詰問
次の日、いつも通りに授業を受けていつも通りに教官に呆れられ、いつもと違う笑みをコーディとレイから向けられた。
いや、まぁ、何も言わずに置いていったのは悪かったかもしれない。何か一言必要だったな。うん。今日はいい天気だなとか?・・・ははっ。
今日の夜にもう一度集まる事になったけど、先約があるから断った。ものぐさな俺だから用事に興味があったようだが、あいつらには関係ないからな。
そんなことを考えながら持ち物を確認していく。服も黒っぽいものを着ていく。飴を少し持って、後はこれ。恐らく戦わないで救出する事は無理だと思うし、何もしないで帰るなんてことはしない。
準備が出来たから時間が来るまで寝ていようと横になったところで、扉の前で音がした。そっちを見ると突然コーディが扉を蹴破って入って来た。
「呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーん!」
「古!化石みたいに古!つーか、そのネタ知ってんの!なんで!」
「そんなことより!トレス何かしようとしてるでしょ!さぁ、話なさい!」
「はぁ?俺が何かを進んでやるような人間だと思ってるのか?」
いきなりの言葉に言い返すとコーディは少し考える仕草をして口を開く。
「思ってないわ」
「だろ?」
「いつもならね」
「え?」
「今は何かしようとしてるように見えるわ」
「気のせいだろ?」
「いいえ!だってあなた今日は随分ボーっとしてたわ」
「いつものはずなんだが」
「違うの。いつもボーっとしてるけど今日は違うの。何かをずっと考えているみたいだった」
その言葉にトレスはコーディの方に体を向けて座る。
今のは少し驚いた。確かに今日はいつもとは違った。考え事をしているのではないが、ほっとくとどこまでも溢れてくる感情を抑えることに時間を使っていた。
ばれるとは思わなかった。しかし、今夜の話もこの感情も伝える事はしない。関係ない人間を巻き込むほど俺はやる気があるわけじゃない。
だから何も聞かないでほしい。出来ればこのまま離れていって欲しい。お前らには俺は必要ない。
「そうか、ばれてしまったなら仕方ない。実は・・・」
「実は?」
「鳥って頑張るなぁってことを考えてたんだ」
「・・・へ?」
「だってそうだろ?あんなに羽を動かして海を渡るんだぜ?俺鳥に生まれなくて良かったと喜びを噛み締めていたんだ」
「それだけ?」
「ああ」
しばらく2人で見詰め合ったがトレスは目をそらしてまたベッドに横になる。それをコーディはまだしばらく見ていたが、
「何だ。そうなんだ。何か悩みでも抱えてるのかと思ったわ。そういうことなら別に良いのよ。でも何かあったら直ぐに相談してね」
「・・・ああ」
「約束よ。後、危険な事はしないで。あなたすごく弱いんだから大怪我とかするかも知れないし。私がいたら防げるかもしれないでしょう?」
「母さんみたいだな」
「な!真剣に言ってるのに。もう良い!ゆっくり寝とくのよ。じゃあね!」
その言葉を最後に来たときと同じ勢いで部屋を出て行く。それをトレスは複雑な表情で見ていたが、ポツリと気になった事をこぼす。
「扉・・・壊れたらどうしよう」
ヒロインとの絡みです(*^o^*)
やっとヒロインとの絡みが出来ました\(^O^)/