誰にでも譲れない物が有るんだ!
今回は、主人公の戦闘シーンが少し有ります。戦闘シーンって、他の方も書いてる様に難しいですよね。
魔王との一騎討ちで、問題が発生しました。大した事じゃないんだよ。ただ、最強って誰? 見たいな空気になっているんだ。
俺から言わせれば、敵の陣地で一騎討ちとか、そっちを気にするべきだと思っている。罠が有ったら、幾ら強くても負けるだろ。あれですよ! アウェー……違った、アウェイだよ! 周りが殆ど敵なんだって!
「貴様等は黙ってろ! 最強の勇者、レオン殿が戦われるんだ。アステアの味方殺しなどに任せられるか!」
勝てるなら、俺は誰でも良いよ。アルトリアの騎士達と、アステアの騎士達が言い争う中で、ポチから降りてそう考えていた。
「最強? 笑わせるな! ゴブリン相手に強がっていた者に我が国の宝、『リィーネ』様を任せろと? 冗談では無い!」
どっちでも良いんだよ! 問題は、相手が有利だと何故、誰も気付かないかだ! しかも、俺か味方殺しの『テオ』って言う戦闘狂みたいなのと、二人の内のどちらか? みたいな空気がたまらなく嫌だ。俺は、戦うのが好きなんじゃない! コツコツ努力してそれの結果が出るのが好きなんだ!
そんな時に、前方の魔物達に動きが有った。会場を用意した積りなのだろうか? 円を描きその線に沿って周りに棒を立てている。魔物が、設営しているとまるで、本物の生贄の儀式の様だな。
俺は、魔物の行動を見て遂にこの時が来た、と思った。誰も認めてくれない俺の実力を、この最高の戦場で証明できる。それに、相手は『魔王』! これを倒して俺は『リィーネ』を取り戻して、今度こそ手に入れるんだ!
「早くしませんか? 何時までも、待たせるなんてリィーネに失礼でしょう。」
「テオ! 『様』を付けろと何度も言わせるな。」
俺の言葉に、いちいち反応する騎士団長を見た後に、レオンの方を見る。……あの野郎、この状況でも落ち着きやがって、この反応なら相当な能力を持っているんだろう……が! 俺の能力も半端じゃないんだよ。
魔力無限、全魔法の使用、身体能力、そして『伝説級の武器』が有るんだ。そうだ、俺は誰にも負けないんだ! 早く出て来いよ魔王……
「決まらないなら、この場で誰が強いか確かめませんか? 俺は、何時でも戦えますよ。」
俺の挑発にも、全く動じないレオンに少し腹が立つ。この反応から、大体誰かはわかったが、こんなに性格悪くなりやがって何してたんだこいつ?
「身の程を知れ! レオン殿は、最高の神託を受けた『勇者』だぞ。」
いやだいやだ、何処も彼処も、勇者様ってか。……ムカつくんだよ! そんなメッキなんか、価値が無いって俺が証明してやるよ!
「……来たようですね。」
レオンの奴がそう言うと、整列していた魔物達が綺麗に道を作る為に移動した。まるで訓練された兵隊じゃねーか! そう考えていたら、魔王がその道をゆっくりと歩いて来た。
全身を黒い布を纏い、そこから出ている手足は、身体に不釣合いな程に細かった。フードの様に被った布からは顔の全体は見えない。その手足から白い事は想像できるが……何なんだよ、あれは!
「……嘘だろう。」
誰が、発した言葉かわからなかった。いや、この場に居る皆がそんな事を気にして要られなかったんだ。目算でも6mを超えるその身体、そこから生えている様な手足には肉など着いていない。……骨だ。
「まさか、あれって!」
「嘘だろう! あれは、伝説じゃないのかよ!」
「『リッチ』!不死の化け物が魔王なんて聞いてないぞ!」
よく見れば、フードの様に纏った黒い布の上から頭に金色の王冠を……あれ、は、人の頭蓋骨なのか? 人の頭蓋骨で王冠なんて作ったって言うのかよ! 化け物が、
『早く、前に、出よ、我は……勇者を血祭りに上げ、この世を取り戻す!』
『『『オオオ!!!』』』
不気味な声を発した魔王に合わせ、魔物共は雄叫びを上げた。
「勝てっこねーよ。」
「テオ!貴様、今なんと言った。ここで逃げるなど許さんぞ! お前は姫様を救う為にここに居るのだろうが!」
俺に、詰め寄る騎士団長がなんと言おうと『アレ』には勝てない。これは本能だ。俺の本能が告げているんだ。……逃げろってさ。
「じゃあ、あんたはアレに挑めるのかよ? 俺を、責めても構わねぇ……けどよ、アレに勝てる奴なんか、この世に居るのかよ?」
俺が、あまりの恐怖で笑いながら問い掛けた質問に、顔を下に向け震えた右手を見た騎士団長はそれを押さえ様と左手を動かし、全身が震えている事に、今気付いたのか驚いていた。俺も全身が震えている。それで自分を両手で抱く様に押さえ付け、膝をついて地面を見ていた。
「ハハ、勝てねーよ……。」
その時だ。アルトリアの騎士の一人が叫んだ。
「れ、レオン殿!」
俺が、地面を見ていた顔を上げると、赤いマントをなびかせた純白の鎧を着た男がアレを目指して歩き出した。……な、なんで平気なんだよ! 何でお前は平気なんだよ!
悔しくて、情けなくて、俺は、涙を流して、その後姿を見送る事しか出来なかった。
「『リッチ』!不死の化け物が魔王なんて聞いてないぞ!」
誰かの叫び声に似た声が響く中、周りを見ると皆が震えたり、怯えたりしていた。ああ、闇属性の状態異常の魔法を食らったな。しかし、セコイ魔王だな。『恐怖』なんて魔法を全体にかけてから登場するなんて、お前はそれでも魔王かよ!
俺の周りも、恐怖に顔が歪んでいる。唯一の例外は……
『待っててくれよ。愛しのナイトメアちゃん!』
家の駄馬が、あまりにナイトメアに集中していて効果が無かったんだろう。生贄の儀式に見えたから、もしかしたらとか考えたら案の定かよ。集中して見ていれば、設営した物を利用して効果を上げた魔法で状態異常……まあ、これも戦いだから文句は無いよ。でもセコイ!
用意は出来た様なのに、誰も動かない。まともに状態異常にかかれば、こんなもんだろうな。仕方ないから俺が行くか。しかもあの魔王……魔法重視で、俺との相性が向こうからしたら最悪だろう。魔法の才能は有りそうだが、それ以外が、殆ど才能無しとか俺とは逆のタイプだ。
それから、演出の積りで用意しただろうその『王冠』はもう少しちゃんと作ろう。離れたここから見ても作りが幼稚過ぎる。紙が風に吹かれてペラペラしているぞ。
歩き出す俺に、後ろから声が掛かる。
「れ、レオン殿!」
それと、すすり泣く様な声まで聞こえて来て、正直に言うと気持ち悪い。だって、あの魔王凄く弱いんだぞ!
「ポチ、行くぞ。」
『任せろ! それから、ナイトメアは絶対にき「去勢されたくないなら黙れ!」……っち!』
舌打ちした駄馬を、気にしない事にして乗るとアルゴが俺を見上げていた。なんだ?
「本気なんですか、レオン様!」
「何、言ってんだよ? 魔王との一騎討ちをするんだから当たり前だろう。ビビリ過ぎなんだよ。よく見てみろ、アレが強そうに見えるか? ヒョロヒョロじゃないか。」
そう言って、ポチを走らせて魔王の元へ向かう。この状態異常系の魔法は一度掛かると治すのには時間と聖属性の魔法がいる。それ以外に解除するとなると魔法をかけた奴を倒すしかない。この条件で戦うとなると『俺』しか戦える奴が居ない。全く、迷惑な魔王だな……倒した後は、全軍に声でも掛けて敵を殲滅しよう。それをしないと、手柄が俺の独り占めになり後々不味くなる。
『よく来たな、勇者よ。』
考えている間に魔王の前に着いた俺は、ポチから降りて武器を用意して、そのまま魔王の元へと歩く、魔法主体で驕りも有るのか装備が布って! 俺も強くは無いけど、流石に腹が立つぞ! まあ、その方が攻撃しても防がれ無いから良いんだけど……これは酷い一騎討ちだよ。
『人間は傲慢だ。魔物が、策も、考え……ブギャ!』
何か喋っていたが、興味が無い。と言うか喋らせたら不味い! この設営された場所は、魔法の増幅の為の物だから不用意な会話で死んでしまう事も有るかも知れない。何か有るとわかっていて、それを待つ程の度量を俺は持っていない。魔法が来れば避けるか、防ぐ為の無属性魔法も使えるから、問題は無いけどさ。
『ま、まて、お前は、ヘイ、ギャ!』
このアンデット系のリッチと言う魔物は、実体の有るゾンビより幽霊に近い存在だからハルバードに魔力を纏わせてひたすら斬りつける! 実体も有って無いような物で、手応えが不気味で気持ち悪い事以外は、他の魔物となんら変わらない。装備している布を斬っている感覚しかないけどな。
『こ、この待ってて!』
「うるせーーー!!! 手前の所為で、こんな事になったんだから、責任とって出来るだけ惨めに負けろ! それなら、他の連中も俺に期待など、せん!」
最後の掛け声と共に思いきっり膝の辺りを、ハルバードで振り抜いた。斧の部分で膝を斬るのを想像すると痛さが理解出来るかもしれない。なのに、こいつの感触が微妙過ぎる! 斬っているのに素振りをしている感覚に近くてやりにくい。魔王も外見は傷も付いてないから効いてるのかもわかりにくい。
『ギャアアア!!! イデェ!!!』
叫ぶ魔王は、その場で転げ回る。……正直、弱い者いじめだ。ゴブリンは一撃だったから、ここまで痛めつける事をしたのはバジリスク以来だ。しかたない、楽にしてやろう。振り上げたハルバードをそのまま魔王の頭へと振り下ろす!
『……』
ハルバードが、地面に突き刺さる音が響くと魔王は声を上げる事無く動かなくなり、その身体はプスプスと音を立て、黒い靄とともに消えていった。書物で読んだ通りのリッチの消え方にハルバードを地面から引き抜いて、その場から下がると静かになった魔物が取り囲む状況で、俺は武器を空に向けて突き出し叫ぶ。
「『弱き』魔王は、滅んだ! さあ、勇者達よ! 武器を手に取り魔物共を……殲滅せよ!!!」
俺のその言葉に、反応した騎士達が動き出すと続々とその後ろで控えていた兵士達も魔物に向かい雄叫びを上げて突撃を開始した。……魔王の消えた辺りを、一度見てからアステアの姫様が乗っている馬車に向かうとそのまま姫様の警護に当たる事にして、動かない事にした。
はあ、取り返しの付かないこの行動を、どうやって周りの勘違いの被害を減らすかを考えながら馬車の周りで時々襲って来る魔物を撃退しつつ味方の到着を待った。
その光景は、まるで奇跡を見ている様な、そんな光景でした。私は、汚れたドレスに身を包み馬車の隙間から、震えながらもその光景から、目を離せませんでした。白馬に跨り、白い、純白の鎧に身を包んだその方は、赤いマントをはためかせて魔王の元に向かっていったのです。……昔、母に読んで貰った『王子様』や『勇者様』みたいなその姿に、私は見とれていました。
オセーン領には、外交の為に訪れていました。国に帰る途中で大量の魔物に囲まれ、死を覚悟したあの時から、一体何日過ぎたのかもわかりません。私の護衛や付き人や外交官の方々が殺されていく中で、最後に残った私が、今のこの光景を夢を見ている様だと言っても可笑しくないと思います。
だって、あんなに恐ろしかった魔王がまるで、遊ばれている様に手も足も出ないんです。その魔王の手による攻撃を、まるで……ダンスを踊っている様に華麗に避ければ、その時には魔王の叫び声が響き渡っているんです。
周りの魔物も、先程まで煩く叫んでいたのに、今では魔王の叫び声しか聞こえてきません。……はためくマントには何かが縫われています。私は場違いな事を考えていたら、何時の間にか魔王は黒い靄となり消えていきました。
「『弱き』魔王は、滅んだ! さあ、勇者達よ! 武器を手に取り魔物共を……殲滅せよ!!!」
『白い王子様』の声が聞こえると、それから少し遅れて多くの人の雄叫びが聞こえてきました。その時に何時の間にか震えが止まっている事に気付きました。白い王子様の声に安心したのかもしれません。ああ、私は、私だけは助かるんだ、とその時考えていたら胸が苦しくなりました。死んでいった者達の顔が頭に浮かんでは消えていきます。
苦しんでいたら外が酷く静かになりました。……いえ、遠くでまだ戦っているのでしょうが私の周りはとても静かになり、恐る恐る外に顔を出したのです。
「大丈夫ですか? もうすぐ、アステアの騎士の方々が駆けつけますから、ご安心下さい。」
「え、あ、嫌アアア!!!」
外に顔を出した事をとても後悔しました。先程の白い王子様がそこで優しく微笑んでいたのです。それなのに私は汚れたこの格好を恥じて叫んでしまった。……こんな時にまで着ている物や、汚れた身体を気にするなんて!
「も、申し訳ありません。その、今は……。」
出せる精一杯の声を出して外の白い王子様に声を掛けると、
「構いませんよ。それに、アステアの方が到着されましたから私はこれで、」
あ! な、名前を聞かないと! そう考えていた私の意識は何時の間にか無くなって、気付いたら人の使うベッドで眠っていました。……これを夢だと言われたらその時の私なら間違い無く信じたでしょう。
何て事をしてしまったんだ! 俺の馬鹿馬鹿! 戦いは意外とあっさりと終了した。その後、数日を掛けて付近に逃げ出した魔物の討伐に加わって仕事をしていたら、何時の間にか変な噂が広がっていた。
確かに魔王を倒したのは不味かった! それは認めるよ。でもさ、あの魔王に数で攻めるのも良くなかったんだ。その上、あの魔王のセコイ手口に、こっちは手も脚も出せない状態なら俺しか居なかったんだし、仕方なかったんだ!
大体、見方殺しの『テオ』とか言う奴も名前負けしているにも程が有る! 何が、
「俺が、間違ってた。すまない! 許してくれ!」
「は?」
いきなり、そう言われて土下座をされた俺の気持ちを考えて欲しい。まさか、お前は裏で俺に何かしていたんじゃないだろうな! こんな事を考えても仕方ないよね。……その方がどれだけ良かったか、
「俺、お前が俺と同じで能力頼りだと思ってたんだ。でも、あんな化け物に普通の武器だけで、挑むお前を見てわかった。俺が間違ってたんだって、だから決めたよ。これからは転生者だとか、強いからってこの世界でゲーム感覚で過ごしていた自分とはお別れしてこの世界の『俺』として生きていくよ。」
「え! 『転生者』ってお前!」
「だから、これを受け取ってくれ。『エクスカリバー』を再現して貰ったんだ。あの時の白い部屋でこれを説明するのに随分苦労したんだけどな。腕輪状態なら回復効果も有るんだぜ。」
「何で、そんな危険な物を強請った! それに、なんで『腕輪』が剣になるんだよ?」
「もう、俺には必要ないし、相応しくないからな。使ってくれないなら持ってるだけで良いんだ。この剣は、英雄、違ったな……『勇者』にこそ相応しい。」
ヤバイこいつも俺の話を、聞いてねぇ! そう言うと、その大剣の『エクスカリバー』を腕輪に戻して俺に渡してきた。無茶苦茶、迷惑なんですけど!
「話を聞こう! お前、小学校の先生とかに人の言う事は聞け、とか注意受けただろう!」
「……ありがとう、俺もこれで目が醒めたよ。帰ったら、騎士団の雑用からやり直すって、もう団長に話したんだ。あんなに迷惑掛けたのに、鍛え直してやるって言われたよ。」
何、良い話に持っていてんだよ! こんな馬鹿みたいな武器は要らないんだよ! こんな強力な武器で自分の指でも切り落としたら洒落にならんだろうが!
「だから、こんな武器を貰っても使い道なんか無いんだよ! しかも俺は、剣術とか才能無いからね。」
「今は、レオンだったよな。いや、転生前なんか関係ないな。……ありがとうレオン、今度また会う時には少しはましになりたいから、情けないままの俺はこれで帰るとするよ。」
そう言って、背を向けて手を振る『テオ・ルセルド』を見送る俺は、
「それよりも、俺を殺した事を謝れや!!!」
虚しく叫んだ。
この所為で、変な噂が広がったんじゃない。だが、テオの奴も関係してるんだ。あいつが急に殊勝になるからいけないんだ! あいつが婚約を迫っていた、この前助けた姫様がフリーになったとかで、
『レオン殿がリィーネ姫と婚約する』
こんな変な噂が広がっているんだぞ! なんで、テオの奴は婚約を辞めた! ……最後まで責任持てよ。その後に、アステアの騎士団が総出で俺に謝る、とか本当に止めて欲しかった! 新手の嫌がらせだと言われたら、この時の俺は間違い無く信じたぞ!
砦から引き上げる事になると、俺は自分の婚約の噂の事にも頭を悩ませていたが、それ以上の問題が発生しているんだ。何時もの通り、『駄馬ことポチ』が問題を起こした。……でも今回は、
「元気出せよポチ、アルゴも謝っていただろう。」
『…………』
戦いが終わってからは、ずっとこんな調子で落ち込んでいるんだ。あの時の戦いでナイトメアにこだわっていたポチの願いが天に届いたのか、魔騎士の居ない『赤いラインの入ったナイトメア』を手に入れる事が出来たんだ。
けどさ、赤いラインのナイトメアって『オス』だったんだよ。あの時は、アルゴもポチのテンションに呆れて教えなかったんだが、それを気付いた時のポチの反応は、もう真っ白、いや、元々白いんだけどさ。
最初は笑ったよ。何時も苦労させられていたからアルゴも周りの連中も大笑い!
「ポチ! お前まさか、オスに興奮してたの? どんだけナイトメアが好きなんだよ。」
「いやいや、レオン様、ナイトメアは毛が長いから見えなかったんですよ。なあ、ポチ!」
慰める振りをしてからかうアルゴが捕まえたナイトメアを引っ張って来ると……ポチが切れた。
『紛らわしいんじゃボケーー!!』
もう、その後は問題のナイトメアを蹴るは、噛み付くは、大変だった。だがその後も色々有ったんだ。その時の事を、考えていたら馬に乗ったアルゴが、こちらに近づいてきていた。
「おい、こら! す、すいませんレオン様。」
捕まえたナイトメアはアルゴに譲ったんだ。元々無害の魔物でもあるし、寿命や、その体力は騎士が欲しがる物だしね。アルゴに譲る話は、ちゃんと上の許可も取った。だけど、そのナイトメアが、
『近付くな! 寄るな! 触れるな! 擦り寄ってくるな!』
ポチに懐いちゃったんだよね。
「……良かったな、好かれたみたいだぞ。」
『馬鹿にしてんのか手前! 俺はオスが大っ嫌いなんだよ!』
なんだろう、普段はここで手前って、言った事を訂正させるんだが、何時もと迫力が違う! こんな状態のポチの上に跨る俺は、ずっと気が休まらない。
「……すまん。」
『だったら黙ってろ!』
何でだ? 俺は悪くないと思うのになんで、こんな駄馬に謝っているんだ?
遂に、ヒロインが登場? どんな容姿かも書いてないから、どんな姫様にしようか悩んでました。
駄馬のヒロインが『オス』って、こんな落ちは駄目ですかね。
4/29 訂正
駄馬のヒロイン話は、冗談の積りでした。
紛らわしい表現をして申し訳有りませんでした。
こんなに反響があるなんて……。




