないがサービスをしてあげよう!』


 そう言われて、思考を読んでいた事に始めて気付いた。その時には、周りが暗くなりとても眠くなりそのまま意識を手放してしまった。





 その後、無事に? 転生した俺は、あの時の声だけの存在に与えられた能力は、大変過ぎた物だと気付いた。本当に余計な事をしてくれたもんだ!


 集中力は、大変役に立った。勉強や訓練を最大限に学べるし、試合をすれば相手の剣の軌道が見えて、避けるのにも当てるのにも役に立つ、万能の能力と言っていい。


 才能を見抜く能力は、なんとなくわかると言った曖昧な能力だが……俺が、剣よりも槍などが向いてるとわかり、幼い頃から剣よりも槍を使う様にしたら、そこそこの実力を得られた。其れに、他の同年代の子供達にも向き不向きを教えたら効果が有り、何か有れば俺を頼るようになってきている。


 此処まではいい。……問題は、あの声だけの存在が俺にサービスと言って寄越した能力だ!……曖昧にだがわかっているこの能力は『魅力』……人を惹きつける能力で、何もしていない俺を目立たせたり! 勘違いを誘発する迷惑な能力だ!


 俺が産まれた所は、小さな村を複数治める領主の家で、そこの嫡男である。その所為か、他の子よりも学ぶ時間は、倍以上あり、暇な為にその殆どを訓練や勉強に費やした。


 集中力のお陰か、飽きる事も無く毎日続けていたんだよ。周りも不気味に思うと思ったが、毎日の変わらない対応に気付くのが遅れたのだ。その日も、訓練を終えて家に入れば使用人達が話していた内容に驚いた。


「若様は、このまま行けば王都で勉強をなされるそうよ。領主様が、知り合いに面倒を頼むって、話していたんだから間違いないわ!」


「やっぱり……若様には、この領地は狭いのね。……寂しくなるけど、何時かは戻ってくるのだから、その時はもっと立派になって帰ってこられるでしょうね。」


「奥様なんか、この間のお客様に自慢していらしたわよ。……家の息子は、偉大な人物になりますって!」


 ……母は勘違いをして、父は息子の俺に、実力以上の期待を持ってしまったらしい。この時の俺の年齢……8歳!


 こんな子供に、一体何を期待しているのだろうか? そもそも、何故に王都に行かせる必要がある? この領地でコツコツと努力して行けたら幸せだったのに……人の多い所は苦手なんだよな。


 滅びそうな世界だが、先に転生した学生達が凄い能力を大量に与えられているのだ。何とかなるだろう? そう考えて、夜に父の部屋に行くと、


「失礼します父上、あの……王都行きの件でお話が、」


 父の書斎に入ると、父は俺に向き直り真剣な顔で話を始めた。


「もう聞いたのか?……そうか、お前も王都に行きたいんだな。流石に10歳までは、と考えていたが……お前が行きたいなら止める事は出来んか……。」


 え? 何を勘違いしてるんですか?


「いえ、僕は王都には、」


「言わんでも気づいている。お前が、読んでない本などこの屋敷には無いからな……寂しくなるが、母さんにも私から伝えよう。」


「聞いてください! って泣きながら何処行くんですか? ちょっと! 待てって、言ってんだろうが!!!」


 最後には、地が出てしまった。だが、止まる事無く進んでいく状況に流されるまま俺は、王都行きが決定した。……誰か話を聞いてくれ!!!







 そうして一月過ぎる頃には、王都行きの準備は完了して領民挙げての見送りを受けている。この状況で、勘違いだと叫ぶ事も出来ないまま馬車に押し込まれた!


「レオン……アーキス家の誇りを忘れるんじゃないぞ。」


「レオン、手紙をちゃんと書くのよ。……心配は無いと思うけど、身体には気を付けてね。」


「……最後まで話を聞いて貰えないなんて……」


 行き過ぎた勘違いには、修正なんか俺には出来ない。この両親の中では、今は凛々しい俺が別れを惜しんでいる様に見えているのかもしれない。俺は、出来れば王都なんかには行きたくないんだがな。


「お前の気持ちはわかっている。言いたい事もわかるが、母さんの気持ちも理解して手紙を書いてやってくれ。お前にしか出来ない事も大事だが、家族も大事だ。……忘れるんじゃないぞ。」


「大事なら、王都に行かなければ……」


「では出発します!」


 馬車を操る使用人が、タイミング悪く掛け声を上げて馬車を走らせた。……そう言えば、少し落ち着きの無い使用人だったな。





 こうして俺は、行きたくも無い王都でも勘違いをされていくのだろうか? 出来れば目立たずにコツコツとやれる仕事を見つけて、平凡に過ごしたいのは贅沢なのだろうか?

 黙っていても勘違いされる主人公に、表や裏からサポートされる勇者達を書いて行こう、と考え書き始めました。一緒に転生した学生たちは、勇者に含まれません。

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