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エピローグ〜まだ終わらない〜

有沢は松本を安全に帰すように先導した。

「花子さんってこの『学校』のエライ人で怒らせると恐いんだ。」


「そうなのか。」


有沢はいろいろ話した。

死後の世界も案外楽しいこと。

でも、松本に会えないのは悲しかったということ。

とにかく楽しそうにしゃべった。

有沢のそんな姿を見てると、松本は複雑な気分になる。

死んだ事はよかったのか、だめだったのかは松本には決めがたい。

有沢は言わなかったが、松本だけは助けてくれと花子さんにたのんでくれたのは有沢だ。一番松本を驚かせた事実は、

「松本たちが話してたのは本当の七不思議じゃないよ。六つまではあってるけどね。」


ということだ。

「じゃあ、本当の七つ目って?」


「知ったらこの世にいられないよ。」


有沢は笑って言った。松本は怖さよりも、なんだか強くなった有沢に驚いた。

「さぁここから帰りなよ。校門でるまでは振り返っちゃだめだよ。」


「お前は…お前はどうするんだよ。」


すると有沢は悲しそうに上を見あげた。

学校という空間を見てるかのようだった。

「僕は自爆霊みたいなものだからここから出られないんだ。でも、けっこう楽しいから大丈夫だよ。」


松本には有沢が少し無理をしているように思えた。

けど自分にはどうする事もできない。

結局、有沢の気持ちなどわからないのだ。

でも、そんな自分にもできる事はある。

「俺さ、今日お前の墓参り行くから。」


有沢は一瞬驚いた表情をしてから、下を向いた。

その少し後に木の床がにじんだ。

「ありがとう。さ、早く行くんだ。」


「あぁ、じゃあな。」


その別れは永遠の別れではない。

一時期な別れだ。あいつはずっと学校にいる。会いたい時はいつでも会える。

松本は言われた通り、振り向かずに歩いていった。そして校門を出た。

「……」


松本は初めて振り返った。

学校の時計が目についた。

今、時計は0時0分……一秒、二秒、三秒と時をきざんでいた。

あの悲劇の幕開けから一秒もたっていなかったのだ。

松本は今さらながらに、さっきまで体験していた事が信じられなかった。


日は高くのぼり、夏の日差しが夏を主張しているころ

『…深夜0時あたりに、とある中学校で不可解な事件が起こりました。

学校の校舎内で、生徒5人が理解不能な形で死体となっていました。

しかし、最大の謎は5人の死体の位置はバラバラなのに、死亡推定時刻が一致しているという事です。驚くべきことに、死体は移動した形跡が全く残されていないと伝えられています。

警察では、被害者たちの担任でその日をさかいに行方不明の神原教諭を重要参考人として捜索する模様です。なを……』

松本は商店街を歩きながら電気屋のテレビに流れているニュースを聞いていた。

警察は絶対に犯人を捕まえられない。

だって霊の仕業なのだから。

行方不明と言われている教師も見つからないであろう。

松本はそう思いながら商店街を抜けて、ある家の前で止まった。

ピーンポーン

『はい。どなたでしょうか?』

「松本です。有沢君にお線香をあげさせてもらいたいのですが……」


『あら、きっと武も喜ぶわ〜』

松本はふと空を見上げた。

青い空。白い雲。まぶしすぎてまともに見れない太陽。心地よい風。その風は雲を遠くへ運んでいる。

学校の方へ。

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