協力
笑いが収まった頃には2人は憮然としてレイを見ていた。
「ちょっとホープネスさん。いきなり笑うのは少し失礼ではないですか?」
「そうだ、そうだ」
トレスはコーディリアの後ろで相槌を打つ。
「悪い悪い。いや、噂以上におもしろ・・・ゴホン、楽しい2人だな、と」
「言い直せてないですから、それ」
「そうだ、反省しろ」
「いや悪い。でも本当に仲が良いな」
「そっ、そんな事ないですよ」
「そうだ、くたばれ」
「トレス」
「そうだ、吹っ飛b・・・えっ、何?」
「うるさい!」
「ぎゃあ」
殴られて吹っ飛んだトレスはその先にあるゴミ箱に突っ込み沈黙した。
「ぶっ、いや、ふふっ、大丈夫か?」
「彼は大丈夫です。それよりもなんでここに来たんですか?ホープネスさん?そして笑わないでください」
「レイって呼んでくれないか」
「えっ?」
「ホープネスの方は呼ばれなれていないから少しくすぐったい。後、敬語も」
「・・・わかったわ。レイ」
「うん。それで俺がここに来た理由だがとりあえずここが一番最近の現場だからかな。証拠探しに」
「そうなの!知らなかった」
「知らないでここにいたのか?」
「コーディは頭より体使って調べたほうが性にあってるからな。ちなみに俺は何もしないで寮にいるのが性にあってる。付き合わされてる俺には迷惑なことだな」
いつの間にか起き上がっていたトレスが心底迷惑そうに言う。それに少しコーディリアの顔が悲しそうに歪む。その様子を見てレイは眉を少し動かすが何も見なかった事にした。
「とにかく良いところであったな。一人は少し大変かもしれないと思ったところなんだ。君たち、俺と一緒に課題をやってくれないか?」
「「えっ?」」
「考えていたより少し規模が大きいみたいだからな」
「私たちでいいの?もっと優秀な人もレイなら一緒にやってくれるでしょう?」
「君たちが良いんだ。最近興味が出てきた二人だったしちょうど良い」
「なんでだ?」
「優秀な仲間を集めているんだ。軍に入ったときに心許せる仲間がいないと上に上がれるものも上がれなくなるからな」
その言葉に2人は驚く。当たり前だ。コーディリアの方はまだわかる。組み手は常に平均以上で筆記も悪くはない。しかし、トレスのほうは組み手も筆記も常に最下位。優秀といわれるはずがない。しかしレイは「君たち」と言った。という事はトレスも入っているのだろう。
2人は顔を見合わせてからレイを見る。
「「優秀なのにトレスが(俺が)入るの(か)?」」
「ああ。俺はもしかしたらお前は強いんじゃないかと思っているんだ。ああ、何もいわなくて良い。勘違いならそれで良いんだ。お試し期間って奴だな。まあ、本当に成績通りでも心は許せるくらいに良い奴じゃないかなとも思っている。俺にとってはメリットばかりだな。と言う事だ。コーディリアは言わなくても大丈夫だよな」
一気に言われた事に呆気にとられる。しかし、トレスのほうが早く立ち直った。
「俺は別に出世したいわけではないから断る。というか、お前といるとめんどくさそう」
「そんなこというなよ、親友」
「いつから親友になった」
「とにかく今回の課題の間だけでも一緒にいようぜ!」
「いやだ」
「いいのか?そんなこと言って」
「どういう意味だよ」
「今日俺が見た事学園で言いふらすぞ」
「いや、何を言いふらすんだよ」
「2人が路地裏でじゃれていたって。大変だろうなぁ。コーディリアが好きな人たちからお前は嫌がらせを受けるんだ。それこそ授業の時も、休みの時も、ご飯食べている時もお前に休む時間など与えない!」
「ひどっ!というかそこまでいくと思えねぇ」
「あっ、そこは俺が面白おかしく脚色して話すから心配要らないぞ」
「な、なんだってぇぇぇぇぇ!!」
「さあ、どうする!」
「うぅ、お前絶対悪魔だろ」
「ハッハッハ」
「えーっと・・・一緒にやることになったのかな?」
一人取り残された感じのするコーディリアだった。
「あっそういえば、何でここが一番最近の現場だってわかったの?」
「主婦の情報網って侮れないものだよな」
「・・・そっか」