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心配

遅くなりました

すみません(ToT)



扉を勢い良く閉めてからコーディリアは泣きそうになるのを堪えていた。

原因はトレスだ。

今日のトレスはおかしかった。何がおかしいなんてことははっきりとは言えない。しかし、どこか声を掛けづらかった。

今日の授業の態度は居眠りをしていて教官に叱られていた。確かにそれはいつも通りで何も変わらなかった。しかしふとした瞬間にする瞳が普段とまったく違うのだ。いつも気だるげでやる気のやの字も見えないような瞳や、時々見せるとても優しい瞳ではなかった。


「あれ?コーディリアさん?どうしてここにいるんですか?」


いきなり声を掛けられて慌てて顔を上げる。するとサムが笑顔で立っていた。


「えっと・・・。サム・・・だっけ?」

「名前覚えててくれたんですか!うわぁ、感激だなぁ。それでどうしたんですか?なんか泣きそうでしたけど。何でも相談に乗りますよ」

「いや、大丈夫。ありがとう」


そう言ってその場を離れようと歩き出した。


「あ、あの!何でも話し聞きます!一人で溜め込まないで誰かに相談したほうが楽になる事もあると思います!」


その言葉に驚いて振り向く。コーディリアが振り向いた事にサムは嬉しそうだ。


「誰かに相談する?」

「はい!だから話を聞くのでお茶しに行きませんか?」

「そうね。こんな事溜め込んでもしょうがないし」

「本当ですか!」

「レイがどこにいるか知らない?」

「え?今なら図書館にいると思います」

「ありがとう!」


そう言って図書館に向かって走り出す。後ろから何か聞こえたような気がするが気にしている余裕はない。

誰かに相談する。そんな考えはコーディリアにはなかった。物心ついた時から何でも自分でやってきた。頼れる人も誰一人いなかった。どうやってお荷物にならないか、どうやったら必要とされる人間になれるかを考えて生きてきた。頼れる人なんていない、まして相談できる人なんていなかった。だからトレスの隣は居心地が良かった。まったく頼りにされないけどお荷物にもならない。見返りを求めて何かをしようとしない。弱いし賢くもないけどどこまでも優しいトレスをコーディリアはいつしか好意を抱くようになった。

しかし今はトレスのことに関してのみ相談できる人間がいる。レイだ。いつしか3人で行動するようになったが、トレスに興味を持っているから動いてくれるだろう。


そんなことを考えながら走っていたからかすぐに図書館に着いた。静かに入ってレイを探す。すると窓際で静かに本を読んでいた。その姿は光を浴びた髪がキラキラ輝いていてまるで絵画のような美しさだった。誰もが話しかける事をためらうような光景だったが今のコーディリアには関係がなかった。


「レイ!話があるのすぐに来て!」

「え?今本読んでるんだが」

「そんなことは後にして!重要なのよ!」


そのコーディリアの勢いにおされたのかレイは本を片付けてコーディリアの後を着いていった。その光景を図書館にいた全ての人間が口をあけて見ていたが、2人はまったく気がついていなかった。






少しサムが可哀想かも知れないですね(`▽´)

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