何をしても勘違いされます。
嬉しくて頑張ってみました。・・・嘘付いてごめんなさい。
魔王の挙兵により俺の居る辺境の地に侵攻すると神託を受けた。これはまあいい、だが許せない事も有る。勇者の教育の事だ! 俺の居る村に集結した勇者達、だけどその行動は非常に残念としか言い様が無い! 暴れる、盗む、脅す、贅沢と挙げるときりが無い。
出発前にも着いて来ようとした馬鹿共を追い返す俺、その馬鹿共の中に俺の家族が居たから、まとめて鉄拳制裁をする事に・・・3人ともごめんね。
正直に言おう、今の俺にとって家族以外の勇者など疫病神でしかない! もう嫌なんだよ! どいつもこいつも高飛車で、偉そうに指図をするばかりで・・・勇者でも10歳の子供だよ。信じられないよ!
・・・帰ったら昔に観た軍隊映画の様に鍛えるか?
それにしても、あのリュウとか言う転生者はどうにかならないかな。
金髪はいい、イケメンになりそうなのも許そう、だが『黄金の瞳』はどうかと思う! あの瞳に何かしらの力が有るのは直感でわかった。・・・あの瞳は危険だ。
それに、性格は良くても自分よりも身分が高いと、露骨に嫌な顔をする。顔に出された俺の気持ちを考えてくれ! 見た目通りの年齢では無いんだ、もう少し社会性を持って接して欲しい・・・
貴族の子供達は、予想外に礼儀正しかった。腹の中では何を考えているかわからいが、あれくらいは出来てもいいだろうに。
大体、俺が・・・
ヘンリー・オルセス
私は今、この国の他の勇者達と話し合いをしています。勇者達、と言っても私を入れて3人なんですけどね。この・・・村って規模じゃないんだけど、村のギルドで部屋を借りて三人で丸いテーブルを囲んで座っています。
「デイジー・キャンベル、宜しくね。」
必要最低限の挨拶をした、機嫌の悪そうな彼女は『節操無しのキャンベル家』の勇者です。
金髪に青い瞳はアルトリア人の特徴ですが、彼女の家は40年前にアルトリアに寝返った家なのです。もとはアステア人、ですが問題は人種では無くて、
「俺は、タークス・アバンデ・・・そこの女じゃないお前がヘンリーだよな?」
・・・キャンベル家は裏切り者だと、嫌われているのです。
それから『タークス・アバンデ』は、貴族になってまだ歴史が浅い『成り上がり』、と言われています。だから・・・
「偉そうに見下さないでよ! 成り上がりの平民が、貴族を名乗って粋がらないで!」
「裏切り者よりは、数倍ましだ! なんだ? 今度は人間を裏切るのかよ、勇者様?」
お祖父様、私では使命を果たせるか自信が有りません! ですがここで引き下がれないのも、教えて貰いましたから頑張ります。
タークスは、短い茶髪の髪に、青い瞳のアバンデ家の嫡男です。礼儀作法に所々間違いが有りますが、見た目は貴族です。
私の自己紹介は、自慢になるのでこの場では控えて、用件を切り出しました。
「・・・二人は『レオン様』を、見て何か思った?」
お祖父様、ヘンリーは頑張ります!
デイジー・キャンベル
ヘンリー・オルセスが、私達に話が有るからと呼び出してきた。家の格から言ったら、キャンベル家はオルセス家に適わないので、その呼び出しに出向いたらおかしな質問をしてきた。
「レオン様を? ・・・素晴らしい方かと、 」
無難に答えるしかない。何か言って、キャンベル家に不利益が出たらたまらないわ。オルセス家の嫡男の前で先程、アバンデ家の男とみっともなく喧嘩したばかりだから、気を付けないと・・・
「深い意味でとらえないでくれ、言い方が悪かったかな? 私は頼りになる味方だと思っている。君達は?」
頼りになる? 冗談じゃないわ! 歴史に名を残すような人よ! 下手をしたら最高権力者になるか、反逆者として消される運命の人を、頼りになる?
絶対に何か有るわ! そう考えていたら、アバンデの男が面倒臭そうに質問に答えた。
「同じ勇者だろ? 向こうが年上ってだけだからな、期待外れだ。もっと強い奴だと思ってたのにさ。」
・・・馬鹿だわ、馬鹿がここに居るわ! 同じ勇者? 期待外れ? 何を言っているのか・・・わかっている訳ないわよね。
私達が、産まれた時から活躍していた人なのよ! 地図の作成なんか画期的じゃない。バジリスクを倒した猛者を前にして、何も感じなかったのかしらね。・・・私は恐怖しているって言うのに、
「タークスは、頼りにならないと思っているのかい?レオン様は、幾つもの組織に顔が利くし、頭も良いから頼りになると思うんだ。」
・・・さっきからヘンリーの様子がおかしいわね? 私達にレオン側に付けと言っている様な・・・そういう事か!
「ヘンリーさん、で良いかしら? レオン様を凄く頼りにしているのね。個人的にお付き合いが有るのかしら?」
「・・・特には無いけどね。私達には必要な方だと思っているんだ。」
これは確実かしらね。私達、二人を引き込んで魔王討伐後に備え様としている。・・・国外にも影響力の有るレオンを担ごうと言う事は・・・王妃と戦うつもりかしら? 勝てそうでは有るのだけど、私達を引き込む理由がわからないわね。もう一人の馬鹿はこんな事を考えずに要られない立場だと、わかっていない様なんだけど?
「必要無いな。俺は国に忠誠を誓っている貴族だ。国の命令なら手を組むし、殺せ、と言われれば命令通りにするだけだ。」
・・・その国がレオンに命令して私達を、殺そうとしているのに気付いているのかしら・・・傑作よね! 国に忠誠を誓って、国の命令で殺されるんだから!
「タークスは誤解をしている様だけど、デイジーは?」
「そうね、頼りにしてもいいかもね。ヘンリーさん次第では、もっと考えても良いかもしれないわ。」
この私を利用し様なんてね・・・甘いんだよクソガキが!!!
ヘンリー・オルセス
なんと言ったらいいのか、デイジーはわかり易くて良いですね! 多分、オルセス家の力を利用してやろうとか、考えているんでしょうけど・・・君達は、今の状況を理解していないよね。
「良かった。君達がレオン様に楯突いたら私は・・・いや、私達は国や家族に殺されてしまうから不安だったんだ。」
「・・・何の話だ?」
「ヘンリーさん、詳しく教えて頂きたいのですが?」
タークスはあんまり理解していない様だけど、流石にデイジーは慌てているみたいだ。落ち着いている振りをしているけど、顔が強張っているよ。二人はその立場から、この手の情報は入り難いと父上も言っていたけど・・・本当みたいだね。
「知らないのかい? 今、この国は大きく分けて二つに分かれそうなんだ。一つは私達、もう一つは・・・平民や農民達、身分で分かれてしまう。」
「何でだ? 家の領内は反乱なんか起きていないぞ。・・・そこの裏切り者は知らないけどな。」
そこまで気にする事は無いと思うんだけどね。これからは絶対に! 裏切れないんだからさ。
「っ! 私の家の領地は、税が高めですけど反乱なんか・・・!」
舌打ちしたデイジーが気付いたかな? でも、そこで気付いたってもう遅いんだ。
「王妃様は・・・国はレオン様を頼りにしている。けどね、私達は? 魔王が居なくなったら、真っ先に始末する対象だろうね。敵国にぶつけて磨り減らしたり、冤罪で処刑かな? それが嫌なら私達は、生き残る為に王妃様の敵と組むだろうけど・・・相手が先程の平民や農民となると、どうかな?」
「・・・無理ね。私達は敵扱いを受けて、」
「お前はな、俺は違うぜ。家の領地は税も低いし、のどかな所だからな。」
タークス、君とデイジーは確かに違う状況だけど問題はそこじゃ無いからね! それにデイジーの領地は国境に接しているし、レオン様が神託を受けるまでは危険地帯だったんだよ。軍備にはお金が掛かるんだから、君の所とは比べたらいけないと思うね。
「象徴たる勇者、を手に入れた平民達は地位改善を求めるよね。君達もこの村で他の勇者を見ただろう。・・・危険なんだよ。」
「確かに危険では有るけど、そこまで気にする必要が有るのかしら? 幾らなんでも、反乱を起こすとは考えにくいわよ。」
「レオン様は、ここでギルドを立ち上げたよね。」
「関係ない話になったな。でも、その話は俺も知っている。レオンが準備不足で始めたギルドの所為で、仕事を頼んでも人が居ないって悪い評判だけどな! 全く、家の親父も迷惑だって言ってたぜ。」
その程度の事しか気付かない君の家は、近い内に無くなるかもしれないね。考えなかったのかな・・・レオン様が、それだけ慌てていたんだと、
「・・・ギルドは今まで、魔物退治や護衛をしていた信用できない傭兵や盗賊なんかを減らすのが目的じゃなかったのね。でも、それ以外の意味って言ったら・・・レオン様の地位を強化する為の組織作りしか思いつかないわ。」
「それは無いよ。だって、このギルドが出来て一番得をしたのは、国なんだから・・・この組織が出来る前に、レオン様は王妃様からある人物の情報を知らされているんだ。その人物が『リュウ』、この国で最大の危険人物と王都では言われているよ。」
「リュウって、金色の瞳の勇者だろう? そいつがなんで危険なんだ。」
「あんたは黙ってて! まさか、今からそいつの動きを封じ様としていたの! 答えなさいよ!」
こ、恐いよデイジー!!! でもここは顔に出しちゃいけない。落ち着こう、
「格都市やそれなりに大きな場所には、急いでギルドが建設されたよね? それだけの大金は、レオン様にも用意できない。商人や国が支援したんだ。平民から、なるべく武器を奪う為にね。・・・正確には、武器を用意するお金をギルドで回収し様としているって、貴族の間では有名だけど・・・知らなかったみたいだね。」
「「・・・」」
お祖父様、ヘンリーはやりました! なんとかここまで来ました!
「もう、戦いは始まっているんだよ。」
レオン・アーキス
「大体、俺が・・・」
『おい! おい勇者様! 俺の前にいる荷馬車を引いた牝馬! 滅茶苦茶、良い尻してるんだけど・・・あの尻の振り方は俺を誘ってると思うんだ! 休憩しよう! 一時間・・・いや、30分で良いからさ!』
なに言ってんだこいつは、この駄馬は休憩中に一体、何回すれば気がすむんだ? いや、さっきは逃げられたって落ち込んでいたからそこまでしてないのかな? はっ! そうじゃなくて!
「黙ってろこの駄馬! 俺は今、真剣にこれからの事を考えてるんだよ。」
『似合わねー(笑)』
「・・・本気で去勢してやるから覚悟しとけよ。」
これで書いていた物がなくなりました。ご指摘を受けているので書き方などを調べようと思っています。
次回は本当に! 更新に時間が掛かると思います。
それからお陰さまで日間ランキングのベスト5に入れました! 読んで評価して頂いた皆さんに感謝しています。