エピローグ〜まだ終わらない〜
そんな事は全然知らない六人は、廊下をタラタラと歩いていた。ちょっとたった後、女子が
「トイレに行きたい」
と言い出したので、男子は廊下で待っていた。
「そういえばトイレには赤神とか青神が出るんだよねー。」
内免が金子にそう言った。
「殺されないようにね。金子さん。」
植木までもが言った。
冗談で言っているのは分かっているのだが、この学校の雰囲気のせいか、どうしても笑って返事をする事ができない。
金子は個室に入って用を済ませた後、トイレを出ようとした。
(もうっ、二人があんな事言うから安心しておトイレも出来ないじゃない。)
金子は、そんな事を考えていたため後ろから迫っている赤と青の手のようなものの気配に気付かなかった。
金子がドアノブに手をかけようとすると、
シュッ
と、素早い音を立てて金子の体を青い手がしばり上げた。
何かを言おうとしたが、口も押さえられていたので声が出なかった。
金子は力を振り絞り、なんとかカギを開けた。
しかしそれまでだった。
残っていた赤い手が金子の頭をつかみ、ギリギリと回し始めた。
あまりの痛みに、ドアを開けようとする手に力が入らなかった。
ギリ…ギリ…
首の血管が切れそうな気がする。骨が折れそうな痛みまである。
「んっ……んん〜。」
なんとか声を出そうとするが、青い手の力も異常なまでに強く、何もできなかった。
ブチブチッ……バキッ
血管が切れ、骨にひびが入ったような音がした。
すでに金子の首は尋常でないほど回っていた。
金子に理解できたのはそこまでだった。
ブチッブチンボキッ……プシャーー…
金子の首から上は完全に胴体と分離した。
その切れ目からは、まるで噴水のように血が吹き出している。
やがてその血の勢いも弱まり、ドクドクと流れていた。
シュル…ボチャンッ…
青い手は体を離しトイレの中に入った。
赤い手は頭ごとトイレの中に入った。便器の中はすぐに赤くなった。
ドサッ
青い手に支えられていた体はそのまま横に倒れ、ズルズルと壁をつたって床に倒れた。
床がどんどん赤くなっていった。
「ちょっとー。なんの音?」
さっきから聞こえた不気味な音に、二人は不安になり扉を叩いていた。
そのうち待ちきれなくなって、植木がドアを開けようとした。
ガチャリ
ドアが開いたので、二人はお互いを見た。
そしてそのまま中を見た。
そこには、便器の中に浮いている金子の胴体だった。
赤い液体が二人の上履きにつきそうになる時、やっと二人は事態を理解した。
『キャーーー!!!!』
そのまま二人はトイレを飛び出し、男子たちが止める間もなくどこかへ走り去っていった。
残された男子三人はためらいながらも、女子トイレの中に入ってみた。
彼らが見た時には、液体は広く流れていた。
「う、う、う、うわーーー!!」
尾崎が真っ先に走り去った。後を追うように松本も高村も走り出した。